真・MFC千夜一夜物語 第225話 MFCの制御不良とは? その7

もう一つのMFC千夜一夜物語である日本工業出版さんの「計測技術」誌の「マスフロー千夜一夜物語<質量流量計の基礎>」という連載も2016年12月号(11/25発売)で連載29回を迎えさせて頂きました。
12月号では、(株)フロントさんの常識を超えたニードルバルブ=“スーパーニードル”とセンシリオン(株)の流量センサーを組み合わせた微小流量制御を紹介しています。
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本ブログと併せて、宜しくお願い致します。

マスフローコントローラ(MFC)の制御不良のパターンの解説です。
MFCで実流量異常が生じた場合は、MFCのからの流量信号(PV値)を見ていても判断できません。
そこでよく用いられたのが装置のチャンバーを使ってビルドアップ法で流量を測定するという方法でした。
ところがこの方法も「流量検定を行うために、わざわざ装置を止めるなんてけしからん!」という声が強くなってきて、MFCの制御している流量の問題は、MFC自身が検証すべきだとの雰囲気が強まってきます。
そこで実際にラインを止めずにプロセスガス制御中、もしくはガス制御休止中の短時間で流量を検証するイン・サイチュ・フロー・ヴァリフィケーション(In-Situ Flowmeter Verification)機能を搭載したMFCの開発が始まります。

そんな中でいち早く実現化したのが日立金属製のSAMブランドのMFCだったと、当事者のDecoは記憶しています。
自分の流している流量をどうやって検証しようとしたのでしょうか?
当時開発された“Gシリーズ”というMFCの最高グレードのG4に搭載されたのは以下のようなシステムでした。(あくまでDecoの記憶と日立金属さんのカタログでの確認によるものです。)

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通常のMFCの校正が流量センサーと流量制御バルブ、それと制御回路なのと比べると集積ガスシステムに匹敵するような機器(閉止バルブ×2、圧力センサー、温度センサー、タンク)が搭載されていますね。
これだけの機器を搭載してもそのサイズは従来型とほぼ同じだったのがすごいところで、特に閉止バルブは当時,
日立金属さんが製造していたメタルダイヤフラムバルブのダイヤフラムとオリフィス部をそのままMFCに組み込んで、空圧で動作させている本格的なものでした。
特に閉止バルブ2は流量制御バルブの直下に対抗位置で組み込まれており、その間のデットボリュームは極限まで削られた構造でした。
これはガスシャットオフ性能を向上させるとともに、ガスを再導入する際の、流量制御バルブの下流側に残留している「制御できないガスボリューム」が引き起こすガスサージを最小化するための工夫だったのです。

さて、これでどうやって流量を測定するのかですが、いわゆるPVTt法を用います。
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これはまずMFCの始動時に一度このモードを起動しておかなくてはなりません。
流量をある設定値で固定してガスを流しているMFCの流量制御バルブのフィードバック制御を切り、ある開度で固定します。
その後、閉止バルブ1をクローズにして、ガス供給を断ちます。
そうするとタンクの内圧Pと流量信号ROはあるカーブを描いて降下します。
降下し終わるまでの時間tを横軸にとった際のΔPとΣROの値を初期値としてメモリに保存することで最初の準備が完了します。
後はある程度のサイクルを設けてこのモードを実施することで、データ収集された値が初期値と一致すれば、流量信号に経時的な異常はないと判定できます。
何らかの差があれば、流量センサーか、もしくは圧力センサーに異常があることになり、どちらにしてもこのMFCは異常を抱えていることが判断できるという仕組みです。

なかなか凝った仕組みですね。
当時のDecoは、これを考え付いた事もそうですが、むしろ小型化した各マテリアルを用いて、MFCサイズで実現化したのがとにかく素晴らしいことだ!と感動したのを憶えています。
その頃の、日立金属さんというか、実際の開発を担当していたSAM=サムリサーチの開発陣はすごかったのです。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

テーマ : ものづくり
ジャンル : ビジネス

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プロフィール

EZ-Japan(イージージャパン)代表 黒田 誠

Author:EZ-Japan(イージージャパン)代表 黒田 誠
MFC千夜一夜物語のDeco こと 黒田 誠 です。
2014年6月より流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”EZ-Japan(イージージャパン)として開業いたしました。

流体の流量・圧力・温度に関わる計測・制御技術の伝承と、新技術のご紹介を行うエバンジェリスト(伝道師)の仕事を生業といたしております。

日本工業出版さんの「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載を続けさせて頂いています。

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