10月からの展開に関して(改訂)

日頃ご愛読頂きありがとうございます。
10月からのメインコンテンツに関して、以下のような構成で、新たなスタートを切らせて頂きます。

・真・MFC千夜一夜物語(第2期)


 以前、商用ブログにDecoが数年に渡って連載してきた「MFC千夜一夜物語シリーズ」とう1コンテンツがありました。2月から本ブログ「真・MFC千夜一夜物語」を開設し、「MFC千夜一夜物語」のアップデート、リマスター作業を行い、9月末で無事135話完結を迎えることができました。
 そして、10月から装いも新たに「真・MFC千夜一夜物語(第2期)」を始めさせ頂きます。
今までの物語でまだ触れていない部分や、本ブログを見に来て頂いている方々からの疑問・質問等を題材に、更に掘り込んでいきたいと思っています。

・EZ-Japan MFCニュース

 MFC及び関連業界のニュースをピックアップして、Decoの見解や解説記事を書かせて頂くコーナーを新設します。なかなか日々の新聞やWEB上でMFCに絡んだ話題というのは見つけづらいところです。今、果たしてMFCメーカーは、業界はどうなっているの?というポイントをできるだけ中立の立場から

EZ-Japan ここをもう一押し!

 MFCとその周辺機器等で皆様にご紹介したいメーカーさんや製品を取り上げるコーナーを新設します。真・MFC千夜一夜物語の中では取り上げないような、MFCを組み込んだシステムや、応用例等も取り上げていく予定です。

これからも当ブログを宜しくお願いいたします。                                                                                                      EZ-Japan Deco

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真・MFC千夜一夜物語~第1期エピローグとこれから

平素は真・MFC千夜一夜物語をお読み頂きまして、ありがとうございます。

 元々は商用ブログに週一ペースで連載されておりました「MFC千夜一夜物語」及び「新・MFC千夜一夜物語」 計135話分を、小生が病に倒れた後に個人ブログで再掲載する企画として始めたこの連載も135話目を迎えることができました。

 身体が動くようになり、通常生活に戻るためのリハビリと共に始めたこの連載ですが、無事当初の目標にたどり着けたことを大変うれしく思っております。
このような拙いブログへ頻繁にアクセス頂いている方々の存在や、お会いしり、メールを頂いた方々から「ブログ、読んでますよ!」と声をかけて頂いた事が大いに励みになりました。
この場をお借りして御礼申し上げます。

また、取材や資料提供に応じて頂き、個人ブログへの再掲載に当たっても快諾頂いた方々へも、改めて御礼申し上げます。

 誤字・脱字の修正とアップデートのみで構成する予定でした真・MFC千夜一夜物語も、振り返れば全体の1/3は新規に書き直したり、完全に新作に差し替え、連載の構成も変えました。図表に至ってはほとんどが新作です。
それだけMFC千夜一夜物語と新・MFC千夜一夜物語は、読み物としての完成度が低かったということだと、Decoの力量不足を痛感しております。
 また連載後半は「もっと書きたい」という意識が強くなってきて、病で奪われた気力=活力がまた戻ってきた事を実感する事もできました。

 本来、真・MFC千夜一夜物語全135話の掲載でこの連載の使命は終わる予定でしたが、10月からも新規に真・MFC千夜一夜物語(第2期)の連載やその他の企画も立ち上げていくつもりでおります。

これからもよろしくお願いいたします。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】 by Deco EZ-Japan

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真・MFC千夜一夜物語 第135夜 日本はMFCの第二の故郷です

MFC(マスフローコントローラー)の生まれ故郷はどこなの? というお話です。

 連載開始時にMFCはNASAのアポロ計画のスピンオフ技術で作られた、という説があることはお話ししました。
となると流れ上、当然アメリカの企業がまず製品化したわけで、先週紹介したBrooks、そしてTylan、Unitといったメーカーが先駆けに位置します。
つまりMFCの生まれ故郷はアメリカということになりますね。

 そしてMFCのもう一つの故郷、それは我らの日本です。
アメリカで開発された製品を、改良してより高い品質と、安いコストで提供するのは、高度成長期の日本のお家芸でしたMFCでもまさにこれと同じ現象が起きたのです。
米国Tylanの日本法人から分派した日本アエラ、堀場STEC、日立金属(サム・リサーチ)、リンテック、最近では山武、フジキンといった企業が、アメリカで生まれたMFCに、ピエゾバルブ、メタルシール化、ウルトラクリーン対応等の日本独自技術を付加することで、MFCを大きく成長させたのです。
つまり日本はMFCにとって第2の故郷なのですね。

 この2つの国でほとんどのMFCが開発されました。
(一部、ドイツ、オランダを生まれ故郷とするMFCもあります・・・) 
開発したアメリカはさておき、なぜ日本だったのでしょうか?

1.日本の半導体産業がMFCを育てた
 Decoがこの業界に営業で入った頃、NHKの「電子立国日本の自叙伝」というドキュメンタリー番組のビデオを会社で見せられたものでした。
営業研修の一環として用いられるくらいMFCのお得意様として半導体産業は大きな存在(一説には総出荷額の80%)だったのです。
そして当時の日本の半導体デバイスメーカ-、半導体装置メーカーさんは、プロセスガス制御の重要パーツとしてMFCの国産化による安定供給、高機能化を強く望んでいました。
装置のたかが一部品であるMFCを、その装置の最終ユーザーさんが気にかけて、わざわざ評価試験を行い、メーカー、機種選定をするというのは、他の部品産業ではなかなか見られない光景です。
そんなお客様と一体になった切磋琢磨の環境が日本のMFCメーカーを成長させていったのだと思われます。

2.日本の先端材料がMFCを育てた
 半導体だけにとどまらず日本の先端材料開発力は目を見張る物がありました。
そんな中で開発された素材(ピエゾ素子、メタルシール、メタルダイヤフラム、デジタル化、MEMSセンサー・・・)を、MFCメーカーは、産みの苦しみを味わいながら製品化することで、自社製品のストロングポイントとしてアメリカ製MFCをの差別化を図っていきました。
それぞれのメーカーが看板となる技術でしのぎを削る、華々しい戦いが、切磋琢磨してメイドインジャパンのMFCの地位を押し上げていったのでした。

3.日本の職人がMFCを育てた
 華やかな材料開発と比べて取り上げられることが少ないのですが、むしろ本当の意味で日本の強みというのはMFCの接ガス部の主要素材となったSUS316Lの加工、研磨を支えて頂いた日本の加工職人さん達の奮闘であったと思えます。
ステンレスという決して加工しやすいわけでもなく、工具の消耗も早い材料を相手に、ひたすらコンパクトに、デットボリュームの少ない構造にするために難しい加工を要求するMFCのボディやフランジパーツを削りだしてくれたのは、関東・関西の決して企業規模は大きくない金属加工会社さんでした。
日本でなくてはできない緻密な、レベルの高い加工技術にDecoも何度も救って頂いたことがあります。

 日本の半導体生産高がアメリカを上回り、「ただ模倣して成り上がった」と陰口をたたかれた時代に、実は決して真似だけではない「日本の力」があったのと同様に、MFCも日本の材料や職人さんに支えられ大輪の花を咲かせていったのでした。

 言い忘れましたが、そんなMFCの販売に情熱的に取り組まれた営業の先輩諸氏がおられます。
皆さん個性的で、でもお客様とMFCという製品に愛情と誇りをもった素晴らしい方々です。

このお話の最後は、そんな方々に改めて敬意を表したいと思います。


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真・MFC千夜一夜物語 第 134夜 日本半導体の敗戦=MFCの敗戦なの?

MFC(マスフローコントローラー)の置かれている現状を、お話していきたいと思います。

 アポロ計画の産物と言われるMFCという産業用機械部品も、既に誕生して、数十年を経過して、熟成された、言い換えればピークを過ぎたものとなってきています。
連載で何度か取り上げましたが、MFCの主たる市場は半導体産業(広義で液晶産業も含む)です。
半導体は、最盛期には、業界出荷額の約8割近くを占めるとてつもなく大きな顧客でした。
特に90年代、日本の半導体産業が世界を制覇した時代(半導体売上高の世界をNEC、東芝、日立製作所の3社で、30%近いシェアを占めていたころです)、その拡大する日本市場を狙いMFCの新規参入メーカーも相次ぎ、デジタルMFC、液体MFC等、エポックメイキングな技術も世に出て、非常に華やかでした。

 ところが20年後、日本半導体はお家芸のDRAMでは韓国、台湾勢の価格攻勢に敗れ、高品位なMPUではインテル独壇場・・・ついにエルピーダメモリの会社更生法申請からマイクロンの傘下での再生、ルネサス、富士通等国内半導体工場の相次ぐ売却、閉鎖発表・・・と、日本半導体産業のポツダム宣言受諾か?とも思える状況になってきています。

 当然、MFCメーカーさんも苦しい状況を迎えつつあります。
具体的にはM&Aによる企業統合の進行です。USAではいち早く、老舗UNITからの流れは、これまた老舗のTylan(Tylan-General)からの流れと統合され、さらにBrooksに一本化され今に至ります。
日本では、日本Tylan(日本アエラ)という、かっては国内シェアトップメーカーが買収の末、今は日立金属(SAM)に組み込まれました。

これはMFCユーザーである皆様にも決して無関係な流れではありません。

今は存在しないブランドの古いMFCをお使いの場合、最悪「修理メンテナンスをもう受けられない」という事件が発生します。
買収した企業は、生産者責任を果たす社会的道義もありますが、それ以上に事業の合理化を図り、利益を出せる体質にする必要があります。
その為、古いブランド製品群のEOL(End Of Life)=ディスコン(廃盤)を進めていきます。
この動きは日本よりUSAメーカーの方がドライで、びっくりするくらいドラスティックに進めてきます。
当然、「互換機はこれですよ」という案内通知はされるのですが、必ずしも完全互換でなかったり、プロセス条件に変動が出たりという、ユーザー側の負担をゼロにすることはできない条件が付いたりします。
装置を構成する「部品」であるMFCの場合、「性能が向上しているのだから、互換品だろう」という考えは、必ずしも正解ではないのが、事を難しくしているのです。

そういった動きの中で、ユーザーの皆様もどうぞ「自衛活動」の準備をしていただきたく思います。
Decoからは、以下の内容をお奨めします。

・使用しているMFCの供給元のサービス・メンテ状況の確認

・使用中のMFCの互換品=後継機の選定と評価

・社内校正器等による日々のMFCの状態管理

・適正な保守在庫の保持


 10年前には故障したMFCの代替品をすぐ持ってきてくれたメーカーがあったかもしれません。
でも、これからはわかりません。
むしろ10年前の対応は、スペシャルサービスだったのかもしれないのです。
保守管理予算も苦しい中で難しい内容かもしれませんが、万事は転ばぬ先の杖です。

「もう昔とは違うのだ」というほろ苦い現状認知を頂く必要があるのです。


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真・MFC千夜一夜物語 第133夜 MFCのライバルは? VS APC その2

MFC(マスフローコントローラー)のライバルになるもの、APC(Automatic Pressure Controller)のお話です。
APCにはセンサーの位置で大きく分けて2つの機種があります。

① 背圧制御型APC
 このタイプは圧力センサーが上流側にあります。
つまり一般的なMFCの流量センサーの位置ですね。
(実はMFCでもバルブ→センサーの順番で逆に配置にしたものもあります。そのお話はまた別章で・・・)
圧力センサーがAPCより上流の圧力を測定していますので、その圧力を一定にしたい場合に使用されます。
具体的には真空チャンバーの排気系に使用して背圧制御をしたり、ある圧力で封入されるべきワークのガス抜き弁として作動させたりします。
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 ただ高度な真空装置では真空ポンプで高い真空度まで排気を行う場合、MFC型の流量制御バルブを搭載したタイプではなく、バタフライタイプのバルブと、真空計、圧力制御するコントロールボックスとの組み合わせで「APC」として使用されるのがほとんどです。
理由としては、MFCの流量制御バルブタイプでは圧力損失が大き過ぎることと、圧力計隔膜の変形で生じる静電容量変化で検出するキャパシタンスマノメータタイプの高分解能な真空計を独立して運用するためです。

 また、後者の圧力封入用途は、伝統的な手動背圧弁で事足りる用途もあります。
APCの出番は遠隔制御が必要な場合や、ログを残したい場合ですね。
(こういうところはフロート式流量計とMFCの関係に似ていますね。)

② 供給圧制御型APC
 もう一方は、上流側に制御バルブ、下流側に圧力センサーを配置したタイプです。
このタイプは下流側の圧力を一定に保つように制御しますので、供給圧制御型と言えます。
一般的なレギュレーターとMFCの関係に似ていますね。

 この用途の場合、少し気をつけなくてはいけないことがあります。
前回お話ししましたようにAPCとMFCは同じ流量を制御するバルブを備えています。
そうするとMFCが流量を流そうとしてバルブを開くと一時的にMFC上流=APCの下流からガスが多く払い出されますので、この部分の圧力が低下します。
低下した圧力をAPCの圧力センサーが検知すると、今度はAPCのバルブを開くことでAPCの上流から不足したガスを流して圧力を回復させます・・・
こういう役割分担が上手く作動している場合、つまり比較的設定流量、圧力が一定で流す条件で、MFCの下流も、APCの上流も圧力変化が少ない場合は良いのですが、そうでない場合、あるタイミングでMFCとAPCの制御がケンカを始めてしまうことがあります。

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 実際APCとMFCが殴り合いを始める訳ではないのですが、最悪両方の制御がばらついて設定が上下し落ち着かなくなってしまうような状況に陥ってしまう事もあります。
これは、両者が同じ流量制御する方式の制御バルブを使いながら、センサーの応答速度が遅いサーマル式流量センサーと、比較的速い歪み検出型の圧力センサーを搭載しているのも一因です。
(この問題は実は機械式レギュレーターとMFCの間でも起きます。レギュレーターとMFCの配管距離が極端に近く、MFCに払い出すガスのボリュームのバッファーが少ない場合に発生しやすくなります。)

 こういった現象が生じた場合、制御系に精通した技術者がおられたらなんとか制御をなだめすかしてもらえるのですが、例えば以下のような選択もあります。

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チャンバーにガスを供給するにあっての条件にもよりますが、APCで供給圧力を制御して一定時間にある量のガスをチャンバーに送ればよいのならば、MFC側をあえてMFMにして流量測定だけをさせてロギングしおくという手もあるのです。

 APCによる供給圧制御の応用例として、供給圧制御型APCは多系統のMFCの上流において、MFCの一次圧が乱れた場合に発生する流量スパイク現象を緩和させる提案等もされています。

 このようにAPCというMFCの従兄弟は、MFCとは微妙な仲であると言えます。
機器選定する場合、「なぜAPCが必要か?」「なぜMFCが必要か?」を熟考の上で決定頂くと良いと思います。

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真・MFC千夜一夜物語 第132夜 MFCのライバルは? VS APC その1

MFC(マスフローコントローラー)のライバルになるもの、今回はAPC(Automatic Pressure Controller)です。読んで字のごとく「自動圧力制御器」です。

*ここでのAPCという言葉は、MFCをベースに構成された製品に限って使用しています。
真空計とバタフライ弁の組み合わせでチャンバーの排気を制御するAPCとは別物とお考え下さい。


 実はAPCは構造的に見るとMFCのライバルと言うより、従兄弟みたいな関係なのです。
下図を見て頂くとわかるのですが、構成上はMFCの流量センサーが圧力センサーに変わるとAPCです。

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MFCが「流体の流量を測定し、設定された流量になるように制御バルブ流量を制御する」のに対して、APCは「流体の圧力を測定し、設定された圧力になるように制御バルブで流量を制御する」のです。

あれ?Decoさん 言い間違えていませんか?

いえ、正しいのです。

さすがに舌足らずなので、もう少し補足して記しますと、APCは「流体の圧力を測定し、設定された圧力になるように制御バルブで流量を制御し、その制御した流量を送り込んで圧力を調整する」機器なのです。
「流体の圧力を測定し、設定した圧力にするのに必要な流量を制御バルブのリフト量を自動的に可変して流し続ける」機器とも言えますね。

 APCに搭載されているバルブはMFCと同じ流量制御用のものです。
そのバルブ開度を調整すること=圧力損失を可変することで、結果的には圧力を作り出すのですが、APCが制御して生じるのはあくまで流量であり、圧力は二次的なものであるという点で、同じ圧力を調整する機器であるレギュレーター(調圧器)の弁構造とは少し異なります。

*レギュレーターの構造
レギュレーターは機械的な構造で、設定した圧力にガスの供給圧を保つ役割を果たしています。
ダイヤルとスプリングがあり、出口側の低圧部屋と、入口側の高圧部屋とダイヤフラムで隔てられて設置されています。
低圧部屋の圧力=大気圧+スプリングの力というバランスを保つようになっています。
何らかの理由で低圧部屋側の圧力が低下するとスプリングに押されてダイヤフラムに繋がる高圧側の部屋との間の弁が開いて、ガスが流れこみ圧力を上げます。
そして圧力が上昇し、バランス状態が再現すると弁は閉じます。


 APCの制御方法はMFCと同じです。
電源表示設定器から設定信号(制御したい圧力値)を入力し、出力を表示します。
出力信号はMFCとは異なり、搭載する圧力センサーの種類により、0-5VDCではないものもあり、0-10VDC、1-5VDCと多彩だったりします。

 APCがMFCと異なるのは、供給圧制御型と背圧制御型の2種類が存在することでしょう。
これは圧力センサーと制御バルブの位置関係で分類されます。
詳細は次回ご説明しましょう。

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真・MFC千夜一夜物語 第131夜 MFCのライバルは? フロート式流量計

半導体プロセス用途から、エネルギー、分析分野などに幅広く使われるようになったMFC(マスフローコントローラー)ですが、ではそのライバルとなる機器は、いったい何でしょうか?

 黎明期の半導体プロセスガス制御で、MFCより前に使われていたのは、フロート式流量計(フローメーター)でした。皆さんの中にも馴染みの深い方がおられるかもしれません。
簡単に表現しますとガラス管に流量目盛りがきってあって、下から上にガスが流れて、浮き上がった玉(浮き子)の位置で流量を指示するタイプの流量計です。

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両者の違いをざっと眺めてみましょう。

MFC&MFM(マスフローメータ)

熱式センサーで質量流量を計測できる(ある温度圧力の範囲に限定される)

・センサー信号をバルブへフィードバックすることで、温度圧力変化に影響されず流量制御が可能

・流量制御は電気信号で遠隔操作化が可能、流量信号を色々な表示方法や記録に加工できる

・メタルシールタイプは、腐食性・毒性ガスに対応可能

DC電源、流量表示器、設定器を別に必要

・比較するとコストは高い



フロート式流量計(フローメーター)


・ガラス管と浮き子の組み合わせで体積流量を表示

・体積流量なので温度・圧力による補正が必要

・流量制御は付属するニードルバルブで手動可変、接点スイッチのようなオプションを除き、目視でしか流量を確認できない

・ラバーシール構造の為、腐食性・毒性ガスに対応不可

・電源を必要とせず、単独で使用可能

・比較するとコストが安い


 こう眺めてきますとどちらが優れている、という論点でこの二者を論じる事に意味はないですね?
その証拠にMFCが台頭した今でもフロート式流量計は流量表示・制御の第一線で使われています。

通信による遠隔操作、危険なガスへの対応といった分野ではMFCに軍配が上がりますが、コスト・電源不要というフロート式流量計の強みが、高く評価される用途があるのです。

そんな理由から、ライバルである両者は今も棲み分けて、お使い頂いている訳なんですね!


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真・MFC千夜一夜物語 第130夜 高温用MFCを使いたいのですが! その8

高温用MFC(マスフローコントローラー)に関するお話のまとめです。

 高温用MFCというMFCは非常に特殊な用途で用いられるMFCです。

本来この大気圧(1013hPa近辺)では、気体いられないような材料(液体、固体)に対して温度を上げ、圧力を下げることで気化させ、ガスとして搬送する必要のある実験・生産設備で用いられる、自身がある程度の高温環境で使用できるような構成にチューンされたMFCと言うことになります。

 いわば市販車をフルチューンして作られたレーシングカーのようなものですね。
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市販車に対して、サーキットでのスピード競技専用に改造されたレーシングカーは非常に高性能です。
でも、それは限られたフィールドでに限られます。
レーシングカーが一般の舗装道路や不整地を市販車のような耐久性を維持しながら走れるか?といえば、かなり難しいものです。
あくまでサーキットでのみ使用する事を前提として、余計なものを省き、あるレースのゴールまでもてばいい、という思想で作られるレーシングカーと日常生活での汎用性を重視した市販車とは全く別物であるからです。
繊細なレーシングカー用のエンジンは、シフトミスをしたらオーバーレブして壊れてしまうこともあります。

 通常MFCと高温用の関係もそれと同じ、と考えて頂ければよいかと思います。

あくまで高温用MFCは、特定材料向けで温度、使用圧力を限定して性能を引き上げたMFCです。
センサーにかかる温度はベースになったモデルより高くなり、センサー線の消耗は激しくなります。
つまり寿命は短くなる方向へいきます。
また、高温・減圧環境で気相となっていても各々のマージンがあまりありませんから、バルブなどで断熱膨張を起こせば、即再液化しやすい状態で使用されているため、ちょっとした不注意でバルブのつまりを起こしてしまいがちです。

高温MFCは、メーカーでの製造ラインでも製造に非常に工数と熟練を必要とする製品です。
その為、購入金額も決してお安くはない設定になっていると思います。
あらゆる意味で非常にナーバスなところのある高温MFCですから、設置環境、用法を誤らないよう慎重にお使い下さいね。

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真・MFC千夜一夜物語 第129夜 高温用MFCを使いたいのですが! その7

高温用MFC(マスフローコントローラー)に関するお話をしたいと思います。

 前回、高温MFCの温調に関してお話ししましたが、そこでコールドスポットというお話をしました。
そもそもは昇温して気化した材料を再液化しないよう配管系を温めてやるのですが、その基本として「下流側に行くに従ってヒーター温度を上げる=温度勾配を付ける」という手法が推奨されています。

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しかしながら、配管系に最適な温度勾配を与えるというのは、実はなかなか難しいことなのです。
闇雲に下流側の温度設定を高くするだけでは、上手くいかないこともあるのです。

前回お話ししましたように配管機器には個々に熱容量差があります。
更にヒーターが均一に熱をかけることができるのか?ということ、ヒーターの温度制御に使われる測温抵抗体の設置場所による温度測定の誤差、そして温度制御を行う温調器自体の性能の機種や固体差等も要素として存在します。

また、基本的な問題ですが、配管やMFCにちゃんとヒーターを設置できているか?という事もあります。配管はストレートな部位だけではなく、曲げがあったり、エルボー、クロスなどの継手があったりします。現実ではヒーターをそれに密着させるのはなかなか難しいものです。

 高温MFC本体にヒーターを設置する場所に関して、たまに質問を頂きますのでお話ししておきます。
現実にDecoがお伺いした現場で図の左のようなヒーターの巻き方をされていたお客様がおられました。

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高温MFCをヒーティングする趣旨を考えて頂ければ当然なのですが、左の例のように気化した材料が接しないような部位を昇温しても何の意味もありません。
MFCの接ガス部分は、ほとんどの場合下部のSUSブロックの中にあります。
右の例のように底面、もしくは底面+側面を凹字型にヒーティング頂くのが最適な箇所となります。

MFCを高温用にする、ヒーターをただ設置する、温度を蒸気圧曲線から設定する・・・
それだけでは決して高温材料搬送配管システムは上手く動かないということですね。

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真・MFC千夜一夜物語 第128夜 高温用MFCを使いたいのですが! その6

高温用MFC(マスフローコントローラー)に関するお話をしたいと思います。

高温MFCは高温環境で使用できるMFCですが、自らが昇温機能を持って目標温度まで温度を上げる事はできません。
中にはセルフヒーティング型と呼ばれるヒーターユニットをオプション装着した製品もありますが、あくまでそれは装着したオプションにその機能があるという事です。

では、高温MFCを昇温する方法は、どういったものがいいのでしょうか?
一般的な方法としては、2通りあります。

1つは、配管システムごと恒温槽にいれる方法です。

130903_05.jpg


もう1つは配管にテープヒーター等を巻き付け昇温する方法です。

130903_06.jpg

この方法で昇温するときに留意すべき点があります。

他の配管系と、MFC部分の温調を分けて独立した温度制御を行うことです。
前にもご説明しましたがMFCを構成するSUSのボディは他の配管機器や他の配管パイプよりも体積が大きい=熱容量が大きいので、一緒に温度制御をかけた場合、温度センサーの位置によってはMFCだけが充分に昇温されないような事態が生じ、最悪はコールドスポットと化して材料が再液化してしまったりするのです。


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真・MFC千夜一夜物語 第127夜 高温用MFCを使いたいのですが! その5

高温用MFC(マスフローコントローラー)に関するお話をしたいと思います。

Decoが高温MFCをお使いになっているお客様からよく頂いた質問です。

「高温MFCって常温から高温まで使用できるよね?」

答えは「できません。」なのです。

高温MFCの「精度保証温度範囲」をカタログ等で確認頂くとわかります。

一般的には校正温度±10℃くらい つまり100℃仕様の高温MFCを依頼した場合、その保証温度範囲は90~110℃までなのです。

堅いことを言うとそういうことなのですが、こういったご質問の背景には、高温環境で原料供給をする場合に高温MFCを使用するのはマストとして、ヒーティング前後にチャンバー内のガス置換やパージで常温ガスを供給したいという要求を1台の高温MFCで対応できないかな?という事情がある場合がほとんどです。
高温MFCは常温用MFCの倍から3倍はする高価な買物です。ならば1台2役を期待できないか?常温ではたいした流量精度は要らないのだけど・・・というお考えはわかります。

その場合、精度保証温度範囲ではなく「動作保証温度範囲」をメーカーに確認頂くのも一手です。
どう違うの?とクビを傾げられるかもしれませんが、カタログに記載された流量精度・直線性・繰り返し性等のスペックを維持できる範囲が精度保証温度範囲。
それに対して、「スペックは満たさない可能性があるけれどもMFCが設定信号を受けて、流量制御する“動作“はしますよ」というのが、動作保証温度範囲です。

「でも、Decoさん MFCだから精度さえ問わなければ常温でも動作なんとか動作するのではないの?」というご意見もあるかもしれません。

危惧されるポイントは1つ。
ゼロ点のズレです。

 一般的に高温MFCは常温のそれよりも高いセンサー温度になっています。
かなりピーキーな特性だと考えて頂いていいと思います。
その為、常温で使用する際には、ゼロ点のズレが大きくなる傾向があります。
高温MFCを常温環境で設定信号5%F.S.で流量設定して使用した際に、ゼロ点が+6%F.S.ずれていたらMFCは流量制御動作できるでしょうか?
設定入力より流量出力なのですから、MFCは当然バルブを閉める方向に制御してしまいます。
もうおわかりですね。MFCは全閉になってガスを流さないのです。

こういった危惧もあり、MFCメーカーさんとしては、高温MFCの常温での使用をオフィシャルに認めることはないと思います。
できたらもう1ライン常温用MFCを併用してあげて下さい。
MFCを購入する予算がと言う場合は、パージメーターやニードルバルブ、ラインレギュレーターという代用手段もあります。
事故というものはイレギュラーな使い方をした際に発生する確率がグンと上がります。
呉々も安全重視でお願いしますね。

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真・MFC千夜一夜物語 第126夜 高温用MFCを使いたいのですが! その4

高温用MFC(マスフローコントローラー)に関するお話をしたいと思います。

 高温環境では、電気部品が先に根を上げてしまうので、それぞれ常温に置く電気部と高温環境に置けるメカ部、2つにした特別なMFCが高温MFCでしたね?

では、それだけの違いなのでしょうか?
いいえ違います。

実は高温MFCの特性を決定づける大きな差があります。
それは流量センサーです。

 正確に言うならば流量センサーの構造自体は大差ありません。
前にお話ししたように、直径1mm以下の細管に髪の毛ほどの太さのNiとFeの合金でできた線を二対巻きつけて、それをヒーターとして昇温する・・・流体がそこに流れてきた際に、奪われるそれぞれのセンサー熱量の差から流量を導き出す・・・この流量測定の基本原理は全く同じものが使用されています。

*以前の連載で使った図を再度掲載しておきます。
sensor2.jpg

では、大きく異なるところは何なのでしょうか?


 実はセンサー「温度」なのです。
MFCのセンサー温度は、方式にもよりますが80~100℃くらいに昇温して・・・というお話を前にさせて頂いたかと思います。
ところで高温MFCの周囲温度、そしてガス温度は優に100℃以上です。

 ここまでお話しするとピンと来られた方もおられるかもしれませんね。
そう、高温MFCでは、通常のセンサー温度同等か、もしくはそれをはるかに超える高温流体がセンサー管に流入してくるのです。
そうなった場合、MFCのセンサーから流体の間での熱移動が生じず、流量センサーとしては役に立たなくなってしまいます。
その為、高温MFCの流量センサーの温度は、常温用よりはるかに高く設定されているのです。

 では、その何が問題なのでしょう?

より高温することでセンサーとしての感度を獲得できましたが、それと引き換えにセンサーの寿命を著しく削ってしまっているからなのです。
センサーの巻線自体は、150℃以上の高温になると抵抗値の経時変化が生じてから断線に至るまでのスピードが極端に早くなる傾向があるのです。
その事がわかっていても敢えて寿命を犠牲にして、作られた高温MFCというのは、ある意味無茶な製品なのですね。
それをご理解いただいた上で、高温MFCを保守管理いただくことをお奨めします。

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真・MFC千夜一夜物語 第125夜 高温用MFCを使いたいのですが! その3

 高温用MFC(マスフローコントローラー)に関するお話をしたいと思います。

 高温MFCのお話を始めたところですが、今夜は本来最初にお話しすべき内容を改めてお話ししましょう。
つまり「高温MFCは、なぜ必要なんでしょうか?」という事です。言い換えますと、わざわざ高温にしなくてはいけない用途ってなんなの?ということをもっと解説していきたいと思います。

 高温MFCというMFCは、温度的な負荷が増えることで、非常に難しい技術を必要とするのと、それを製造するうえでも通常のMFCの数倍の工数が必要な厄介な代物なのです。
そこまでしてなぜ高温MFCが必要なのか・・・それは昇温しないとガスとして制御できないような物性を持つ材料を流さなくてはいけないプロセスがあるからです。

 ここにとある材料の蒸気圧曲線があります。
130909_01.jpg

蒸気圧曲線とは何でしょうか?
まず、ご説明しましょう。
蒸気圧とは、ある任意の温度で気体と固体、もしくは気体と液体の2相が平衡となる圧のことです。
そして、グラフの縦軸に圧(蒸気圧)、横軸に温度をとり、その二相共存している状態となるラインを示したのが蒸気圧曲線です。

ちなみに水の蒸気圧は、100℃で1013hPa、周囲の圧力が1013hPaに至る(つまり大気圧ですね)と水は沸騰します。(沸騰というのは、ただ蒸発するのではなく、液体内部からも急激な蒸発が起こる状態のことで、その現象が起きる温度を沸点と言います。)
ところが、地表から離れ、高い山に登ると周囲の気圧は低下します。
そうなると水は100℃より低い温度で沸騰するようになるのですね。
蒸気圧曲線を用いると、ういった蒸気圧と温度、言い換えるならその材料がおかれた圧力と沸点の関係を読み解くことが出来るのです。

 では、先ほどのあるガスの蒸気圧曲線に話を戻します。

この材料は常温25℃近辺では、蒸気圧がわずか数kPa程度しかないことがグラフでわかります。
この状態でMFCでガスとして流量制御しようとして、いくら二次側を真空にしても、絶対圧で数kPaしか圧力がない材料を制御することはできません。
どうしてもこの材料を真空チャンバーへ供給したい場合はどうしたらいいでしょう?
そう、横軸の温度を上げていけばいいんですね。
100℃までいけば100kPa以上蒸気圧は稼げるわけで、そうすれば現実的にガスとして流量制御する方法が見えてくるわけです。

こういった材料には、Ticl4、Sicl4、Gecl4、そしてTEOS等、昨今のエレクトロニクス産業(半導体、光ファイバー)に不可欠な材料があげられます。
こうして100℃の高温下でも動作できる高温MFCが登場してくるわけですね。

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真・MFC千夜一夜物語 第124夜 高温用MFCを使いたいのですが! その2

 高温用MFC(マスフローコントローラー)に関するお話をしたいと思います。

高温MFCが常温用と特に大きく異なるのは、MFCそのものの構成が分離型になっていることです。
もう一度、下の図で常温用(通常タイプのMFC)との構成の違いを、内部のパーツ構成を踏まえて見て頂きましょう。

130903_04.jpg

 本来、常温用のMFCは制御回路などの電気部品と、センサーやバルブアクチュエーターのメカ部品が一つのケースの中に同居しています。
それを高温雰囲気で使おうとすると、まず電気部品が先に根を上げてしまうので、それぞれ常温に置く電気部と、高温環境に置けるメカ部 2つに分離して使用するという一つのMFCを2つに無理やり分割した特別なMFCだということになります。

 よくお客様からも質問された内容でこんなものがありました。

質問:「何個か高温MFCの在庫があるのだけれど、電気部とメカ部は、適当に組み合わせて使えばいいんだよね?」

回答:「ダメですね。最悪はまともに流量制御できませんよ。同じシリアルナンバー同士の組み合わせでお使いください。」


 そもそも1台のMFCを構成する各部分を、分割したのが高温MFCですから、MFCメーカーさんで製造する際も電気部、メカ部はセットで調整・検査されています。
二人三脚みたいなものなのですね。ですから、MFCと電源の場合と異なり、必ず同じシリアル番号同士をセットでお使いください。

メーカーさんによっては、高温MFCの電気部が通常のMFC用電源のようなデザインなので勘違いされるお客様が結構おられます。お気を付けください。

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真・MFC千夜一夜物語 第123夜 高温用MFCを使いたいのですが! その1

高温用MFC(マスフローコントローラー)に関するお話を始めたいと思います。

高温MFCとは文字通り高い温度環境で使用するMFCです。

常温用のMFCで大概40~50℃が上限温度であるのに対して、高温用で80℃以上、一部では150℃環境でも使用できる超高温用MFCも存在しています。
常温では気体ではない材料を、昇温して気化、昇華させ、超高温MFCで流量制御する用途で使われています。

では、高温用MFCと通常タイプではどこが異なるのでしょうか?これは外見わかります。
大まかには以下のような構成になります。

130902_01.jpg

 高温MFCというのは、高温環境に晒していい「メカ部」と、常温環境に設置しなくてはいけない「電気部」に分かれて構成されています。
高温ガスを制御するという特殊な用途でMFCを使おうとした場合、構成部品の種類により耐熱温度限界が異なるのです。
一番先にアウトになるのが電子部品でだいたい80℃以上でアウトになります。
その為、熱に弱い部分をMFC本体から分割して高温領域外に逃がした構成にしたものが高温MFCなんですね。

高温MFCの用途では、原料は供給元から反応炉まで、ヒーターを使って昇温したり、恒温槽で温めたりっして、温度勾配をつけて供給されます。
どこかにコールドスポット(低温部分)があると、再液化してしまったりしてトラブルになりますから、MFC自体も昇温します。
他の配管機器よりも、MFC自体の接ガス部の体積が大きい=熱容量が大きいこと、しかも流量制御用にオリフィスがあり、そこでの断熱膨張による液化の問題もあるため、MFCは他の配管系とは別系統で単独で昇温制御した方がいい結果に繋がるケースがあります。
このお話はまた後で詳しくお話ししましょう。

と言うことで、次回から高温用MFCの詳細をお話ししていきます。

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真・MFC千夜一夜物語 第122夜 マスフローの流量は、誰が保証してくれるの?その9

MFC(マスフローコントローラー)流量は、誰が保証してくれるの?と言うお話です。

 平井さんでの校正作業が終わると、JCSS校正証明書が発行されます。

お使いになっているMFC/MFMに対して、使用されている実ガスでの校正結果を証明した貴重な書類です。
校正作業は「計器又は測定系の示す値、若しくは実量器又は標準物質が表す値と、標準によって実現される値との間の関係を確定する一連の作業。備考:校正には、計器を調整して誤差を修正することは含まない。」であり、当然お使いになっている流量計の表示する値と音速ノズルを用いた標準流量との間にどのような差があるか?を証明したものです。
簡単に言えば「このMFCの表示が100SCCMの時、実は98SCCMですよ」と書いてある訳ですね。

 重要なのは「ずれている、ずれてない」ではなく、トレーサビリティの取れた流量体系で貴方のMFCがどの位置に組み込まれているという事の証明を受けることなのですね。
この書類さえあれば、世界中のどんなお客様に対しても「うちで使用しているMFCの流量には、このようにJCSS流量校正証明を受けております!」と胸を張ってプレゼンしていただけます。

 今までの連載で、平井さん取り組まれている音速ノズルを使用した、流量のJCSS校正業務について、その一端でもお伝えできたらと思っております。

エピローグとして、平井さんの製品 音速ノズル式気体流量校正器 MRシリーズ をご紹介します。
MRシリーズは、今までご紹介してきた平井さんの気体用流量計校正用に熟成されてきた音速ノズルを搭載した流量計です。
N2、ドライエアー、H2、Heなどの実ガスで校正された、国際MRA対応のJCSS校正証明書が発行され、国家標準までのトレーサビリティが正しく保証されています。

 校正を行う場合、対象となる流量計を平井さんに持ち込んで依頼する方法と、逆にMRシリーズを購入されて、本器をワーキングスタンダードとして社内の流量計を管理する方法、トレーサビリティが取れた体系を管理していく体制が整っていれば、どちらの方法でもアプローチすることが可能なのです。

MRシリーズは、入口圧力条件により、350kPa(abs)以下で使用する「LOW PRESSURE」仕様と、700 kPa(abs)以下で使用する「HIGH PRESSURE」仕様の2種類があります。
今までの連載でお話ししてきましたように、下流に設置する被校正対象である流量計の仕様圧力や仕様圧力により使い分けて頂く形となります。

詳しくは株式会社平井 システム事業部 技術研究所 までお問い合わせ下さい。

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真・MFC千夜一夜物語 第121夜 マスフローの流量は、誰が保証してくれるの?その8

MFC(マスフローコントローラー)流量は、誰が保証してくれるの?と言うお話です。

下の写真はMFM(マスフローメーター)の実ガス校正風景です。

120718_01.jpg

左から順番に実ガスボンベ、レギュレーター、圧力センサ、APC、そしてセンターに主役の「音速ノズル」が並んでいます。
使われている圧力センサも、通常の圧力センサの比ではないくらい高額で、その分高性能なものが選定されています。(取材中、金額を聞いて目が飛び出しました・・・)

(株)平井さんへMFC/MFMの校正依頼する場合に注意すべき点があります。

ご存じのようにMFC/MFMはそれ単体では動作せず、電源を供給し、流量出力を取りそれを「表示」する機器との組み合わせで使用されます。
平井さんに校正を依頼するとき、装置についているMFC本体だけを送って校正をお願いするという考え方は、MFCの世界では一般的なのですが、このJCSS校正作業の場合は×です。

 あくまで「流量」を校正するという考え方である以上、「流量表示器」との組み合わせでないと校正は受けられないのです。
なぜなら電気信号はあくまで「電圧」「電流」といった「流量」とは異なるカテゴリーであり、校正証明書を発行するのは「流量」に対してのみだからです。
また使用する表示器が異なることで生じる表示器差という問題もあります。
電気信号が必ず同じ流量に変換表示されるとは限らないのですから・・・

「流量表示器」に関しては、下図にあるようなLED表示であったりしても、またはPCの画面であっても構いません。
ただ、JCSSの銘が入った校正証明書を取得していることを謳う必要があプロセスで常用する機器をMFCとセットで持ち込んでいただく必要があるのです。

130823_01.jpg

「流量計」というものは「流量を計り示すもの」ですね。

故に基本的に表示までが一セットで管理されます。
その点、流量計でありそうで、そうでない扱いをされることが多いMFCは、やはり少し異質かもしれませんね。

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真・MFC千夜一夜物語 第120夜 マスフローの流量は、誰が保証してくれるの?その7

MFC(マスフローコントローラー)流量は、誰が保証してくれるの?と言うお話です。

今回ご紹介しますのは、音速ノズルに「値付けする」のには欠かすことが出来ない技術です。
値付けする、すなわち音速ノズルを校正するのはどんなものなのでしょうか?

流量校正のトレーサビリティに準じてご説明しましょう。
そもそも産業技術総合研究所さんが所有する国家計量標準の「特定標準器」で、平井さんが所有する「特定二次標準器」は校正されています。
この「特定二次標準器」は、電子天秤を用いた秤量システムの気体流量校正装置です。
電子天秤は重さを量る物ですね?そう、この標準器は気体流量を質量で量る事で校正します。

特定二次標準器
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電子天秤
120711_02.jpg

 そしてこの特定二次標準器で、ワーキングスタンダード(実用標準)である音速ノズルを校正し、その音速ノズルで流量計やMFCを校正することにより、トレーサビリティの取れた流量校正が行われるわけです。
ここで使用される電子天秤は非常に高精度な物で、日本に数台しかないそうです。
その電子天秤を正確に作動させるために、写真にあるようにアルミ製の約1m角のチャンバー内に置かれ、真空に引かれた状態で計測されます。

 なぜ真空に引くのか?その理由は「空気の浮力」を打ち消すためです。
我々の暮らす大気は実は高気圧、低気圧という天気図でおなじみの用語でわかるように、気圧変動を続けています。気圧の変動はそのまま「空気の浮力」を変化させてしまいます。

 また、地盤が弱いと外部からの振動影響、例えば前の道をトラックが走っていくことで受ける振動影響を軽減すべく、平井さんではシステムの置かれる居室直下の地盤改質を、導入前にわざわざ実施され、他の居室よりも強固な地盤と化しているとのことです。

 こういったどちらかと言うと無視、軽視されがちなファクターを一つずつ丁寧に潰しこんで行くストイックなまでの姿勢が、流量校正を極めていくのには必要なのだと、取材中Decoは大変感銘を受けたものでした。
まさに「ローマは1日にしてならず」ですね。


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真・MFC千夜一夜物語 第119夜 マスフローの流量は、誰が保証してくれるの?その6

MFC(マスフローコントローラー)流量は、誰が保証してくれるの?と言うお話です。

 この話題に関しては、MFCに詳しい方でもあまり認識されていなかったり、MFCを販売する側もあまり強く気にしていない「実ガス流量のトレーサビリティ」という問題が絡んでいるからで、そこをお話ししていくと軽く20~30話と費やしてしまいそうなお話です。
さすがにそこまでは本ブログで書く内容でもないので、今回の連載では要所要所をお話ししていきます。
興味をお持ちになった方は、(株)平井 システム事業部のHPにアクセスしていただくのもいいかもしれませんね。

 さて、「なぜAPCを使って音速ノズルの上流圧力を精密制御する必要があるの? 」という御質問に対する回答になります。

音速ノズルは1次圧≧2次圧×2の関係が成り立つとき、流速(流量)は固定されるという原理なのですから、この公式を見る限り、「二次側真空引きしておいて、一次側はその倍の圧力をかけたらいいのでしょ?」と考えがちですですが、それでは困ることもあります。

主な理由は以下の2点です。

① 音速ノズルを基準器として流量校正を行う際には、音速ノズルの2次側に被校正対象の流量計なりMFCを置く事になります。
下流側に置くという事は、即ちその機器の圧力損失が音速ノズルの下流に発生するという事で、音速ノズル二次側に圧損が生じれば、その分音速ノズル1次側も圧力を上げなくてはならなくなってきます。
この圧力制御は、被校正対象個々の圧力損失に応じて常に可変する必要があります。

② 現実に音速ノズルを基準器として使用する場合、一つのノズルでカバーできる流量範囲にある程度の幅が無いと運用上大変苦しい事になります。
たとえ依頼された被校正対象が1つでも測定レンジは2箇所以上あるわけですし、複数の種々な対象を想定するとノズルをそれにあわせて都度用意するのは現実的ではありません。
その為、1種類の音速ノズルにある程度の流量レンジアビリティを持たせようとした場合、1次側圧力を大気圧以上のある範囲で精密に制御できないといけないのです。

この2点から音速ノズルを校正で使用する圧力・流量条件を可変させるために、APCにより1次側を大気圧以上の値に高い精度で圧力制御する必要があるのでした。
音速ノズルを多種にわたる流量計に対する現実的な校正原器として運用するためなのです。

APCを用いて制御をする理由は、他にもプラスしてPID制御による繰り返し性能に優れること、制御データを校正データの一部としてリアルタイムロギングできることも挙げられます。
このAPCは平井さんの製品で、まさに「流量校正作業への必要性」から作り出されたと言えるのです。
(ちなみにAPCのみでの外販もされているそうです。)


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真・MFC千夜一夜物語 第118夜 マスフローの流量は、誰が保証してくれるの?その5

MFC(マスフローコントローラー)流量は、誰が保証してくれるの?と言うお話です。

「音速ノズルをどうやって運用すれば、高いレベルの気体流量計測ができるのか?」というお話を具体的にご説明していきたいと思います。

まず、以前平井さんに流量校正をお願いすることがあり、Decoが実際に流量校正現場にお邪魔した際に撮影させてもらった写真を掲載させてもらいます。

120620_01

これだけでは何の事だかわからないと思いますが、実はこの写真の中にすでに色んな工夫が盛り込まれているのが見て取れます。
その中で主となる部分をご説明していきましょう。

上の写真で音速ノズルの左側が流体の入ってくる一次側(上流)になります。
写真の左上にAPCというキャプションがついているMFCのような形をした機器があるかと思います。
APCとは Automatic Presure Controller の略語で自動圧力制御器のことです。
このAPCは700kPa(A)までの高精度な圧力制御が可能です。

 論より証拠で下の写真を見て頂くとわかるのですが、これは先日Decoが取材中に許諾を得て校正作業を行っておられるパソコンの画面を横からパシャリと撮影させていただいたデーターです。
APCで制御された一次圧をモニターしたものですが、10Pa以下の幅に収まっています。

120620_02.jpg


 これは生半可なAPCではなかなかできない制御分解能です。
このタイプのAPCは圧力センサーの信号を受けて、目標の圧力値になるように、流量制御バルブの開度を制御します。流量制御バルブはMFCと同じソレノイドアクチュエーターを使用していて、リフト量を調整することでバルブ部分の圧力損失を可変し流量を作り出すことで結果として圧力を制御するものです。
レギュレーターのようにバネと圧力のバランスで圧力を作り出すような直接的な圧力制御ではありません。
「流量を可変させた結果として圧力を作り出す」というAPCの原理にして、この安定性は驚くべきことなのです。


 では、なぜこれほどの高精度なAPCを使って圧力を大気圧以上にして精密制御する必要があるのでしょうか?
次回は、ここをもう少し突っ込んでお話ししましょう。


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プロフィール

EZ-Japan(イージージャパン)代表 黒田 誠

Author:EZ-Japan(イージージャパン)代表 黒田 誠
MFC千夜一夜物語のDeco こと 黒田 誠 です。
2014年6月より流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”EZ-Japan(イージージャパン)として開業いたしました。

流体の流量・圧力・温度に関わる計測・制御技術の伝承と、新技術のご紹介を行うエバンジェリスト(伝道師)の仕事を生業といたしております。

日本工業出版さんの「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載を続けさせて頂いています。

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