真・MFC千夜一夜物語 第212話 圧力式MFCとは?その3

もう一つのMFC千夜一夜物語である日本工業出版さんの「計測技術」誌の「マスフロー千夜一夜物語<質量流量計の基礎>」という連載も2016年4月号(3/25発売)で連載22回を迎えさせて頂きました。
今回はMFC(マスフローコントローラー)の周辺機器に関する解説記事となっております。
本ブログと併せて、宜しくお願い致します。

さて、圧力式MFCで使用される基礎原理が絞り式と層流式があり、それぞれに特性があることをお話ししました。
今回、真・MFC千夜一夜物語で注目するのは層流式です。
層流式は流量と差圧が比例関係あるので、流量センサーの出力として直線性の良い素直な流量出力を得ることが出来るという、センシング方式としては大変好ましい特性があるのが魅力的です。
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今のデジタル技術を用いれば、折れ曲がった流量特性カーブを補正することは容易いのですが、器差や再現性の問題を考えれば、素のところで出力が素直に直線であるに越したことはありません。
ただ、層流素子では大きな差圧が作り出せないので、上下流の圧力センサーの分解能への要求仕様が厳しくなります。
ここの分解能とSN比が大きく効いてくるセンサー方式であり、つまり差圧センサー=圧力センサーの性能に大きく依存する流量センサーだと言うことです。

その点に関しては、最近は高性能な圧力センサーが開発されていますから、バラ色かと思っています。
特に(株)テムテック研究所さんが昨年発表された組み込み式のデジタル圧力センサーBIMシリーズは、デジタルインターフェイスはI2CとSPIという流量制御機器の組み込みを強く意識してデザインされています。
MFCのような機器に組み込むにはデジタル信号で直接メインCPUへ情報を送るのが最短経路だからです。
圧力センサーのアナログ信号を機器側でAD変換して、温度補正、直線性補正をしなくても、補正処理を済ませた信号としてもらえるというのは大変親和性の高い技術です。(ちょっとヨイショしてしまいましたね。)

さて、層流流量計の最も重要な特性は、層流素子を用いてハーゲン・ポアズイユの流れを作り出す事です。
「体積流量は、配管半径の4乗に比例し、配管入口圧-出口圧=差圧に比例し、配管長さに反比例し、流体の粘性に反比例する」という言葉からわかるように、重要なのは流体の粘性の特定です。
それはどうやって特定すればいいでしょうか?
当然、流体の物性を抑えるために、流体が何であるかは押さえなくてはいけません。
それに加えて温度です。
なぜならば流体の粘性は温度により変化するからです。
例えば自動車のエンジンオイルが夏場は比較的サラサラしていても、冬場にはドロっとしてくるのは、温度により粘性が変化しているからです。
その変化の度合いは流体により大きく特性が異なりますので、常温域で粘性変化カーブが大きい流体程、温度を正確に測定しないと、最終的に測定流量の誤差に跳ね返ってしまいます。
これは熱式流量計であるMFCの流量センサーが、流体の物性の一つ=定圧比熱に左右されるのに似ていますね。
つまり層流式流量計は、コリオリ流量計のようにUNKNOWNな流体でも流量を測定できるといった万能感は無く、流体の物性を特定しなければ正確な流量測定ができない点は、実は両方式の共通した弱点なのです。
そう考えると、コリオリ式がむしろ凄いと言えるのかもしれません。(でも、コリオリ式も振動しているチューブのバネ特性に対して温度が影響しますので、確かに流体は問わないけれど、温度にはシビアになる必要があります。万能では無いと言うことです。)

最近、熱式マスフローに変わって、このような層流式流計測原理を用いた層流=ラミナーフロー式MFCが出現し、市場に受け入れられつつあります。
次回はその紹介をさせて頂きましょう。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

テーマ : ものづくり
ジャンル : ビジネス

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プロフィール

EZ-Japan(イージージャパン)代表 黒田 誠

Author:EZ-Japan(イージージャパン)代表 黒田 誠
MFC千夜一夜物語のDeco こと 黒田 誠 です。
2014年6月より流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”EZ-Japan(イージージャパン)として開業いたしました。

流体の流量・圧力・温度に関わる計測・制御技術の伝承と、新技術のご紹介を行うエバンジェリスト(伝道師)の仕事を生業といたしております。

日本工業出版さんの「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載を続けさせて頂いています。

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