真・MFC千夜一夜物語 第117夜 マスフローの流量は、誰が保証してくれるの?その4

MFC(マスフローコントローラー)流量は、誰が保証してくれるの?と言うお話です。

 さて、株式会社平井さんのHPの「気体用流量計の校正における国際MRA対応JCSS校正事業者(ISO/IEC17025適合)の認定を受け、国家計量標準とトレーサビリティの取れた標準器で「確かな不確かさ」を保証した校正業務を実施しています。 」という記載の説明として、校正という言葉の意味をご説明してきました。

 平井さんの場合、この校正業務に於いてJCSS校正事業者の認定を受けていると記載されています。

JCSSとは、Japan Calibration Service Systemの略称で、平成5年11月より計量法に基づく校正事業者認定制度として運営されてきましたが、平成17年7月1日より校正事業者登録制度となりました。

校正事業者登録制度は、国際標準化機構及び国際電気標準会議が定めた校正機関に関する基準(ISO/IEC 17025)の要求事項に適合しているかどうか審査を行い、校正事業者を登録する制度のことです。

詳しくは NITE 適合性認定分野 JCSSの記載 を参照下さい

簡単に言うならば「あなたの使用しているMFCの流量値を、世界中のどこに対してでも保証してくれる」そういったお墨付きを得ることができるということなのですね。

「でも、Decoさん、MFCメーカーだって校正証明書を出しているじゃないですか?それと平井さんのJCSS校正証明書はどう違うのですか??」という御質問が来そうですですね。

それにお答えするには、「平井さんの校正業務とはどんな内容なのか?」からお話ししていきましょう。まずは、その気体流量校正の肝とも言うべき「音速ノズル」に関してご説明しましょう。

音速ノズルとは以下の図のような形状のものです。
120613_01.jpg
*株式会社平井 システム事業部 技術研究所 HPより転載

音速ノズル、ソニックノズルとも言いますが、読んで字のごとく音速を作り出すノズルの事です。

古くからある差圧式流量計をさらに数歩進めた形になるのですが、そもそも音速ノズルを通過する気体の圧力、温度条件をしっかり抑えることで、高いレベルで流量計測ができることは、実は昔からよく知られていました。
例えば標準ガス(混合ガス)という、数種類のガスをある比率でブレンドしたガスを作る際にも使われています。
これを少流量用に転用するべく、産業技術総合研究所で研究が行われ、「日本の気体流量の国家標準を高精度で国内に移転するための標準移転用流量計」として採用された事が、音速ノズルにとっては大変エポックメイキングな出来事でした。

 簡単に音速ノズルの原理をお話ししましょう。(以下は平井さんのHPからの受け売りです)
図1に実際使われている音速ノズルの断面図を掲載します。

120613_02.jpg
*株式会社平井 システム事業部 技術研究所 HPより転載

 気体が流れる音速ノズルの上流側圧力と下流側圧力の圧力比(=下流の圧力/上流の圧力)がある値(臨界圧力比)以下に なると、スロート部(一番狭いところ)を通る気体の流速は音速に等し くなります。
このことを、流れがチョークすると言います。
この時、スロート部における流速はノズルの下流状態に依存しなくなり、 いったん音速に達した後は、圧力差が大きい限り(臨界圧力比以下) 音速から変化することは無くなります。(図2参照)
従って、臨界圧力比以下であれば、下流側の条件変動によらず常に 一定流量を発生させることができるので、可動部を持たない高精度な 流量計測が可能な流量計として利用できるのです。

「なんだ・・・それならよく似た原理の製品を聞いたことあるよ」という向きがあるかもしれません。
でも、それは似て非なるものかもしれませんよ?
平井さんのすごいのは「音速ノズルを使っているから」だけでは無いのです。
「音速ノズルをどうやって管理運用すれば、高いレベルの気体流量計測ができるか?」という所をストイックなまでに探求されてきたからなのです。
次回からDecoの取材でその一部をレポートいたします。

記事内容に関しましての詳細は株式会社平井 システム事業部 技術研究所 HP 「音速ノズル」 に関する記載をご一読下さいますと幸いです。


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真・MFC千夜一夜物語 第116夜 マスフローの流量は、誰が保証してくれるの?その3

MFC(マスフローコントローラー)流量は、誰が保証してくれるの?と言うお話です。

 さて、今回のお話で助っ人頂くことになっている株式会社平井さんのHPに「気体用流量計の校正における国際MRA対応JCSS校正事業者(ISO/IEC17025適合)の認定を受け、国家計量標準とトレーサビリティの取れた標準器で「確かな不確かさ」を保証した校正業務を実施しています。 」という表記があります。
ちょっとチンプンカンプンなのだけれど・・・とおっしゃる向きもあるかもしれませんね。
ここを少し掘り込んでお話してみましょう。

まず「校正」という言葉です。

校正するという言葉をよくMFC関係で使う時に大きな勘違いがあるときがあります。
「校正」という用語について、JIS Z 8103-2000『計測用語』には、以下のように定義されています。

「計器又は測定系の示す値、若しくは実量器又は標準物質が表す値と、標準によって実現される値との間の関係を確定する一連の作業。
備考:校正には、計器を調整して誤差を修正することは含まない。


 この文を読まれた方で、最後の備考内容に???となておられる方がおいでかもしれませんね?
誤差を修正する作業を校正とは言わない・・・と記載されています。
つまり、「MFCを校正してください!」とお願いすると、「これだけのズレが確認されました。でも、そのズレは調整していません」という回答が来るという事です。
MFCの業界ですと、校正=調整を含むと理解されがちですが、計測分野での本来の言葉の意味は異なるという事ですね。

 脱線しますが、校正という言葉は、本来は活字の世界の言葉であり、「文章に用いられる文字の誤りを比べて正すこと」が本来の意味です。
そこから転じて計量法の世界で、上記の意味に修正されて用いられています。
そんな計量法での「校正」に対して、「較正」という言葉があります。
これは、電波法に拠り所を持ち、調整作業を含む意味になります。

この差が生じている背景には電波法と計測法の成立した時代背景の差があるという説があります。
電波法は古く、較正という字を用いて校正の意味を持ち、なおかつ軽微な修正を校正した人間(組織・企業)が行ってしまっても問題はなかったおおらかな時代が成立背景にあります。
それに対し、計量法は成立が新しいため、複雑化した機器に対して校正を行った人間(組織・企業)が、再調整作業も責任を持って実施することが難しくなった為に、敢えて較正から校正という語に変えて、再調整作業を範疇から外したというのが、説得力のある説明かと思います。

ちなみに校正を英語に置き換えるとCalibrationが相当すると言われていますが、Decoの感覚だと違和感があります。
どちらかというと較正=Calibration、即ち調整作業Adjustmentを含んでいるという感覚ではないでしょうか?

 平井さんの事業内容を説明する最初に「校正」という言葉の説明に字句を費やしましたが、実は非常に大きな意味があるからです。
平井さんの行われる内容はまさに「校正」であり、一般のMFCメーカーが行う「較正」ではないという事を正しくご理解いただく必要があるからです。


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真・MFC千夜一夜物語 第115夜 マスフローの流量は、誰が保証してくれるの?その2

MFC(マスフローコントローラー)の流量は、誰が保証してくれるの?と言うお話です。

「そんなのMFCメーカーに決まっているじゃないか!」とおっしゃる方々は、お手元のMFCの検査成績書をご覧ください。
メーカーにより差こそあれ、そこで示されているデータは、窒素(N2)もしくは、何種類かの疑似ガスで採られたデータではありませんか?
MFCに記載されているガス種(例えばSiH4やNH3)でのデータではありませんね?
記載されているのは、校正ガス(N2やAir、ごくまれにSF6等)に、それと表記ガスとの流量比の係数であるコンバージョンファクター(CF)を乗算した流量値が書かれているのではないでしょうか?

 では、そのCFの裏付けはなんでしょうか?

以前の連載でお話ししているので、記憶頂いている方もおられるかもしれませんが、あるガスは計算値であったり、あるガスは経験値であったり、はたまた実測値と言いながら、あくまで「相対的」な値でしかなかったりします。
しかもCFはMFCメーカー間で共通値でないだけでなく、機種毎、流量レンジ毎、あるガスは圧力や温度でさえ異なり、一つのガスに必ず一つの値ではありません。
これでは真の流量値を示すファクターとして適切でないのも当たり前です。


 「いやだな、Decoさん。今や世の中には実ガス流量保証しているMGMRタイプがあると説明してたじゃないですか?」という声も聞こえて参りました。

残念ながら実ガスデータベースを前提で構成されたMGMRタイプも、このお題では同じ立場なのです。なぜならば、ほとんどの場合その実ガスデータはRORで採取されており、それはMFCを調整するための校正用ガスであるN2との「相対的な」比率でしかないからです。

 では、誰がマスフローの流量にお墨付きをあたえてくれるのでしょうか?
ここに頼もしい助っ人がおられます。

株式会社平井 システム事業部 技術研究所

 音速ノズルを用いた気体の流量測定技術や、流量制御技術の研究を行っております。
気体用流量計の校正における国際MRA対応JCSS校正事業者(ISO/IEC17025適合)の認定を受け、国家計量標準とトレーサビリティの取れた標準器で「確かな不確かさ」を保証した校正業務を実施しています。
また顧客が所有する気体流量計の、トレーサビリティの取れた校正を行うのに適した、音速ノズル式気体流量校正器「MRシリーズ」を製造・販売(MRA対応JCSS校正証明書付き)しています。

*株式会社平井 システム事業部 技術研究所 HPから引用

株式会社平井さんの協力を得て、MFCでの流量校正というものを探求してみましょう。


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真・MFC千夜一夜物語 第114夜 マスフローの流量は、誰が保証してくれるの?その1

MFC(マスフローコントローラー)の流量は、誰が保証してくれるのでしょうか?
いきなり直球でお聞きしました。

「皆さんのお使いになっているMFC&マスフローメータ(MFM)の示している流量は正確ですか?それを証明するエビデンスはありますか?」


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 例えばあなたの使っておられる製造装置にMFCが使われていたとしてみましょう。

ある日、あなたは上司から「うちの製品を作るのに使っているXXガスだけど、ちゃんとした国家基準に準じた計測器で管理しているのだろうな?来週、お客様がそのことを確認しに来る。ちゃんとご説明するように!」と言われました。

 急なことで驚きながらも、「わかりました」と応えたあなたは、すぐ準備・確認に取り掛かります。
「メーカーで検査成績書つけてもらっているし・・・」
「校正証明とトレーサビリティ体系図ももらっておこう・・・」


(これで対応できるだろう・・・)あなたは胸を撫でおろします。

さて、説明当日、準備した資料で流れるように説明をするあなたへ、お客様から思わぬ指摘が入ります。

「このメーカーの検査成績書に書いてある校正ガスと、この装置で使用するXXガスは異なるガスですね?ガスが異なるのに流量データが正しいと言える根拠は何ですか?」

「コンバージョンファクターという係数を使って、校正ガスと使用しているガスの流量値を補正しているとのことですが、その係数の根拠は?国際規格で認められた手法で設定された係数なのでしょうか?」

「そもそもこのトレーサビリティ体系図は、そのメーカーが作成したものでしょう?なのにそのコンバージョンファクターとかいう係数に関する記載が無いですね。ということは、あくまでメーカーが校正したガスに対するトレーサビリティに限定されるということですね?」

貴方が口ごもっていると
「これでは困るなぁ・・・」
と、お客さんたちは顔を曇らせてしまいました。

言葉に詰まったあなたの顔は真っ青になり、傍らの上司の顔は次第に真っ赤になってきてしまいました。さぁ、あなたはこのピンチから脱出できるのでしょうか?

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こういった困ったシチュエーションに陥らないように、どうしたら国家標準、そして国際標準に適応した「流量」が手に入るのか?をお話していきたいと思います。

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真・MFC千夜一夜物語 第113夜 MGMRはMFC進化の証!? その9

MGMRタイプMFC(マスフローコントローラー)のお話です。

今回は長く続いたMGMRのお話の最終回です。

2000年代のデジタル制御で進化の恩恵を被ったのは、MFCという機器も例外ではありませんでした。
デジタル化がもたらした最大の進歩が、ご説明してきましたMGMR技術です。
圧力上昇率を用いた流量検証方式等で各メーカーさんが苦労して蓄えてこられた貴重な実ガスデータベースに支えられて、今やMGMRはMFCの花形として認知されています。
なによりもユーザーサイドでパソコンと通信ケーブルを用意すれば、誰でも簡単な操作でガスと流量を変更できるのですから、便利この上ない製品です。

 では、そんなMGMRタイプMFCの最大の弱点はなんでしょう?

それは・・・ヒューマンエラーです。

今までのMFCのガス種・流量は、メーカー出荷状態で固定されており、よほどの事がない限りユーザーサイドで変更されることはありませんでした。ところが、MGMRは、前述の通り誰でも簡単な操作でガスと流量を変更できます。
これは諸刃の剣でもあるのです。

「操作ミスで意図したのと違うガスに変更してしまった・・・」

「在庫品のガス・流量が変更されているのを確認せず誤ったラインで使ってしまった・・・


こんな状況でMFCにガスを流してしまえば、場合によっては大きな問題を引き起こしかねません。

MGMRが導入され始めた頃、運用上の人為ミスを嫌って、「MGMR変更作業は自分たちでは行わない」という思想のお客様も実際におられたと聞いたこともあります。

便利になったからこそ、そのことが招く負の部分をしっかり把握して、確実に運用するシステムを構築していけばいいとDecoは考えます。
いかにモノが進化しても、最後にそれを使うのは人間ですから・・・皆様は、どうお考えになりますか?

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真・MFC千夜一夜物語 第112夜 MGMRはMFC進化の証!? その8

MGMRタイプMFC(マスフローコントローラー)のお話です。


前回の説明で触れたROR=圧力上昇率を用いた流量検証方式に関して、もう少し詳しくお話ししたいと思います。

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上図にあるようなフローが一般的な圧力上昇法を使った実ガス測定方法です。
(あくまで簡略化して書いていますので、念のため・・・)

簡単に手順を説明します。

・ある一定の容積を持ったチャンバーを、恒温槽の中に入れ一定の周囲温度に安定させた状態で、ポンプで真空引きします。

・MFCに一定の流量設定値を入力し制御させてガスを流します。
この時、導入したガスでチャンバーの温度安定が乱されないよう熱交換器で適度な温度に昇温する必要があります。

・チャンバーの真空度がある一定の値まで上昇するのに要した時間を計ります。

・同じMFCで同一の設定流量に制御して得られた圧力上昇に要した時間の比が、そのままN2とガスAの相対的な流量比率となります。

この方法は、半導体製造装置等の真空チャンバーを持つ装置で、よくMFCの流量検定等に使われており、「ビルドアップ法」等と呼ばれることもあります。
実際にN2と使用する実ガスを流して得られたデータですから、ちゃんと運用すればMGMRのデータ取りには適役と言えます。

ただ、何点か難しい管理ポイントがあります。

①温度管理・・・チャンバーと流入するガスの温度管理を厳しくしないと、温度によるガスの体積変化がそのまま、圧力上昇時間に影響してしまいます。

②容積管理・・・チャンバーの容積は不変であるのは当たり前にですが、測定するMFCの流量レンジで合ったチャンバーでないと、一瞬で圧力が上昇してしまったり、なかなか圧力が上がらなかったり・・・という問題が発生します。

③圧力管理・・・真空計の管理も当然必要ですが、そもそもチャンバー導入するN2と測定ガスの圧力も制御されていないといけません。刻々変化する二次側圧力の影響でMFCが途中で暴れたら台無しです。

④ 安全管理・・・当然ですが、ガスを流す以上、高圧ガス保安法に則した設備と管理体制が必要です。

 ここで一番やっかいなのは、やはり測定対象MFCの流量が一般的なものだけでもF.S.5SCCM~50SLMと実に1万倍!もあるという事です。
それぞれに対応する設備を構築するのはなかなか難しいことですね。
多岐に渡れば渡るほど、難しければ難しいほど、そして安全を追い求めれば追い求めるほど、難しいのは前回書いたように、お金の問題なのです・・・


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真・MFC千夜一夜物語 第111夜 MGMRはMFC進化の証!? その7

MGMRタイプMFC(マスフローコントローラー)のお話です。

MGMRを進める上での最大の難所ともいえる実ガスデータベース構築のお話しです。
デジタルMFC誕生から今日までの、ユーザーさん、メーカーさんの技術の蓄積に加え、電子デバイスとそれを用いたデジタル制御技術の進化でMFC自体はMGMRに対応できるハードとして熟成して来ました。
つまり「器」は熟してきた訳です。

 ところが、その「器」に入れ込むのに最適化されたガスデータが揃わなければMGMRは成り立ちません。
ガス種・比熱・密度・流量レンジ・圧力・温度・・・といったファクターをいくら計算式に当てはめても、それでは従来のコンバージョンファクターと変わりない世界しか現れず、「シビアなプロセスマージンを要求する最先端の半導体製造装置用途では役不足である!」という要求に対して、メーカーさんが選ぶ選択肢は、「N2と実ガスをMFCに流し、データを採ること」になっていきました。

 ですが、ほとんどのMFCメーカーさんは、今まで実ガスをMFCに流して、それを何らかの手段で測定する設備を持っていませんでした。
それどころか、「高圧ガス保安法」で特に危険度が高いと定められている「特殊高圧ガス」を計測用途とは言え「消費」する限りは、シリンダーキャビネット、除害装置・・・といった設備投資と、所在地の都道府県関係部署への届出、許可等といった初歩の初歩から始めなくてはいけません。

 更に測定そのものを行うのはROR流量検証方式(真空チャンバーにガスを導入し規定の圧力に達するのに要した時間の比較により、ガスの相対的な流量比を検証する方式)設備が必要であり、その検証精度を上げるためには、圧力・温度・チャンバーの体積・・・といった様々なファクターを高い精度で押さえていかなくてはなりません。
「N2を基準に各ガスの流量比」と一口で言っても、そのN2の「流量」は何で測定し、何をもって定義するか?という基本中の基本もちゃんと見直して理論武装しておかなければ、MGMRの根底が揺らぐことになってしまうのです・・・

 こういった設備投資だけでも数千万円必要です。
しかも、そのドンピシャな答がどこかの書籍に載っている訳でも、「これを買えば明日からMGMR」等といった設備がどこかで売られている訳ではありませんから、そこに至るまでの人・モノ・時は莫大な投資としてメーカーさんに押し寄せるのです。
そこで議論されるのは「ここまで投資してMGMRは売れるの?利益になるの?」という点です。

 民間企業である限り、新製品には必ずこういう関門が出現します。
果たしてMGMRはどうなのでしょうか?
こういうものはいくら数字を並べようとしても、結局は捕らぬ狸の何とやら・・・です。
最終的には経営センスでのGOサインな筈ですが、「他社もやっているからGO!」とか。「お客さんが言うからGO!」だったりもします(苦笑


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真・MFC千夜一夜物語 第110夜 MGMRはMFC進化の証!? その6

MGMRタイプMFC(マスフローコントローラー)のお話です。

ここからが核心部分ですので、もう数回のお付き合いをお願いします。

 前回「メーカーサイドではこの書き込むガスデータを採るのが大変な労力であり、またそのデータの精度がいかに高いか?(実ガスを再現しているか?)がMGMRタイプの性能評価自体を左右するクリティカルな部分なのです。」とお話ししました。
ガス毎にN2との流量比分の補正データを書き込むことで、MGMRタイプはガスの変更が可能になります。
このN2との流量比というところが問題で、単純にN2以外のガスといってもAr,CO2,Cl2,BNH3,SiH4,SF6,WF6・・・と多数のガスがあります。
その流量を一つ一つ「実測」しなくてはなりません。(計算値で出したら、それは詰まるところコンバージョンファクター(CF)と同じ轍を踏む事になってしまいます。)
半導体製造用ガスの中には毒性、腐食性のある危険なガスもあり、一口に「実測する」と言っても、なかなか難しいところです。

 更に大きな問題があります。
それは「N2 vs 他のガス種」の分だけ「実測」するだけでは、終わらないと言うことです。
前にも触れましたが、N2との流量比が必ずしも一つの定数で表せないガスが存在します。
温度、圧力により変動するガスもあります。
突き詰めて言えば、前夜お話ししたMGMRタイプの流量サイズ毎に異なる=ほとんどのガスでサイズ毎に実測する必要があるというのが実情なのです。

mgmr0111.jpg


 実ガスでの直線性を忠実に再現しようとすればするほど、実測データはよりきめ細かく採る必要があり、各サイズのフルスケール流量レンジ2~100%の中で何ポイントかを「実測」し、更にそれを流量サイズ毎に、更にガス種毎に採ってデータベースとしていかなければならないのです。
これはメーカーにとって、大変な労力と大規模な投資を要求するものでした。
かといってこの高いレベルの実ガスデータベース構築という作業を怠れば、MGMRタイプMFCは世の中では見向きもされないのはわかりきった事でした。

 MGMRタイプが求められてきた背景には、「ガス/流量が容易に変更できれば」という需要があります。
ところが「容易に変更できるようになったのですが、実ガス精度や直線性が悪くなっちゃいました!」では許して頂けない程、昨今のMFCに求められる実ガス精度、繰り返し性、直線性、そして器差に対する要求のハードルは上がってしまっていたのです。

次回は具体的に実ガスデータベース構築のための「実測」に要する苦労をお話ししたいと思います。
そこには「MGMRを推し進めることは、MFCメーカーにとって果たして是か非か?」という、まるで「ガイアの夜明け」に登場しそうな大論戦までが起こってしまい・・・

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真・MFC千夜一夜物語 第109夜 MGMRはMFC進化の証!? その5

MGMRタイプMFC(マスフローコントローラー)のお話です。

先般の【MFC用語辞典】、マルチガスマルチレンジ(MGMR)の項で「だからといって1台で全てのガスと1SCCMから1000SLMまでをカバーできるわけではない」と書いておきました。
実はこの記載は今回のお話への伏線だったのですね。

 MGMRと言っても、基本構造は従来のMFCと同じフォーマットを踏襲しており、その構造上の限界から、1台で全てのガス・流量に対応できるスーパーマン(スーパーMFC?)ではありません。

実際はN2換算した流量レンジ(メーカーにより異なりますが、だいたい5SCCM~50SLMというMFCにとっての一般的なレンジ)に対して十数種のMGMRタイプMFCを予めラインアップすることで対応しています。
従って個々のタイプには流量の守備範囲が存在し、これを超えてのガス/流量変更は出来ないことになります。

MGMR120104.jpg
*本例はMGMRの概念をわかりやすく簡略化した図です。記載内容は特定の企業や製品に関する記述ではありません。


 上図で示しましたように、MGMRでガス/流量変更する際にベースとなるMFCは十数種あるのが一般的です。
まだMGMRとしてガス&流量レンジの「値付け作業」が済んでいない状態では、まさにでネイキッド(裸の)MFCなのです。

 変更したいガス、流量レンジに適応するタイプ、例えば#4を選んで、希望仕様にあわせたデータをPCから通信で送り、MFC内部のメモリーを書き換えることで変更作業が行われます。
その書き換え作業に必要な時間は、機種により異なりますが、わずか数分程度です。

こう書きますと、ユーザーサイドでの作業は非常に簡単ですが、メーカーサイドではこの書き込むガスデータを採るのが大変な労力であり、またそのデータの精度がいかに高いか?(実ガスを再現しているか?)がMGMRタイプの性能評価自体を左右するクリティカルな部分なのです。

次回は、その部分をお話ししましょう。

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真・MFC千夜一夜物語 第108夜 MGMRはMFC進化の証!? その4

MGMRタイプMFC(マスフローコントローラー)のお話です。

 CF(コンバージョンファクター)を使ったマルチガス対応に関しては、鳴り物入りで登場した第1世代デジタルMFCでも対応は難しかったのが現実でした。

デジタルMFCはCFを簡単に変更できるだけでしたので、「CF自体が複数あるようなガス、F.S.90%の流量制御ポイントと、F.S.50、10%くらいの流量域では大きく異なってしまうようなガスに対しては、1ガス=1CFでは対応できない場合もある」という問題をクリアできなかったのです。

mgmr4.jpg


 大きな期待をもって迎えられたデジタルMFCによるマルチガス対応は一部を除き落胆へと変わっていきました。
でも、MFCメーカーの技術屋さん達は、決して諦めた訳ではなかったようです・・・

 この問題を当時のDecoなりに考察した結果、MFCの更なる進化が必要でした。
CFデータを1つしか使用できないデジタルMFCのハード性能の改善です。
乱暴に言えば「複数のCFで対応しなくてはいけないのなら、全部MFCに憶えさせてしまえ!」ということです。

 実はこれ自体はそんなに難しいことではありませんでした。
既にデジタル制御に進化したMFCであり、低流量設定での応答性能向上のために、設定流量に応じてマルチPID制御化するという技術は開発済みでした。
そもそもデジタル化したことで、EEPROM等に各種調整データを書き込めるエリアがあるわけですから、アナログ時代のトリマー(可変抵抗ボリューム)を調整して一点決めの調整をしていた世代とは比較になりません。

ところが・・・問題はそれ以外の部分、ハードよりソフト、閃きよりも蓄積にあったのです。


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ダイエットを始めてます その5 目標達成!^^

ダイエットの第1次目標達成しました^^

130813_01.jpg

体脂肪率も6月初には 31% から 25.3% まで落とせました。

*家庭用体重計に備わってる体脂肪率の測定方法は???なところもありますが、あくまで相対的な基準として記録してます。

最近は筋肉トレーニングを毎朝みっちりやってるおかげか?出かけて外食して戻ってもそんなに揺り戻しが出てくることはないですね。
不思議とお米のご飯を食べたい欲求は、あまりありません。
暑いからかもしれませんけどね^^;

早速、次の第2次目標を設定しました。
筋肉、特にインナーマッスルを鍛えながら、-7kgダイエットしたいなと思います。

「この猛暑の時期に急激に体重を落とすのは良くないですよ」、という医師の助言もあり、当面は±0.4kgの範囲で維持するとして、年末までのゆっくりしたペースで落としていきたいと思ってます。

テーマ : ダイエット・美容・健康
ジャンル : ヘルス・ダイエット

真・MFC千夜一夜物語 第107夜 MGMRはMFC進化の証!? その3

MGMRタイプMFC(マスフローコントローラー)のお話です。

前回CF(コンバージョンファクター)をマルチガス対応が一筋縄ではいかない、とお話ししました。
1番目の問題点として、N2との流量比が必ずしも1対1の関係に無いガスが存在すると説明させて頂きましたが、もう少し具体的にお話させて頂きましょう。
(敢えて今回のご説明では2番目の問題=バルブ特性のファクターを除き、純粋な流量測定=MFMとしての機能に絞ってご説明します。)

N2用に調整されたMFCに、あるガスAを流した場合、N2との流量比率がある1つの比で表される場合は、以下のグラフのような流量特性となります。
この場合は1つのCFで算出される流量比で補正することで傾きを調整し、N2用MFCをガスA用に調整できるように思えます。

cf.jpg

ところが実際、ガスAが必ずしもN2と一つの流量比では無かった場合、一例として以下のグラフのような流量特性を示してしまいます。

cf2.jpg

 これでは1つのCFでN2用のMFCセンサー出力を補正して実ガスを流した場合、見かけ上グラフの点線で示した流量出力が得られていても、実際のガスは実線で示している分の流量になっており、斜線部分の流量誤差が全域で生じてしまうということになります。これが一筋縄でいかない理由です。

当然この傾向はガス種によって異なるのですが、大変困った事には、よくトラブルを起こしてMFCを即交換しなくてはならなくなるようなガスに限って、こういった傾向が顕著なのです。

次回は、それをどう克服して今のMGMRが誕生したか?のお話です。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】 by Deco EZ-Japan


真・MFC千夜一夜物語を含む当ブログの連載は、8/13-18まで夏期休暇を頂きます。
日本列島は猛暑まっただ中ですが、皆様呉々もご自愛下さい。

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真・MFC千夜一夜物語 第106夜 MGMRはMFC進化の証!? その2

MFC(マスフローコントローラー)のニューウェーブ=MGMR(マルチガスマルチレンジ)のお話です。

 そもそもMFCという機器は注文を頂く時点で「ガス種」「流量レンジ」を決定して発注頂く製品でした。
いわゆる「受注生産品」なのです。
よくお客様から「MFCの在庫ありますか?」というお問い合わせを現役時代に頂きましたが、一つの型式のMFCでも「ガス種」Ar, N2,O2,CO2,Cl2,NH3・・・・「F.S.流量」1SCCM~100SLMの組み合わせだけでもすごい数の組み合わせになります。
これに更に継手の種類というファクターも入れると、N2/100SCCMのような比較的オーダーされる可能性が高い組み合わせがメーカーさんでたまたま在庫されていたりする以外は、その全てを網羅した在庫がメーカーや販売店にあるわけもありません。

「そうかな?頼んだら在庫あってすぐ送ってくれたよ!
というのは、貴方がヘビーユーザーで、尚且つ大変運がよい方だからです。

 MFCの流量校正は、N2をベースにした各ガスの流量比率(センサーの感度比)であるコンバージョンファクター(以下CF)を使用して、実際に指定されたガス種を流さず、N2を流した際の換算値で調整される事が多いです。
なぜなら半導体製造用で使われるような腐食性、毒性のあるガス種の場合、それらを安全に流す設備を準備するだけでも大変ですし、そういったガスを一度流したMFCをそのまま梱包して出荷する等と言うことはナンセンスだからです。

こういったメーカーサイドの生産の仕組みを知ったお客様が思いつかれたのが、「じゃあ、全部N2ガスでMFCを使おう!CFの分だけMFCを制御する装置側の信号を補正して使えば、色んなガス種に対応できるし、いいじゃないか?」というアイデアです。

その後のデジタルMFCの黎明期では、CFやその他の設定を従来のアナログトリマを回して調整する方式からEEPROMへの値の書き込みに進化したことから、出荷後にパソコンからのRS232C通信でその数値を書き換えることができるMFCも出現しましたので、「N2ガスで買った製品を、後からCFを書き換えて別のガスで使ったらいいじゃないか?」という考えもでてきました。

 でも、それらのやり方は、あまり上手くはいきませんでした。なぜでしょうか?

まず1番目にあげられるのは、N2との流量比が必ずしも1対1の関係に無いガスが存在することです。
流量により直線性が出ない性質を示すガスがあったり、また温度、圧力によりN2との流量比が変動してしまう性質のものもありまして、N2ガス用で作られたMFCをそのガス用CFで補正して使っても、必ずしも実ガス流量が正しく制御されないという問題が生じました。

2番目は、CFという観念が一般的にMFCの熱式センサーの感度比のことに着目し、ガス種による流量制御バルブの制御特性の変化というファクターを無視していた事です。
(メーカーさんは無視していたわけではなく、社内的にバルブ定数を決定するファクターはあったのですが、あまり公にされていませんでした。) 
そのために、例えばN2用に調整されたMFCに、H2を流しますと、CFは近似値ですが、バルブのオリフィス径は全く異なるので、思いっきりハンチングしたりしてしまうのです。

一筋縄ではいきませんね。
「これでは使えない・・・」という結論から、MFCはMGMRタイプへの進化を促されることになります。

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真・MFC千夜一夜物語 第105夜 MGMRはMFC進化の証!? その1

 この10年でメジャーになったMFC(マスフローコントローラー)の新技術=マルチガス・マルチレンジ(以下MGMR)をご存じでしょうか?

MGMRタイプのMFCはPCのソフトでガス・流量をある程度の範囲で書き換えることができるのです。

MFCという製品は、基本的にガス・流量・継手等の仕様が決定してから、メーカーさんで製造する受注生産品です。
そして、一度納入されたMFCのそれら仕様を変更する・・・例えばN2のMFCをAr用にする・・・といった対応は、メーカーさんに送り返して改造して頂くしかありませんでした。
ところがMGMRタイプが世の中に出現してからは、ある程度の範囲でこの書き換えが可能になりました。それも、ものの数秒で。すごいことです!

 でも、勘違いしないでくださいね。
F.S.1SCCMのMFCを100SCCMにしたり、F.S.50SLMのMFCを100SCCMにするようなマジックはできません。
なぜならこの物語で都度お話ししてきましたようにMFCの基本構成となる流量を計る=センサー、バイパス、流量を制御するバルブのオリフィス径、アクチュエータのリフト量というハードウエアというパッケージがカバーできる範囲には限界があり、一つの組み合わせで全ての「ガス種と流量レンジのマトリックス」を網羅することは当然できないのです。

ここで「ガス種と流量レンジのマトリックス」という言葉を使いましたが、元来MFCはガス種という観念を独立して定義しているのではなく、実はコンバージョンファクター=CFという流量の相対比で考えています。
N2/100SCCMのMFCにN2を流すと当然100SCCM、Ar/100sccmのMFCにN2を流すと71SCCM程度という形で、ガス種は流量比率だけで定義することが可能なのです。
もちろんガス同士の関係は、単純な一定比率ではなく流量レンジによって微妙に変化する傾向があり、N2を基準としたときに重いガスになればなるほど、その偏差が大きくなるようです。

 そういったガスの特性差による比率変動幅は今までMFCの実ガス誤差の要因とされ、メーカーは複数のコンバージョンファクターを準備して対応してきました。
でも、この経験からそういった傾向を実測しデータベース化することで、このMGMRと言う観念が生まれたのです。
一言で「実測」、「データベース化」と言いましたが、実はこの背景にはMFCメーカーさんの長年の取り組み、投資があるのです。

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真・MFC千夜一夜物語 第104話 【MFC用語辞典】Part3

MFC(マスフローコントローラー)の四方山話をさせて頂いています。

またまた【MFC用語辞典】の登場です。
過去の連載で使った言葉に再度簡単な説明とコメントをつけて取り上げてみます。
普段の記事より肩の力を抜いて読んで頂けるよう不定期で挿入していますが、実は普段よりきつめのコメントを書いたり、次回以降の内容への伏線だったりもします。


デジタル(ディジタル)MFC


・デジタルか?ディジタルか?英語を日本語カナ表記に全て変換などできないのでどっちでもいい話

・従来のMFCの制御回路をデジタルにしたものをデジタルMFCと呼ぶ

・対義語はアナログMFCだが、アナログと言いながら回路の一部がデジタルなものもあり微妙な呼称かもしれない

・かなり勘違いされやすいが、ほとんどの場合、流量検知部のセンサーはアナログのままである

・デジタルは高精度、高速応答という思想は一時の「CD,DVDは高音質・高画質」信仰に似ている

・Decoの私見では、「性能のピーク値向上より、平均値の向上と多機能化」が主な特長

・各種通信対応できるが、MFCを「流量制御目的の単機能部品」として使用するなら、無理に通信する意味はない

・通信はむしろサブシステムでのデータロギング、MGMR(マルチガス・マルチレンジ)対応等、保守メンテナンスで有意義化される


コンバージョンファクター(CF)


・あるガスと基準となる窒素(N2)を1とした時の流量比率のこと

・つまりCF=0.5のガス用MFCにN2を流した場合、流量表示値の倍流れていることになるが・・

・MFCのセンサーの出力比であり、ガス毎のバルブの特性変化は無視されていることが多い

・つまり本当にN2が倍流れるかは、バルブ設定を確認しないとわからないということ

・ガスによりCFは一つではなく、流量レンジや圧力、温度といったファクターで数種存在する事もある

・なのにメーカーとして公表しているCFは、1ガスにつき1つであることが多い

・メーカーの公表しているCFには、実測値と計算値によるものがあった

・実測とは1つのMFCに複数のガスを流して、その実流量比を測定しなくてはならないということで・・・

・つまり「このガスを通常設備で流すのは危険では・・・」というガスは、実測でない可能性が高い

・結論:あまり当てにしてはいけない係数であり、あくまで目安と考えた方がいい

・こういう議論で最後にでる台詞は「MFCに求められているのはあくまで再現性だから」である。確かに正しいが、なんとも華のない話である


マルチガスマルチレンジ(MGMR)

・MGMR=Multi-Gas/Multi-Range の略 複数のガス、複数の流量レンジに変更可能なMFCのこと

・たまにMRMGと表記するメーカーもあるが、同じ意味です

・反対語はシングルガスシングルレンジ(SGSR)だが、要は今までのMFCのこと

・今まで同じガス・流量レンジの在庫を複数ライン分保有していた生産工場などでは、1台で数種類に対応できるMGMRに切り替えれば在庫を圧縮可能

・だからといって1台で全てのガスと1SCCMから1000SLMまでをカバーできるわけではないので、どれくらいの削減が可能かはメーカーに確認してみましょう

・メーカーにより、対応ガスやレンジは異なるので、よく調べて選びましょう

・変更作業は、PCとの通信確保とソフトでの操作が必要。今のところスマホではできない・・・はずw

・MGMR変更後のMFCの製品保証をするか?どうか?は意見が別れるところ

・そもそも自分たちでセンサークリーニングなどのメンテもやっちゃうアメリカ人は歓迎だが、自己責任を嫌う日本で普及するかは当初危惧された点

・ガスの変更を気軽に行えるが、当然変更に際しての操作ミスでの不具合発生はメーカーの保証外しませんので、ご注意を!

・実はMGMRの恩恵はユーザーよりメーカーにある。受注生産・工場制手工業からMFC脱却する道


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真・MFC千夜一夜物語 第103夜 デジタルMFCのアプリケーションソフトを使いましょう

MFC(マスフローコントローラー)の健康診断ツールMFCチェッカーのお話から発展して、今回はデジタルMFCのお話です。

デジタルMFCと通信のお話は、前々回までの連載の中でご説明しました。
デジタルMFCのデジタル通信ポート(RS485等)を使うと、アナログMFCにMFCチェッカーをつないで得られる情報よりはるかに豊富な情報を得ることができます。
流量出力、設定入力だけではなく、バルブ駆動電圧、積算信号、稼働時間、アラーム情報等・・・色んな情報を取り出すことができれば、配管ラインでトラブルが生じているまさにその瞬間に、果たして問題はMFCなのか?それともその他にあるのか?切り分けることが可能になります。

そういった用途に大変便利なのが、各MFCメーカーさんが提供されているデジタルMFC用アプリケーションソフトです。
たとえ通常はアナログ信号で制御されているデジタルMFCでも、デジタルアプリケーションソフトをインストールしてあるノートPCと通信ケーブルがあれば、簡単に、しかもMFCを配管ラインに繋いだまま情報を収集できます。

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こういったソフトは、たいていの場合MFCメーカーさんで独自のものであり、他社とは互換がありません。(オープンネットワークのDeviceNet等は別です。) 
使用するMFCメーカーに合わせたソフトを前もって入手しておかれるの事をお薦めします。
MFCメーカーさんは専業ソフトメーカーではないので、あくまで自社製品のサービスサポート用に開発されたものを、そのまま無償で(ただし、アップデートや保証は行わないという条件付きで)提供されているところもあります。

 注意すべき点として、ソフトの扱い方をよくマスターしてから実地で使用するべき、という事があります。
本来MFCのデータを読み出すために使用したはずのソフトなのに、操作ミスからMFCの初期設定値を書き換えてしまった!などという事態が発生してしまっては、元も子もありません。
メーカーによっては、通信体系に自社サービス専用に非公開コマンド(裏コマンド)を設定しているメーカーもありますが、MFCの事をよく理解せずにそういった領域に触れてしまうと、人為ミスから二次被害が発生してしまうことにもなりかねませんので、呉々もご注意ください。

デジタル世代になってMFCは便利になりましたが、その分使う側も色々と勉強しなくてはいけないのですね。

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真・MFC千夜一夜物語 第102夜 MFCチェッカーは便利ですよ

 MFC(マスフローコントローラー)の健康診断はどうされていますか?

 一番の方法は、製造元のメーカーさんに送り返して点検校正、オーバーホールをしてもらう事です。
MFCには結構消耗部品があります。
熱式センサーの巻線はたえず100℃近い温度にさらされていますので、当然経年変化が生じます。
それ以外にも見過ごされがちですが、電気基板に搭載された電子部品、コンデンサー等は寿命のあるものですし、流されるガス種によりバルブオリフィスには生成物が付着したりします。
そんな状態のMFCですから、使用開始後1~3年たったら健康診断のためにメーカーさんへ送ってもらって、あわせてリフレッシュしてもらうのが最良です。

 でも、なかなかそうはいかない現実もDecoは見聞きしています。
取り外して修理に出すとなると、長い時間そのMFCは不在になります。
もし生産ラインで使用されていたりすると、交換して使う予備品をお持ちならばよいのですが、そうでない場合は長期ラインを止めることは難しくなります。

 また、なんらかの不具合がラインで発生した際には、MFCの不具合なのか?それとも装置側制御系の不具合なのか?をまずちゃんと切り分けないと、その後の対応が全く違う方向に分岐することにもなり、大きな時間ロスを招くことにもなりかねません。

こういった状況下のMFCの健康診断をしていただくのに便利なのが、MFCチェッカーです。
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MFCチェッカーは、特に製造装置などで集中制御されているMFCに不具合が生じた際に、大変便利です。
MFCと装置の制御系を接続しているラインにこのチェッカーを割り込ませて、MFCへ供給されている①電源電圧、②MFCへ入力されている流量設定信号、③MFCからの流量出力信号をモニターできます。

 また中には更に一歩踏み込んで、独立した流量設定機能(=リファレンス5VDCを作って、それを可変するポテンショメーターを備えると言う意味)を持ち、MFCチェッカーから独自の設定信号を送ることでMFCを制御してみて、装置制御系から切り離した条件でMFCは正常かどうか?確認する事ができるものもあります。
もちろん確認できるのは、MFCのアナログ信号ピンアサインにある各信号ラインに限定されますが、現場でのトラブル確認の初動としては、必要十分の機能になります。

 デジタルMFCの場合はこういったツールを使わなくても、各メーカーで公開しているデータサンプリングソフトを使い、MFCとPCと通信させるとで更に突っ込んだ内容を確認できたり、応急処置もできたりします。
ですが、そのソフト操作に習熟する必要があったり、デジタルMFCを使っておられても、必ずしもPCと通信できる環境に無かったりすることもありますから、MFCチェッカーのような痒いところに手が届くアイテムを準備しておくのは、いざという時に大変有効なのです。


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真・MFC千夜一夜物語 第101夜 MFCはデジタルか?アナログか?その7

 MFC(マスフローコントローラー)のデジタルとアナログ、そしてデジタルMFCで使用されている通信規格に関してのお話のまとめです。


・アナログMFCはアナログ通信(0~5Vや4~20mA)でしか使用できないが、デジタルMFCには、デジタル通信、アナログ通信どちらも使用できるものが多い


・アナログ通信は、伝送距離の問題や、情報量でデジタル通信に劣る部分があるが、高い互換性を持っている。(ある半導体業界の著名な方がおっしゃった「アナログ信号は世界の共通通信規格」という名言があります。)


・デジタルMFCはデジタル通信で使うことで信号のロスが少ない制御を行えるので、デジタル通信で使用する方がより好ましいという考え方がある


・デジタルMFCをデジタル通信で使用する場合、色んな通信フォーマットが存在する。
RS232Cや485で構築された通信体系は、MFCメーカーごとにコマンドの互換性が無く、当然制御するソフトも互換性の乏しいものになってしまう。


・DeviceNetに代表されるフィールドバスは、コマンドの体系化とオープン化が行われ、同じ規格に適応した製品ならば、カテゴリーを越えて互換性がある点で使いやすい。


・デジタル通信機能は、そもそものMFCの使い勝手を向上させる目的で使用する、いわば効率のいい道具であり、MFCの本質的な性能を向上させるものではない


MFC本体がデジタルか?アナログか?の論議はよくなされましたが、通信がどうあるべきか?というのは案外考えられたことがなく、Decoも漠然とアナログ0~5VDCで使ってきました。

でも、考えてみれば世の中が急速にネットワークとの親和性を高めている現代、「MFCもデバイスレベルにこだわらず、コントローラーレベルのEthernet(Giga Bit Ethernet クラス)でいいのではないのか?」という声を聞くこともあります。

変革に対しても敏感でないいけないのかもしれません。
そういった意味でデジタルMFCの今後の同行に注目ですね。


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真・MFC千夜一夜物語 第100夜 MFCはデジタルか?アナログか?その6

MFC(マスフローコントローラー)に使用されている通信規格に関してのお話です。

RS-232C

デジタルMFCが開発され頃、PCとモデムなどの端末を接続するのに多用された規格です。
EIA-232とも呼ばれます。
今の世代のPCでは、レガシーインターフェイス扱いされ、USBやイーサーネットにその役割を譲っています。
本来は1対1の通信規格ですが、MFCではアドレスを個々のMFCに持たせて、1対多数のMFCでの通信も可能です。
ただ、そもそも近距離での1対1用の規格ですから、通信速度の遅さ等もあり複数台との通信制御は現実的ではありません。

RS485

RS-232Cよりも1対多数の通信を確立できる点、差動信号のためノイズに強い点で有利な通信規格です。
EI-485とも呼ばれます。
現在のデジタルMFCでは対応しているものが多く、モジュラーケーブル(電話線タイプ)で、MFCからMFCへ接続されている光景がよく見られます。
工業用途では一番普及している規格なのですが、近年の民生用レガシーフリーPCで通信するには USB-RS232C、232C-RS485という2回の変換で対応されることになります。

DeviceNet

ドイツのボッシュ社のCAN(Controller Area Network)技術をベースに開発されたフィールドバスの一種です。
「通信の規格化」が行われた上で、オープンネットワークとして開放されており、ODVAに参加することでベンダーとして製品を供給できます。
RS-232CやRS-485のように通信規格は共通でも、そこを走る通信自体は個々に構築された結果、互換性に乏しくなるという問題を解消し、コンポーネットメーカーにも、そしてユーザーにも「優しい」仕様となっています。

 米国主導でSEMI業界での事実上の標準センサバスとして進められたため、SEMI市場への依存が強いMFCは他のフィールドバス(PROFIBUS,CC-Link等)よりも優先して商品化される機会を得た規格です。
決して他のフィールドバス規格より突出して性能が優れているから、搭載されているわけではないのです・・・

*DeviceNetはODVAの登録商標です

詳しくは こちら ODVA日本支部HP 

(余談)
 通信規格の性能面とは異なりますが、DeviceNet対応型MFCは、個々のMFCにつけるデバイスナンバー(MACアドレス)を設定するハードウエアスイッチが備わっていて、なかなか使い勝手がいいのです。
232Cや485通信タイプの場合、「どのMFCが1番さんで、次が2番さんで、3番さんで・・・」と割り振ってやらないと、コマンドを個別に送ってあげることができません。
今までのMFCですと、メーカーさんの出荷時に個々に設定してもらうか、ユーザーで通信を確立して、PCやPLCから変更する必要がありました。
当然MFCに通電してやらないと通信はできませんから、MFCが目の前にあっても、アドレス変更ができなかったりして困った記憶があります。


ちなみにDeviceNet以外のフィールドバスでは、前述のPROFIBUやCC-Linkに対応した製品が存在します。
「MFCにあわせてフィールドバスを選ぶ」などというのは少数で、ほとんどの場合「装置の制御系の設計思想に基づいてフィールドバスを選定し、その規格に合ったMFCを探す」というパターンが多いはずですです。

詳しくは各協会のHPをご覧下さい。

日本プロフィバス協会HP こちら

CC-Link協会HP こちら

通信規格は他にも色々ありますが、お使いになる用途次第で選択されるとよいと思います。
各々のメリット/デメリットはありますが、それはMFC本体性能とは直接関係の無いものです。
「DeviceNet対応だからすごい性能のMFCなんだ!」という勘違いはされませんように・・・


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プロフィール

EZ-Japan(イージージャパン)代表 黒田 誠

Author:EZ-Japan(イージージャパン)代表 黒田 誠
MFC千夜一夜物語のDeco こと 黒田 誠 です。
2014年6月より流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”EZ-Japan(イージージャパン)として開業いたしました。

流体の流量・圧力・温度に関わる計測・制御技術の伝承と、新技術のご紹介を行うエバンジェリスト(伝道師)の仕事を生業といたしております。

日本工業出版さんの「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載を続けさせて頂いています。

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