真・MFC千夜一夜物語 第224話 MFCの制御不良とは? その6

もう一つのMFC千夜一夜物語である日本工業出版さんの「計測技術」誌の「マスフロー千夜一夜物語<質量流量計の基礎>」という連載も2016年11月号(10/25発売)で連載28回を迎えさせて頂きました。
11月号はドイツから来たインサーションセンサーを搭載した新しいマスフロー MASS-STREAM のご紹介です。
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本ブログと併せて、宜しくお願い致します。

さて、しばらく諸事情で更新をスローにしていた千夜一夜物語ですが、ここからまたペースを上げていきますね。
マスフローコントローラ(MFC)の制御不良パターンの解説です。
MFCが内部のつまり等で分流比が初期から崩れてしまって流量異常が生じた場合は、MFCのからの流量信号(PV値)を見ていても判断できません。
MFCの流量制御バルブ電圧(つまりMV値)をモニターする方法が閾値の設定が難しく、それだけを見ていてもあてにならないという場合に用いられたのが、装置のチャンバーを使ってビルドアップ法で流量を測定するという方法でした。
方法としては、ある真空度まで排気したチャンバーにMFCにある設定流量を入力し、基準となるガス(多くは窒素)と実ガスを交互に流して、その際のチャンバーがある真空度まで昇圧する時間を比較する方法です。
この方法はMFCのコンバージョンファクターを測定する方法でもよく用いられます。
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装置で使用される際は、単に実ガスのみでその昇圧に要する時間を装置立ち上げ時のそれと、現状のものを比較するという運用がされることもあります。
そもそも装置搭載のビルドアップ法では後述の理由で絶対的な流量精度を求めることはできず、あくまで繰り返し性能を問うものであり、お客様のMFCの運用も流量測定を目的とした訳ではなく、朝であろうと夜であろうと、夏であろうと冬であろうと、繰り返し同じ流量を流してくれたらよいという思想と合致するからこそ用いられる方法なので、そういった運用もありなのです。
MFCが用いられるアプリケーションは半導体製造装置が多く、そのほとんどが真空チャンバーを利用した装置であったことから、ビルドアップは運用しやすい方法でした。

だが、問題が無かったわけではありません。
一番大きな問題は、チャンバーを使用してビルドアップを行うということは、プロセスを一旦止めてチャンバーをパージし、また排気しなくてはいけないことです。
つまりMFCの流量検定を行うために、わざわざ装置を止めなくてはならない訳で、生産に追われるラインとしては、それを毎日やるなんてとんでもないという話なのです。
実際にプロセス中のガス流しているMFCの診断ができないか?
イン・サイチュ フロー ヴァリフィケーション(In-Situ Flowmeter Verification)なる言葉が流行りだしたのはその為です。(ちなみにin situ 語源はラテン語だそうです。)

もう一つ大きな問題は、ビルドアップ法を実際の装置で行う上での各パラメーターの管理です。
圧力、チャンバー容積、 チャンバー温度と流入するガス温度、 時間 これらを厳格に管理することで成り立ちます。もう一つ加えるならば、ガスの純度そのものが挙げられます。
圧力ならば真空計の経年変化は無いか?チャンバー容積が変化するわけはないと思いがちですが、内壁に生成物が堆積しているかもしれません。チャンバー温度、これが一番難しいのですが、一定に管理されているかが重要なファクターです。
なぜなら昇圧速度を見るということは、チャンバー容積が一定ならば流入するガスの体積によりそれは異なるわけで、更に体積は温度に比例して膨張・・・ですよね?
生産で使用されている装置でそれらを厳しく管理した上で運用するのは、落とし穴が多く、Deocもよくお客様が「ビルドアップでずれていたから不良だ」と返品されてきたのに、工場で見たらずれていないといった問題に直面したものです。

こういった問題が後押しして、イン・サイチュ フロー ヴァリフィケーション(自己流量診断)機能を搭載したMFCが出現してきます。

そのお話は次回に・・・

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

テーマ : ものづくり
ジャンル : ビジネス

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プロフィール

EZ-Japan(イージージャパン)代表 黒田 誠

Author:EZ-Japan(イージージャパン)代表 黒田 誠
MFC千夜一夜物語のDeco こと 黒田 誠 です。
2014年6月より流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”EZ-Japan(イージージャパン)として開業いたしました。

流体の流量・圧力・温度に関わる計測・制御技術の伝承と、新技術のご紹介を行うエバンジェリスト(伝道師)の仕事を生業といたしております。

日本工業出版さんの「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載を続けさせて頂いています。

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