真・MFC千夜一夜物語 第149話 MFC最大の弱点とは・・・ その13

MFC(マスフローコントローラー)もう一つの最大の弱点は急峻な圧力変動でした。
前回は古い世代のMFCを持ち出して「急激な圧力変動が上流で生じる場合、MFCにノンビリ屋のバルブ=動じないバルブがあれば、この問題はクリアできる」という可能性をお話ししました。

実際どうすればいいのだろう?と思われると思いますが、こんなMFCがあればいいことになりませんでしょうか?

圧力が急激に変動して困るのなら、圧力をモニターしてくれる圧力センサ(PT)があって、そこで圧力の変動があれば、MFCに「気をつけてね」と通報してくれるような仕組みがあれば、そして、その通報があったときに、MFC自体が制御バルブに自重するように指示してくれればいい、と言うことになりますね。

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具体的にはこうなります。
・MFCにPTの圧力信号をモニターし、ある閾値以上の急峻な圧力変動が生じた際に警告を出す

・その警告が出た瞬間から一定時間、MFCは流量センサーと制御バルブのフィードバック制御を一時的に停止
する。

・バルブは警報の出る直前のリフト量でホールドしたまま、警報解除時間が来るまで待機する。

・時間が経過したら、MFCは流量センサーと制御バルブのフィードバック制御を再開する。


この流れを処理できるMFCがあれば、急峻な圧力変動影響をキャンセルできます。

そして、各MFCメーカーはそういったMFCを既に開発しています。
PI(Pressure Insensitive)もしくはPTI(Pressure Transit Insensitive)と呼ばれる技術を搭載したMFCです。
果たしていかなる仕組みのMFCなのか?
次回ご説明しましょう。


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真・MFC千夜一夜物語 第148話 MFC最大の弱点とは・・・ その12

MFC(マスフローコントローラー)もう一つの最大の弱点は急峻な圧力変動でした。
今回からは対策その3として、MFCに圧力変動対策機能を搭載したモデルのご紹介とお話をしましょう。
と、言っても、MFCに対策1のようなラインレギュレーターを積むわけでも、対策2のようにタンクを取り付けるわけではありません。
正直、面間寸法(横幅)を大きくすれば実現することは可能ですが、あまりにMFCに近い場所に取り付けても、バッファーとしての効果が少ないので、わざわざ取り付けるほどの効果は無いからです。

 ここで少し脱線します。
実はこういった供給ライン数の変動による圧力変動に強いMFCというのは昔からありました。
「えっ?そうなの??」という声が聞こえてきそうですが、特にすごいMFCではなく一般のMFCであったのです。

それはどんなMFCでしょう?
今回の問題の原因をもう一度考えると、その姿が見えてきます。

第143話 MFC最大の弱点とは・・・ その7 を振り返って頂けますでしょうか。
ここでこのように説明しています。

つまりノンビリ屋のセンサーさんと、せっかちなバルブアクチュエーターさんのコンビである現世代のMFCでは、バルブが流量制御しようとしてオーバーラン を繰り返してしまうようなイメージになるのです。
こういった現象はセンサーの生の応答が速く、接ガス部のボリュームが小さい傾向のMFCでは小さいはずで す。


ならばノンビリ屋のセンサーさんと、更にノンビリ屋のバルブアクチュエーターの組み合わせならばどうでしょうか?
古い世代のMFCはサーマルアクチュエーターという、熱でアクチュエーターを膨張させて流量コントロールするタイプがありました。このタイプに関しては真・MFC千夜一夜物語(第1期)第17夜で説明していますので、ご一読下さい。

このタイプはアクチュエーターを構成する比較的熱膨張率の高い材質に熱をかけることで変位させます。
当然、ソレノイドやピエゾと比べたら、その応答性はゆるゆるとしたものです。
ここでもしセンサーの応答よりも、スローでダルなアクチュエーターがあったとしたら・・・
圧力変動をセンサーが感知=流量出力が変動し、比較制御回路が設定値=流量出力にしようとしても、指示受けたバルブがノ~ンビリと動こうとしなければ、当然バルブが制御する流量は乱れませんね?
なんだ、簡単解決!古いMFC探してくるか・・・となりそうです。

 まぁ、でも、頭の中ではそうでも、現実にはそんなに上手くはいきません・・・

丁度良いノンビリ具合というのは難しい物で、なかなかそんなに都合良くノンビリしてくれないのです。
最悪な場合はかなり遅れてバルブが動き始めて、今度はなかなか動きが止まらないような現象が起きると、流量制御がしばらく安定せず、収束に時間がかかるような自体にもなりかねません。

「なんだやっぱりダメじゃないですか!Decoさん!!」

すいません・・・ただ、ここでものすごく重要な事が1つあります。

「急激な圧力変動が上流で生じる場合、MFCにノンビリ屋のバルブ=動じないバルブがあれば、この問題はクリアできる」
ということです。
これが実はMFC側でこの問題をクリアするヒントなんです。
これを次回のお話まで、忘れずに憶えておいて下さいね。


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真・MFC千夜一夜物語 第147話 MFC最大の弱点とは・・・ その11

2014年1月9日午後2時10分ごろ、三重県四日市市三田町の三菱マテリアル株式会社 四日市工場内で熱交換器のメンテナンス作業中に爆発事故が起き、5人が死亡、12人が重軽傷を負われるという痛ましい事故が発生しました。
亡くなられた方々の冥福と、負傷された方々の一刻も早い回復をお祈りすると共に、このような事故が繰り返されないような再発防止策の実施を切に願います。
MFCも一歩間違えばこういった人命に関わる大事故を引き起こす可能性がある機器です。
消して他山の石とせず、流体計測&制御の中で少しでも皆様の安全向上にお役に立てる記事掲載を心がけていきたいと考えております。


MFC(マスフローコントローラー)もう一つの最大の弱点は急峻な圧力変動でした。
この問題への対策その1はラインレギュレーターを設置することでしたが、では対策その2は何でしょう?
それはMFCの上流に圧力変動を吸収するバッファー(緩衝材)を置くことです。
ガスの急激な変動のショックを受け止めるショックアブソーバーですね。
でも、見えない存在のガスを受け止める緩衝材と言っても、トランポリンやラバー素材ではありません。それはタンクです。

 考え方は、河川上流にあるダムと同じです。
ダムに蓄えた水があれば、たとえダム上流の山系の降雨量が少なくなっても少しは耐えられます。
逆に大雨で降水量が増えても、ダムの貯水量の余裕がある分だけは下流にその影響を及ぼさず耐えることができます。
ガスと水の場合異なる要素も当然ありますが、概略は同じと考えて下さい。

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 タンクと言っても流す流量により小型の手の平に乗るようなサイズの物から、据え付け型の大きな物まで色々あります。
前述の使用流量と、圧力変動による圧力の上昇/降下幅、タンク下流の配管全体の容積等の要素を鑑みて、サイズを決める事が重要になります。
要は圧力変動が生じて、圧力がドロップしたとしても、しばらくタンクの内圧が下がるだけで、タンクから供給されるガス圧は維持される(その逆もあり)という方法で、タンクの出口側(MFC側)に調圧弁を設けておけば更に効果は期待できます。

 この方式の利点は、多系統に分岐される場合、ラインレギュレーターを個々のラインに設置するよりも安価で済むということです。
それこそわざわざタンクを準備しなくても、分岐部分のマニホルドでも代用がききます。
極論を言えば、上手い配管設計屋さんだと、MFCまでの配管の径×長さを大きくするだけでタンク同様の効果を実現しておられる例もあります。

 逆にこの方式の難点は、あらかじめ決められた条件の変動に弱いことです。
ライン数、使用する流量が固定の場合は良いのですが、増加方向に大きく変化すると、初期のタンクサイズでは対応できなくなることもあります。
また、極力配管内部のデットボリュームを無くしたい半導体プロセスガス、特に危険なガス種(特殊高圧ガス/毒性ガス/可燃性ガス)を流すラインでは嫌われる傾向があります。

 次回は対策その3として、MFCに圧力変動対策機能を搭載したモデルのご紹介です。

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真・MFC千夜一夜物語 第146話 MFC最大の弱点とは・・・ その10

新年明けましておめでとうございます。
昨年から始めました真・MFC千夜一夜物語も、お陰様で146話を迎えております。
思えば昨年2月、病のリハビリ中に始めたブログ連載でしたが、ここまで続ける事ができましたのも、ひとえにアクセス頂いている皆様方のお陰と感謝いたしております。

本ブログでは、週一ペースで更新しております真・MFC千夜一夜物語ですが、本年は新しい媒体での展開も予定されております。時期が参りましたら、皆様にご報告申し上げますので、宜しくお願いいたします。


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MFC(マスフローコントローラー)もう一つの最大の弱点は急峻な圧力変動でした。
この問題への対策その1はラインレギュレーターを設置することというお話でしたが、
「調圧器(レギュレーター)の仕組みが今ひとつよくわからないです。」という声を頂きましたので、今回は脱線してレギュレーターの構造のお話です。

調圧器=レギュレーター(regulator)は、電気回路にもあります。
入力されてきた直流電源の電圧を平滑化して供給する素子です。
安定化電源として用いられます。
リニアレギュレーターのように、入力される電圧と出力される電圧の差分を熱として消費して放出するイメージが近いと思います。(熱に変換しているわけではありませんが・・・)

 流体制御で用いられるレギュレーターは、バネの力のバランスで減圧・調圧を行っています。
下の図を見て頂くとわかりやすいかと思います。

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入口側から高い圧力のガスが入ってくる部屋があります。
その部屋には弁があり、その弁で下流の低圧部屋と繋がっています。
調圧ハンドルを締め付けるとスプリング(大)が圧縮され弁を押し開ける力が働きます。
高圧側の部屋にはバランス用のスプリング(小)があり、部屋の高い圧力と一緒になって弁を閉める力として、押し開けようとする方向の力に対抗してバランスします。
この仕組みで低圧側の部屋はある一定の圧力になるのです。

 これが普通のニードルバルブやオリフィスのような単純な絞りでは、入口側圧力から絞りの圧力損失分を差し引いて得られる圧力には、それほど大きな減圧降下を産めません。
そもそも内圧が14.7MPaもあるガスボンベから0.3MPaくらいの圧力を取り出す仕組みとしては、こういったブースター機構を組み込んだ弁構造でないとその任を果たせないわけです。
レギュレーターには、この仕組みを直列二段式にしてボンベ圧力の変化に対しての出口圧力の変動を極力抑えた構造のモデルもあります。

 こういった”圧力の門番”を置くことで急峻な圧力変動が上流で生じても、それを緩和してMFCに入る圧力の変動を柔らかくしてあげることで、MFCが追従しやすくしてあげるのが上策なのですね。

次回ご紹介する「急峻な圧力変動への対策その2」もこれと同じ考え方になります。

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闘病リハビリ日記~病は気だけじゃ治らない~ その15

闘病リハビリ日記は、その14で一区切りを迎えたのですが、昨年末に進捗があったので報告です。

麻痺した左手足の後遺症か?動きが鈍かったり、物を落としたりと、寒くなった12月は不調気味でした。
酷い時は、寝ているときに左手が冷えて、自分の腕ではないような感覚だった事もあります。
痩せたこともあり、とても寒がりになってしまった事もあって、生まれて初めて上下ヒートテック、更に就寝時には左手足にウォーマーを巻いて寝たりしていました。

「動くようにはなったけど、もう元には戻らないんだ・・・
と、半ば自分の腕でなくなったような左手足を呪わしく思った夜もありました。

年末となった12/30、昼間の内に外掃除をして、正月の飾り付けの下準備をして、早めに就寝したのですが、
寝付く段階で急に手足に痛みが走りました。
今まで感じたことがない手足の外側、小指から肘、膝にかけての痛みでした。
どうしたんだろう?また悪くなるのかな・・・と不安を覚えましたが、よく考えてみたら今までこの部分は感覚が無くなっていたはずの箇所で痛みを覚えると言うことは感覚が戻ってきたということ?と思いながら朝を迎えました。

明けた大晦日の朝、痛みはほぼ消えていました。
そして・・・
手足の感覚は・・・そう、倒れる前のレベルにほぼ戻っていたのです。
ずっと感じていた違和感もかなり小さくなっています。


車の運転でも左手足を積極的に使うこともできますし、キーボードのタイプも左手のミスタイプがかなり減りました、今のところは物を落とすこともありません。

これは・・・1年3ヶ月かかって、ついに壊れていた脳からのラインの修復ができたということなのでしょうか?
痛みは開通した証?
医学的なところはわかりませんが、元に戻ったのは事実なのです。

そんな形で2014年を迎えることができました。

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この闘病日記の最後に、このような報告ができたことをうれしく思うと共に、応援して頂いた皆様に御礼申し上げます。今年は完全復活に向けて、なお一層、身体と家族を大事にしながら進んでいきます!


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謹賀新年2014年

明けましておめでとうございます。
今年も本ブログを宜しくお願いいたします。

年が明けて、さいたまは快晴です。
寒さも少し緩んだようです。

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正月1日は特に出かけるでもなく、家でのんびりすることにしています。
ゆっくりお雑煮を頂きながら、こういう当たり前のお正月を迎えることができる幸せを今は感じています。

今までの自分は身体を犠牲にして仕事をしてきました。
でもこれからは
「身体を第一にしながら、それでいて仕事もがんばっていく=そのバランスポイントを上手く見いだす」
を心がけていくつもりです。

本年もEZ-Japanを宜しくお願いいたします。

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プロフィール

EZ-Japan(イージージャパン)代表 黒田 誠

Author:EZ-Japan(イージージャパン)代表 黒田 誠
MFC千夜一夜物語のDeco こと 黒田 誠 です。
2014年6月より流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”EZ-Japan(イージージャパン)として開業いたしました。

流体の流量・圧力・温度に関わる計測・制御技術の伝承と、新技術のご紹介を行うエバンジェリスト(伝道師)の仕事を生業といたしております。

日本工業出版さんの「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載を続けさせて頂いています。

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