真・MFC千夜一夜物語 第77夜 MFC専用電源ってACアダプターでいいの??

MFC(マスフローコントローラー)の専用電源のお話です。

 皆さんの家でドラマやニュースを見ているTVは何で動いていすか?動力源は何でしょう?
そう「電気」ですね。
もっと具体的に書けば、家庭内のコンセントから供給される電気ですね。
TVに限らず家電製品は、日本では皆コンセントからAC100Vの供給を受けて動いています。

(余談)
ちなみにACとは交流(alternating current)、DCとは直流(direct current)という意味です。
alternatingですから、交わると言う意味から、電流の向きと大きさが交互に入れ替わる性質を表します。
対してdirectですから、電流の向きと大きさは常に一定という意味ですね。

ところで、MFCはどうでしょうか?
先週のお話で「MFCはAC100Vで動いているのでなくDC±15V、もしくDC24Vですよ!」とお話ししました。
「コンセントには直接つなげませんよ!」ともお話ししましたね?
だから、MFCには「専用電源」が必要で、その「電源」のお話を今回はさせていただく・・・のですが、実は皆さんこの「専用電源」に似たものは既に実生活で使っているのです。

 それは例えばノートパソコンであったり、家庭用ゲーム機であったりします。
最近ではiPhone等のスマホの充電にも使いますね。
これらの機器は、見慣れたAC100V用の二極の家庭用コンセントから電源ケーブルを直接機器に接続するのではありません。
コンセントと機器の中間には、なにやら黒っぽい筆箱のような物があると思います。

これは「ACアダプター」という名前で呼ばれているもので、AC100Vでコンセントから供給される「電気」を、例えばPC用のDC19.5VやiPhone用のDC5Vといった「電気」に変換するのが仕事です。
ACをDCに変換する=AC-DCコンバーターとしての役割を担います。MFCでいう「電源」というものは、簡単に言えば最近ではすっかり身近な「ACアダプター」のような物なのですね。

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 「な~んだ、Decoさん、ACアダプターがあれば、MFCは動くのですね?確か余ったアダプターがあったような・・・」(ゴソゴソゴソ・・・)

ちょっと待ってください!
確かに役割は似たような物ですが、ちょいとMFC特有のやっかいな事があるのです!

詳しいお話は次回です!それまで、あわてないでくださいね。


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真・MFC千夜一夜物語 第76夜 MFCは電気がないと動かない・・・

本ブログでは、MFC(マスフローコントローラー)に関しての四方山話を75回続けて参りました。

今までお話では、どちらかというとMFCの動作原理、構造に関する説明をさせて頂きました。
今回からは、MFCを設置・使用する際に必要となる知識、周辺機器との関連、特殊用途用MFC等のお話をさせていただきましょう。
いわば今までの「基礎編」から「応用編」に展開するイメージですね。

 では、MFCを実際使用される事を想定してみましょう。

手元にあるこれから使用するMFCの背面、上面もしくは側面にある型式・仕様記したラベル(シール)をよくご覧ください。型式、流体(ガス)、フルスケール流量、継手は必要な仕様通りでしょうか?
これからの用途に合ったMFCかどうか、もう一度よく確認してくださいね。

このラベルのことを銘板と称する等、メーカーによって呼称は色々ですが、どんなMFCでも必ずこういった情報が本体のどこかに記してあります。
もし、このラベルの一部が欠損したり、汚れて見にくかったりしたら、そのままにせずにS/N(製造番号)を確認してメーカーで履歴を調べて貰いましょう。
もしそのブランドがもう無くなってしまって、探してもサポート先が不明という事でしたら、Decoにご依頼くださればお調べする事も可能です。

 次に、MFCを動作させる電源やケーブルはありますか?
MFCは電気を動力とする製品です。
ニードルバルブや、パージメーターのように、配管に設置したら、即動く訳では無く、電気を供給してあげなくてはいけません。

だからといって、ここでやみくもに家庭用AC100Vに直接つないではいけません。(つなげませんが・・・) 
カタログや取扱説明書をお読みいただければわかりますが、多くのMFCの必要定格は、DC±15V、もしくはDC24Vです。
つまり、日本国内ならAC100VからMFCの必要とするDC電圧へ変換する機能をもった「MFC専用電源」が必要になるのですね。

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 MFCをご購入される際は、必ずこの「MFC専用電源」をどうするか?も検討してください。
装置システムに搭載されたMFCの場合は、既に装置側で電源が用意されていますが、新しくMFCだけを購入される場合は、必要なものなのですね。

各MFCメーカーで自社製品に適切な電源を用意していますし、MFC専用電源表示設定ユニットをラインアップして製造・販売されているユーアイニクスさんのようなメーカーさんもあります。

次回からは「MFC専用電源」のお話です。

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真・MFC千夜一夜物語 第75夜 メタルシールって堅物なんですか?

MFC(マスフローコントローラー)に使用されるシールのお話です。
今回からエラストマーシールに対するもう一方のメジャーどころであるメタルシールの登場です。名前の通りメタルですから硬そうなのですが、はたしてどういうものなのでしょうか?

そもそも、メタルシールMFCが世に出たのは、そんなに古い時代のことではありませんでした。半導体製造装置に種々使われるガスの中には、非常に毒性、腐食性の強いガスが多々あります。
そういった強烈なガスに立ち向かうには、残念ながらエラストマーシールでは限界があります。そこで採用されたのがメタルシールという、名前の通り金属を材料とし、その特性を利用したシールです。
メタルシールはエラストマーシールなどでは使用が困難な、超高温・極低温・腐食・高圧力・真空 などの悪環境下で使用が可能です。その為、今や半導体プロセスガス用で使用されるMFCの殆どはメタルシールモデルだと言っても過言ではありません。

メタルシールに使用される材料は、MFCのボディの接ガス部品材料であるSUS316L、インコネルなどがあります。
ごく希に異なる金属を使用する場合もありますが、ボディ材質とシール材質が同じなのですから、逆に言えばボディ材質が腐食するようなガス種以外では使用可能ということになります。
そういう意味で、エラストマーシールよりもガス特性にナーバスにならなくて済む・・・とも言えますね。

ただ、その分メタルシールのMFCにはデメリットもあります。
それはシール性能そのものにではなく、コストにあります。最近ではかなり安くなってきましたが、メタルシールの半導体プロセスガス用のMFCはエラストマーシールの汎用品より1.5~2倍くらいは高くなります。
これはシールがメタルになったからだけではなく、製品パッケージとして半導体プロセスラインでの使用を前提としたグレードアップが図られているからです。
例えば接ガス部の表面処理レベル向上やそれこそ部品点数、構成に至るまで大きく異なり、製造管理に要する手間もかなりかかるモデルになっているため、同型式・同構造でメタルシールモデルとエラストマーシールモデルをラインアップしているメーカーの価格を見ても、数万~十万円レベルの差が出ます。
同じ外観で、似た型式でも実は中身はかなり異なるものなのですね。

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メタルシールは多くの場合、継手側フランジと、ボディに挟み込んで、決められたトルクで四隅を締め付けるような形で運用されます。
この時、シールを挟み込むフランジ面とボディの面はきっちりと水平が出ているだけでなく、ピカピカの鏡面にラッピング(研磨)されている必要があるのです。
そこまでのレベルに仕上げた金属表面同士は吸い付くように合わさります。
この間にメタルシールを挟むことで、そのラップ面に傷を付け食い込ませてシールとして機能させるのです。

当然、メタルシール部分の組立作業の難度は高くなります。
せっかくのラップ面に少しでも傷を付けたらおしまいなのですから・・
ラッピングに要するこういった加工・研磨費用、それに組立時の工数が乗ってくるから、メタルシールのMFCはそれだけでも高価になるのです。
なかなか良い仕事はするのだけれどけど、その分高く付く。
メタルシールは一筋縄ではいかない職人気質の堅物さんなのかもしれませんね。

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安全性への注意喚起もあり追記です

 エラストマーシールMFCのお話でも触れましたが、メタルシールMFCをユーザーで分解されることは絶対しないで下さいね。
メタルシールの場合、ほぼ100%一度分解したフランジ面とシール材を再装着してもシール性能は元には戻りません。
これはフランジ面に食い込ませて、傷を付けてシールするというやり方のためです。
メーカーで分解再組立する際はフランジ面を再研磨するか、部品そのものを交換しますもちろんシール材も再利用はしません。

特にメタルシールMFCは、毒性ガス等、少量でも漏れたら大変な惨事を引き起こす可能性を持つガスを使用した可能性が高いので、パージ不足で分解すること自体に大変なリスクがありますので・・・・

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真・MFC千夜一夜物語 第74夜 エラストマーシールMFCを扱う時は・・・

MFC(マスフローコントローラー)のエラストマーシールに関するまとめです。

簡単にエラストマーと言っても色々あり、注意を怠るとDecoの経験した怪事件のように大変なトラブルを招きかねません。流体とシール材質のマッチングは大変重要な要素になりますね。

 前にも少し触れましたが、MFCを使用される現場でたまに見かける光景として、エラストマーシールMFCの継手をユーザーで交換されるケースがあります。確かにスパナやモンキーさえあれば、簡単に継ぎ手を外せるのがエラストマーシールタイプMFCの特長です。

 MFCのボディには例えば9/16-18UNF の雌ねじが切ってあり、そこに市販の雄ネジをねじ込めばすぐ交換できます。研究室などで1台のMFCを新旧複数の実験ラインへ流用されることもあるかと思います。その際に「わざわざメーカーに交換を依頼しなくても、DIY的に・・・」と考えられるのはわかりますが、ちょっと待ってください!

 MFCメーカーでは出荷前に必ずHeリークディテクター等でリーク試験を行っています。中には組み立て時に1回、出荷前の検査でも1回と念には念をいれているところもあります。これはMFCからのガスリークがどれだけ深刻な問題を引き起こすかを、メーカーは自覚しているからです。

継手を交換される際に石けん水でのリークテストをされたら良い方で、Heリーク試験までされる方は少ないのではないでしょうか?石けん水はあくまでガスの加圧供給状態でのリークを見ていることを忘れないでください。

適正な締め付けと検査が行われていない状態で、SiH4ガスラインでMFCが減圧状態で大気を引き込んでしまったら・・・大変なことです。また、例え加圧状態でもそもそも水素のような小さな軽いガスの微細なリークはよく観察していない判別しにくいものです。

もちろんそういった「ユーザーでの改造」を施した製品の改造箇所での不具合は、原則メーカーからは何の保証も受けられないことも、改めて認識いただく必要があります。

 気軽に使用されるエラストマーシールのMFCですが、以下の事に注意しましょう。

・使用するガス(流体)、用途を明確にし、適切なシール材をメーカーに選定してもらう

・使用するガスの物性がよくわからない場合は、無難なメタルシールを使用した方がよい

・エラストマーシールのリーク性能はメタルシールタイプと比べると、低いので過信しない

・継手交換等MFCのリーク性能に関わる改造作業は、ユーザーで行わずメーカーに依頼する

・配管脱着時は必ずMFC側継手も固定し、“共回り“でMFC取付部分が緩まないよう注意する


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皆さん、たかがシール材に関してですが、MFCの選定と使用時には気を使ってあげてくださいね。

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真・MFC千夜一夜物語 第73夜 火を噴くマスフロー事件(後編)

Decoの経験したMFC(マスフローコントローラー)の夏の怪事件後編です。

 とあるお客さんに販売したMFCが突然流量制御不能の全開状態になり、流していた燃焼ガスの流量過多によりバーナーから大きな炎が!!・・・という事件が続いて発生したのですが、なかなか原因が掴めない迷探偵Decoでした。

そんな中、2年目の夏にも事件は発生しました!必ず夏になると起きるこの怪事件・・・
今回も現品を回収して調べてみたのですが、MFCの流量センサーの圧力損失はやはり出荷時より大きくなり、明らかに何かが詰まった為、流量が減少したと感知したMFCはバルブを全開にしてしまい、大量のガスが流れてしまった・・・というところは同じでした。

 「こうなったらセンサー内面をSEM解析しようか?」との声まで上がり、お客様の好意で手配して頂き、その方向で進める事になりました。
そんな中、クーラーがまともに効かない暑い会議室で、お客様とDeco達スタッフはその日も討論を続けましたが、全く結論が出ません。
目の前の金属トレイに引いた無塵紙の上には、分解されたMFCのセンサーパーツが置いてありました。どれだけそれを睨んでも回答は出てきません・・・
朝から始まりいつ終わるともしれない議論の中、苛ついたDecoは、気がつくと、目の前のトレイにあったセンサーのOリングをボールペンの底で無塵紙に押しつける形で頬杖をついていたのです。

「あっ!・・・この姿勢はまずい・・・Oリングが潰れちゃうじゃないか・・・」と思って、ボールペンをどけたDecoは「おや!?」っと叫びました。
無塵紙にくっきりとOリングの形でシミが付いているではありませんか!
触ってみるとOリング自体が濡れており、このシミはOリングを潰した為にできたように思えました。

そこで、無塵紙でOリングをくるみ、思いっきり万力で挟み込んだところ、先ほどより更に濃いシミが付いたのです。
更にドライヤーで熱してみると、やはりシミは大きくなったのです。

そのOリングは、通常のバイトン®ではなく、とある理由からオプション選定したEPDMでした。そこで今度は同じ大きさの標準品バイトン®のOリングを挟んで同様の実験を試みたところ、大して濡れません。

後日の解析の結果、確かにシミの正体はEPDMに含まれるオイルでした!

更にこの2種のOリングの径を再測定して比較すると、微妙にEPDMの方が大きかったのです!本来バイトン®のOリングでシールするように設計していたセンサーチューブのOリング溝に、若干大きい外径のEPDMのそれが入ることで、相対的につぶし量が大きくなってしまい、強く圧縮されていたのです。そしてその状態で夏の高い気温下に放置されると、より多くのオイルをOリングから絞り出していたのです。

 では、そのOリングから出たオイルはどうなったかというと・・・当然重力でセンサーチューブ外側を伝って下に降りていきます。
センサーチューブの下端まで降りた場所は、バイパスと分岐してガスが流入するセンサー管入口です。
流入したガスは、いわゆるエゼクターのような巻き込み効果を発生させ、入口周辺に溜まっていたオイルをセンサーチューブ内へと引っ張り込んでしまい、結果内径0.5mm程度の狭いセンサーパイプ水平部に残留しガスの流れを阻害していたのです。

 夏に発生し、秋になると収まってしまう怪事件の主犯はOリングの材質と径の選定ミスにあったのでした。
運転を再開したときに事故が多かったのは、夏期休暇で停止時間が長く、その間に多くのオイルが溜まっていたのを一気に吸い上げた結果だったのでしょうか?

 なんとも不思議な事件でした。
皆さん、機器を構成する材料を変更する際は一面だけを見ずに、色んな角度でリスクを検証しましょう。
人命は何にも代え難いとうといものです。
もし、自社のMFCが火を噴いて怪我人や死人が出ていたら・・・
その時点でDecoはこの仕事を廃業していたと思います。

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真・MFC千夜一夜物語 第72夜 火を噴くマスフロー事件(前編)

真・MFC千夜一夜物語をお読み頂きまして、ありがとうございます。
過去の著作「MFC千夜一夜物語」への修正・追記を行い、新しくリマスター版「真・MFC千夜一夜物語」としてリスタートさせて頂いて、おかげさまで72回目を迎えております。
この物語をお読み頂いた多くの方々から、励ましのお言葉を頂けていることに改めて感謝いたします。
今後とも真・MFC千夜一夜物語を、宜しくお願いいたします。

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MFC(マスフローコントローラー)のOリングに関するお話です。
今回はDecoの経験した「MFC夏の怪談」とでも言うべき内容になります。

15年程前の話ですので、もう時効かな?と思いますので、ここで披露させて頂いても良いかと・・・
当時の関係者の方々には、後進への警鐘の一例として笑ってお許し下さい。 

 ある時、とあるお客さんに販売したMFCが突然流量制御不能で全開状態になり、流していた燃焼ガスの流量過多によりバーナーからは大きな炎が!!という、一歩間違えば操作した方が大やけど負うかもしれない危険な事件が派生しました。それも1件や2件ではなく・・・

現品を回収して調べてみると、MFCの流量センサー管の圧力損失が出荷時より明らかに大きくなり、何かが詰まってしまっているようです。センサーがこの状態でなぜMFCの制御流量が全開になるか?この物語をずっとお読み頂いている方々には、おわかりになるかと思います。

 センサーが詰まって流れにくい、ほとんど流れない状態になるということは、センサー出力値はそうなる前より極端に低下することになります。
ここでMFCの制御系は、センサーからの流量信号<設定流量信号という状態に陥った=流すべきガス流量が減少したと考え、流量信号=設定信号という状態を回復すべく流量制御バルブを開く方向に制御します。
ところが、詰まっているセンサーの出力はいっこうに増えていかないため、結果としてバルブは全開になってしまうのです。
不幸なことに、この時MFCに流れ込んでくるガスはセンサーとバイパス(層流素子)に分流されているわけですから、センサーには流れて無くてもバイパスには流れています。結果、全開になったバルブからバイパスを通じた大量のガスが流れ出ることになった訳です。

 では、なぜそんな事が発生するのか?Decoには全く原因がわかりませんでした。

異物の混入というのが良くある事なのですが、その異物の正体がつかめません。
MFCのセンサー管を切断して断面を調べても何も見つかりません。
しかも、その現象は1回でなく、前述のごとく複数のMFCでしかもそれぞれが異なる場所で発生するのです。
いくら考えても原因不明で、眠れない日々が続き、Decoを始めスタッフは全員夏の暑さもあり疲労困憊してしまいました。
でも不思議なことに、この事件は秋になるとピタッと収まってしまったのです・・・

ところが翌年の夏。
またこの現象が各地で発生し始めたのです!しかも、夏休みなどでMFCを搭載した設備を休ませておいて、また運転を再開したときに限って・・・果たしてこの事件の真犯人は?

迷探偵Decoはこの怪事件を解決できたのでしょうか?
もう帝都大学湯川准教授の研究室に相談に行きたい気分ですよね?

次回に続きます。

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真・MFC千夜一夜物語 第71夜 種類が色々あるけど使い分けは?

 MFC(マスフローコントローラー)のシール材「ラバーシール(エラストマーシール)」には色んな材質があるというお話をしました。

どう使い分けたたらよいか?これには色んな考え方はあると思いますが、Decoの知見での一般例としてご説明します。

フッ素樹脂系のフッ素ゴムがMFCのシール用で好んで使用される理由は、比較的高温に耐え、なおかつ化学薬品にも反応しない材料だからですが、その傾向には材質による差があります。例えば・・・

バイトン®(Viton®)  FKM 汎用性とコストからよく使用されるが、反面使用できない流体も多い

カルレッツ®(Kalrez®)   FFKM  酸、アルカリ、アルコールを問わず高い耐薬品性を持つが、その分コストも高い

ネオプレン® (Neoprene®) CR  酸、アルカリ、アルコールに高い耐薬品性を持つが、トルエン等の溶剤系には弱い。バイトン®の弱いNH3などに代用で使用される

上記は一般的な傾向で、詳細はエラストマーシールのOリング材質を選定する上では各Oリングメーカーに確認が必要です。その際は、①流体名(液体or気体?)②使用温度③圧力条件④他の物質が混入する可能性の有無を検証し、明確にしておかないといけません。

当然、エラストマーシールのMFCを購入される際も上記内容を必ずメーカーに相談いただいてからでないと、とんでもない事故につながります。なぜなら、不適切な材質を使用した場合、エラストマーシールOリングの特性として膨潤が起こり、やがてはシール性能が失われるからです。すなわち外部リークの発生を意味するからです。

それにOリングは永久に使用できる材質ではありませんし、傷も付きやすい物です。MFCの場合は本来あり得ませんが、頻繁に脱着したりする場合などは、取り扱いに注意する必要があります。MFCメーカーでは修理・オーバーホールで返却された製品を再組立する際には、汚れや傷の有無にかかわらず必ず新しいOリングに交換しています。

Decoの経験した話ですが、MFCからリークするとクレームを受けて伺ったところ、実は継手をお客様が違う種類の継手に交換しようとして失敗されていた事がありました。新しい継手を装着後、外部リークを恐れて思いっきり締めたのはいいのですが、Oリングが所定のセット位置からずれた状態で装着し締めこんでしまった為、挟み込まれてねじ切れる寸前になっていた事がありました。
それではガスは漏れまくりなはずですよね・・・さすがにここまではMFCの責任ではありませんね?

また、設計の悪いMFCと言うか、教科書的な設計に対する企業として製造経験上のフォローが上手いっていないような場合、Oリングのつぶししろの設定が悪く正常にOリングをセットして締めても継手ネジ部に噛み込む不具合が起きたこともあります。
そもそもネジというのは回転しながら前進する物であり、そこにガスケット的な設計をされているOリングを使用するのは、一筋縄では行かないところがあります。ボディのOリング受けの部分を上手く処理しておかないと、金属と比べれば柔らかく変形しやすいOリングは容易にネジ部に噛み込まれる危険性があるのです。

簡単なようで案外難しいOリングの選定、次回はそれが原因で夏の階段に巻き込まれたDecoのお話です。

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真・MFC千夜一夜物語 第70夜 エラストマーって何なの?

MFC(マスフローコントローラー)のシール材「ラバーシール(エラストマーシール)」のお話です。

「エラストマーって聞き慣れませんが、一体何ですか?」というご質問もあるかと思います。

エラストマー=elastic polymer の略語でして、弾力性のある工業材料です。

「じゃあゴムと一緒じゃないの?ゴムなら知っているよ。」

とおっしゃる向きもあるかっと思いますが、実は皆さんよくご存じの「ゴム」はエラストマーの一種で「熱硬化性エラストマー」の事を言います。熱硬化性というのは、熱を加えて硬くなるのではなく、ある程度は熱を加えても柔らかくならない、つまり耐熱性能があるという意味ですので誤解されませんように・・・それに対して、「熱可塑性エラストマー」は熱を加えると溶けてしまう材料です。

MFCでは、常温から周囲温度を上げていく用途での使用も考えられるので、当然耐熱性のある「熱硬化性エラストマー」を選びます。

 このエラストマーに含まれるゴム材料の中でも、フッ素樹脂系のフッ素ゴムがMFCのシールでは好んで使用されます。これはフッ素ゴムが比較的高温に耐え、なおかつ化学薬品にも反応しない材料だからです。

フッ素ゴムですと、デュポン社の製品が一般的に知られています。

以下にMFCに使用される商品名を上げておきます。

・バイトン®(Viton®) フッ化ビニリデン系(FKM)

・カルレッツ®(Kalrez®) テトラフルオロエチレン-パープルオロビニルエーテル系(FFKM)

クロロプレンゴム系のもので同じくデュポン社の製品

・ネオプレン® (Neoprene®) CR

この他にエチレン・プロピレンの合成ゴムであるエチレン・プロピレン・ジエンゴム=EPDM等の使用実績があります。

これらの中でMFCで圧倒的に多く使われているのは、バイトン®です。使用するガス、環境に応じて、その他の材料はオプションとして選定される傾向があります。

一般にエラストマーシールのMFCを「バイトン®シールモデル」と表記する傾向がありますが、実際はバイトン®のみでは無いのですし、商標であることを鑑みても一般呼称としては不的確であると言わざるを得ません。

やはり「エラストマーシール」という呼称がMFCに使用するシール材料を指す総称としては適しているでしょう。次回は、これらの使い分けに関してお話しましょう。

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真・MFC千夜一夜物語 第69夜 Oリングの“つぶししろ”って何ですか?

MFC(マスフローコントローラー)のシール材のお話しです。
営業講習では「北風と太陽」という童話をよく引用するDecoですが、強引な北風さんのやり方では、旅人のコートは脱がす事は出来ませんでしたね。今日のお話の主題も、強引なだけで道理を知らないとだめですというお話です。

 さて、MFCのシール材、樹脂系の「ラバーシール(エラストマーシール)」のお話です。
MFCで使用されるシール材は基本的に「ガスケット」として使用されています。「ガスケット」とは、シール部分を挟み込んで、ボルト等で固定するタイプの静的な用途で使用するシールの事を言います。
ただ、一部バルブ周辺パーツに「パッキン」(シール部分が動く動的なシールのこと)として使用されてもいます。
そして、MFCに使用されるのは「Oリング」というO字型の断面が円形のシールです。なぜならOリングは、「ガスケット」としても「パッキン」としても大変使いやすい汎用性の高い材料だからです。

 Oリングの規格はJISやISOで取り決められています。例えばJISですと、Oリングのサイズ、ゴム材質、取り付け溝部の形状・寸法まで取り決められています。

特にJIS B2401シリーズ(旧JIS B2406)及びJIS B2410「Oリング‐ゴム材料の選定指針」はMFCでOリングを用いたシールを設計する人にとっては、必ず把握しておかないといけない基準です。なにせ間違えばガスがリークして、人の生死に関わるからです。

 内容の多くは割愛するとして、特に留意すべき点は「つぶししろ」です。

Oリングは、挟み込んで、ある程度つぶしながらシールさせるものですが、このつぶして変形する寸法のOリング断面円の直径に対する割合を「つぶししろ」とか「つぶし率」と表現します。その割合は「密封に最低現必要な8%から、ゴム材料の圧縮変形限界の30%までの間」と決められていまして、実際に用いる際は用途、材質、さらに流体特性や温度による膨張を考慮して決定する必要があるのです。

使用する側としても、この「つぶししろ」という考え方を理解していないと大変なことになります。

「とにかく力任せに締めれば締める程、Oリングシールは漏れないから!」

こんな誤解をしている人はいませんか?

そんな事をしたら、高い確率でOリングそのものに傷をつけてしまいます。
それでOリングがちぎれてしまってリークが起きてくれれば、まだましです。施工後のリークチェックでわかりますから・・・
恐いのはリークが検知されないくらいわずかに入ったクラックが、使用中に徐々に広がり、時間をおいてからガスが漏れてきてしまうことです。

何事も道理を知ってから行動しないといけませんね。


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真・MFC千夜一夜物語 第68夜 シールは樹脂系か?金属系か?

前回はMFC(マスフローコントローラー)のリークポイント=シールポイントというお話をさせていただきました。

 MFCのボディ、継手、センサー、バルブアクチュエータ この4パーツ各々の接続部分をシールしている材料があります。皆さんの家の水道でも、ゴム製のパッキンやOリングなどのシール材を使っているのを、日曜大工DIYされる方なら見たことがおありかもしれません。水道の場合、液体の漏れ止めですが、MFCの場合相手はガス=気体ですから小さいくて、更に漏れやすいものです。金属面同士をいくらネジで締め付けても、漏れてしまいます。漏れては困りますから、漏れ止めとなるシール材を間に挟みこませる必要があるのですね。

 このシール材ですが、MFCの場合、大きく分けると2種類あります。

樹脂系の「ラバーシール(エラストマーシール)」と金属系の「メタルシール」です。

【注意】この2種類のMFCを見分けるのにコツが必要でして、正直見慣れない方が見分けようとしても難しいと思います。なぜならシール材というのはMFCのリークポイントに配置されるので、外部に露出しているわけではないからです。また、MFCの銘板、シールにもそのMFCのシール種が明記されることはほとんどありません。 例えば型式に樹脂系シールモデルは****Rとか、金属系は****MCとか入ることもありますが、必ずしも型式に反映されているわけでもないモデルもあります。在庫品、長期放置したMFCを使用される際は、ガス種に適応したシール材を使っているか?必ず確認してください。自信が無い場合は、型式、S/Nでメーカーに問い合わせをされると良いと思います。


 樹脂系の「ラバーシール(エラストマーシール)」は、シール材としては、流量計、圧力計等、流体関連機器でもポピュラーなものです。多くの業界ではこのシールタイプが使用されています。原則的にはネジのエンドポイントに配置するOリング的な使用法と、平滑なフランジ面で挟み込むパッキン的な使い方になります。非常に多様な材質がありまして、それぞれに強み弱みがありますので、よく理解してご使用いただく必要があります。

 「メタルシール」は、金属系のシール材を磨き上げられた平滑な金属フランジ面に挟み込み、潰しこむ、もしくはフランジ面に食い込ませる形でシールするもので、半導体用の高純度供給ラインに多く使用されるシールです。樹脂系のシールよりも高い漏れ止め性能が期待できます。ただ、部品加工精度を求められるのと、組立難易度が高い傾向があり、メタルシールされた製品は高価な傾向があります。

 各シールに関する詳細のお話は次回以降させていただきます。まずは樹脂系シールに試用される各材質です。先ほどお話しましたように、ラバーと言っても決して1種類ではありませんから、ご注意下さいね。

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ダイエットを始めてます その2 トコロテンダイエット

ダイエットの進行状況です。

本日現在で目標体重まであと6kgです。
6/3~16の14日間で3.4kg減ってます^^
倒れる前からは9kg減です。

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一過性脳虚血症の後遺症で足が不自由になり、それがリハビリの結果1月末には動くようになったので、晴れた日は30~40分公園を3kmほど歩き、雨の日は室内で30~40分 ルームバイクを15~20km。腕を中心に筋トレも。

こんな感じで最初はリハビリ&ダイエットを始めたのですが、なかなか体重は減らないどころか若干増えていきます。これは動けなかった闘病中に筋肉が落ちていたのが再生していた過程だったのでしょうか?
数ヶ月思うように減らない体重計を見て、「やっぱり痩せない体質なのかな?」と思ったり・・・
(今まで、ダイエットして成功したのは1回 それもすぐリバウンド・・・)

 6月に入って気圧が不安定になりメニエールの影響か?また脚の調子が悪くなり、あまり運動ができなくなってしまったので、その分食事を制限をすることにしました。

具体的には、お米の量を劇的に減らしてます
白米を食べるのは家族と一緒にとる夕食時のみで、それも今まで使っていたお茶碗に半分以下で。
口に入れる順番もサラダ類や汁物を食してから、最後に食べるように。
あと、職業柄どうしても早食いの傾向が強かったので、ゆっくり噛んで食べるように。

料理をする際も、好きだった肉類の皮や脂身を取り除いて調理するようにしました。
(家内が働きに出てくれているので、夕食はDecoが担当です。
ヨシケイで夕食コースを頼んでくれていて、それを調理するだけですが、献立には結構鶏肉を使った料理が多いので効果大です。手間はかかりますが・・・)
そもそも家族が薄口好きなので、高血圧によくない塩分(醤油・味噌も)は控えめにしてます。

朝・昼食はご飯の代わりに野菜サラダとトコロテンor豆腐を食べるようにしました。
以前は夕飯で家族が残したご飯をもったいないから食べたり、ジャーの残りをレンジで温め翌日の昼に食べていました。結構白米を食べていたようです。
炊くお米の量もその頃と比べて半分になったので経済的という副効果もでました。

この食事制限の効果が出てきたようですね。
ただ、食事を控えるのではなく、今まで身体の筋肉を作り直してきた結果、代謝がいい体になっていたからかもしれませんね。

不思議と食べたいという欲求は今のところあまりでません。
梅雨が明けてメニエールの調子が良くなったら、また歩いたり漕いだりするので、そうするとお腹が減ってくると思うのですが。。。


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真・MFC千夜一夜物語 第67夜 MFCのリークって、どこから漏れるの?

MFC(マスフローコントローラー)からガスが漏れるのは大変困った事態を引き起こします。
最悪は人命を損なう事になりますから、MFCを設置、管理される方は、細心の注意を払って下さい。前夜も書きましたが、ガスは見えません。昔の特撮ヒーロー番組のように、色がついた毒ガスの煙がモワモワと迫ってくる・・・目で見てなんとなく避けられそうな・・・そんな暢気な状況にはまずなりませんので。

 では、MFCを使用する上で、どこから漏れる可能性があるのか?というお話をしましょう。もちろん一番可能性があるのは、MFCの両端にある配管との接続を行う継手部分です。継手には色んなタイプがあり、MFCもかなりの種類には対応しています。こういった継手の用途はMFCと他のバルブや圧力計のような配管機器、または配管そのものを接続するためにあります。

元々は別個体を接続するのですから、当然漏れのリスクは存在する事になりますが、一般的に継手はオスとメスで構成され、その組み合わせで適切に使用すれば、あるレベルで漏れがでないように接続できる仕組みとなっています。
ただ、これには当然その継手種で指定されている施工方法を守って取り付けた場合ですので、それを無視していい加減な接続をしていると、ガスが漏れる事になります。詳しくは各継手メーカーさんやガスエンジニアリングのプロにご相談ください。絶対にあやふやな知識での施工は避けましょう!

 さて、ではMFC本体で漏れる箇所は無いのか?申しますと、先ほどの「元々は別個体を接続する箇所」という定義で言えば、何箇所かそういったポイントがあります。

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上図でご説明していますように、そのポイントとは、MFCを構成する①ボディ ②継手 ③センサー ④バルブアクチュエータ この4パーツの各々接続部分です。(中にはボディと継手が一体化された製品、逆にボディが2パーツで構成される製品等、メーカー、型式によって種々のバリエーションがありますので、ご注意ください。) 

これらは、普通にネジで固定しただけでは、ガスが容易に漏れるリークポイントです。かといって継手で止めるような部位でもないので、ここではシール材を間に挟みこませる事でリークを止めることが出来る構造になっています。

つまりMFCのリークポイント=MFCのシールポイントなのです。

「このMFCはメタルシールだから、リークレートは・・・」

「ラバーシールだから、腐食性の強いガスは流せませんね・・・」


こういったMFCを評した台詞は、このシールポイントに使われているシール材の種類を表現しているのです。次回は、シール材の種類と用途に関してお話します。

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真・MFC千夜一夜物語 第66夜  ガス漏れは恐ろしいです!

MFC(マスフローコントローラー)のゼロ点ズレの話も一段落つきましたので、今回は少し脱線です。

Decoの家には猫がいまして、なかなか個性豊かな猫達なのですが、全て野良の子猫を拾ってきて、予防接種や避妊手術をした上で、「家族の一員としての終生飼育・共生」を前提に暮らしています。

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 正直猫と暮らすのも大変でして、3日と家を空けることはできませんし、夏冬は不用心なので外出時や夜間戸締まりをするとエアコンを切るわけにいかず、電気代だけでも目が飛び出るような金額がかかってしまいます。

 猫は妊娠から出産周期が短いのと、一度に数匹を出産するため、野良の子猫の出生数はかなりのものです。ただ、自然の摂理で、身体が弱い個体は1歳までに淘汰されていく事でバランスが取れています。(出産後の体力の落ちた母猫が、育てられずに、弱そうな子を見捨てる事すらあるそうです。)ところが、ここで人間が興味本位で餌を与え、中途半端に半野良で飼ってしまうと、本来自然淘汰される子猫が成長し、また子供を産み・・・という現象が発生して、猫の人口爆発が起きてしまうのです。(猫は1歳弱でもう交尾可能です。)

 こういった状況で、保険所が引き取った猫を安楽死させる「スリーピングボックス」もしくは「ドリームボックス」というシステムが導入されているようです。引き取った犬猫は炭酸ガスを用いた処置室で殺されるそうですが、猫は耐性がありなかなか死なないためにこのボックスに入れて、麻酔を流し込んで殺すそうです。「スリーピング」というとイメージが良いですが、その実は「キリング(KILLING)ボックス」ですよね。こういった機械を導入しなくてはならないほど、中途半端に育てた後、飼い主に捨てられる猫の数は増えているそうです。

 しかし、ガスで猫を殺す・・・どうもガス制御関係で20年ご飯を食べさせてもらってきたDecoには嫌な話です。

 前置きが長くなりましたが、我々が取り扱うMFCもガスを制御する機械ですから、決して「キリングボックス」と無縁ではありません。ガスの漏れによる事故。これはガスというものが見えないだけに、避難の遅れにつながり、重大な事故を起します。化学工場で有害ガスの漏れで作業されていた方が亡くなる、一般家庭でも一酸化炭素中毒等で亡くなる事件は後を絶ちません。

 特にMFCで制御するガスは、かなり毒性や、反応性の強いガスですので、漏れれば人命にかかわる事故に直結します。ですから、ガスリーク防止には、慎重な対処が必要です。

「いやいや、うちが使っているのは、窒素やアルゴンだけだから・・・」
安心してはだめです。窒素やアルゴンで部屋が満たされれば、酸素濃度が低下してやがては窒息してしまいます。瞬間的に大量の窒素が噴出した事で、人体の周りに一瞬、窒素の壁が出来てしまい、呼吸困難になるという事例もあります。反対に酸素濃度が上がることでも、人体に深刻なダメージはもたらされます。

「うちのは空気だから大丈夫!」
これも安心してはいけません。空気(が含む酸素)と接触して爆発する金属系材料もありますし、圧空機器が壊れて、高圧空気銃と化し、飛ばされた配管部品で怪我をすることだってあるのです。

 ある意味でMFCを使っていただく上で一番クリティカルな部分。それは「リーク」です。
次回からは、そのリーク事故を防ぐためのMFCの工夫と、正しい設置・使用方法に関して、色々とお話していきましょう。

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闘病リハビリ日記~病は気だけじゃ治らない~ その14


一過性脳虚血症(TIA)

”TIA発症後90日以内の脳梗塞発症例のうち約半数は、TIA発症後48時間以内に発症した。
メタアナリシスによると、TIA発症後90日以内に脳卒中を発症する危険度は15~20%であった。
TIA発症平均 1 日後に治療を受けた場合、90日以内の大きな脳卒中発症率が2.1%となり、平均20日後に治療を受けた場合に比べて90日以内の大きな脳卒中発症率が80%軽減され、入院期間の短縮や入院経費、さらに 6 か月後の後遺症が軽減した(The Early use of eXisting PREventive Strategies for Stroke study:EXPRESS)”

脳卒中治療ガイドライン2009より引用

このブログでも触れましたが、改めて現在医学の見解を読んで頂くと、一過性脳虚血症(TIA)は、脳梗塞へかなり高い確率で発展する病気で大変危険だということ、早期の発見と治療でその後の脳卒中発生確率が大きく変わってくるということがわかります。

・激しい目眩
・激しい頭痛
・ろれつが回らない
・言語の喪失
・物が二重に見える
・片方の手足のマヒ


これら症状があったら注意が必要です。
一過性の名前の通り1時間以内に症状が軽減されてしまうのですが、それは脳梗塞に発展する前にラッキーなことに血栓が流れ去り、脳細胞への血液供給が再開されたからです。ここが運命の分かれ道なのですね。

Decoはまさしくそれで命を拾いました。
それでも、その後の手足のマヒという後遺症には苦しめらましたし、リハビリで日常生活は送れるようになりましたが、握力は完全には戻らず、重量物を運ぶような作業は一生できないと思われます。
これが右手足なら自動車の運転もできなくなったかもしれません。
また、梅雨時の気圧が不安定な気候だと、メニエール病との相克か?リハビリで動くようになった手足も調子が悪く、痛みやしびれで動かしづらくなってしまうなどの不自由に見舞われます。

「なんか調子悪いけど、少し寝てればいいか?」
と、Decoも思っていた時期がありました。
でも、それは恐ろしい病気の前兆で、身体が発したSOSだったのかもしれません。

自分を守れるのは自分だけです!
些細な変調も見逃さないようにしましょう。
そして、積極的に医学の知見に触れましょう。


そして、いざ発病したら貴方の味方は自分自身と家族しかいません。
「病気になったのは貴方の自己管理の問題だ!」
「できる人なのに惜しいねぇ」

そう言って会社や、利害関係だけで繋がっていた人間は踵を返して去っていきます。
長年友人と思っていた人の本性を見ることになるかもしれません。

でも、諦めてはいけません。
貴方と貴方を支えてくれる家族のために、どんなに苦しくても、どんなに惨めでも、前を向いて病を癒すことに努力してください。
病魔を招いたのが自分なのかもしれません、でも奇跡を起こすのも自分なのです!


この記事で「一過性脳虚血症との闘病日記」の一区切りとさせて頂きます。
Decoにはまだメニエール病という厄介な病気もありまして、そのことに関しては別の記事でお話しさせて頂くつもりです。


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真・MFC千夜一夜物語 第65夜 まとめ~ゼロ点ズレはMFC最大の弱点と最大の誤解が元です

 前回でMFC(マスフローコントローラー)のゼロ点ズレの容疑者達を全員確保できました。
彼らを類別してみますと面白い事がわかってきます。今夜はそこをまとめて、ゼロ点ズレ問題の区切りとしましょう。

 第一にゼロ点ズレには、MFCが採用している熱式センサーの弱点(SN比、熱影響)がはっきり出ていることです。前に微少流量用MFCをご説明したときのキーワードはセンサーのSN比でした。MFCのセンサーは、二対のヒーター線のバランスで成り立っていて、そのわずかな抵抗値の経時変化によりゼロ点がシフトする構造になっている事と、センサーの生出力が数mVであり、これを後段のアンプで増幅して0~5Vの流量信号としている事により、決してSN比が良いセンサーとは言えません。

 そして、もう一つ熱式センサーであるが故に、周囲温度や姿勢影響を受けやすい事です。また、周囲より高温になるセンサー部分の外気影響を緩和すべく使用される材料の個体差、環境変動も原因となります。こういった弱点を持つMFCは、結構神経質な機器です。ラフな環境設定で使っていただくには適さない製品だという事をご理解ください。

 第二にはMFCが自ら流量制御を行う小型装置的な性格を持ちながらも、ガス、電源、流量設定信号に至るまでの供給は外部からであり、その制御に関しては決してスタンドアロンで成り立たないことから生じる誤解です。即MFCの故障と考える前に、取り巻く環境を一つ一つ切り分けていただく事で、迅速なトラブルからの復帰が可能になるかもしれません。これは隣のラインのMFCとケーブルをつなぎ替えたり、別の電源環境で操作してみるだけでも簡単に実施できます。

 MFCに限りませんが、使用する機器の特徴を把握し、弱点を知る事、不具合が生じた場合は、慌てずに現象を切り分ける事ができるようになること=機器を「使いこなす」というレベルに到達することだとDecoは考えています。

 大変残念なことに、リーマンショック後に多くのMFCメーカーが廃業したり、統廃合されてしまいました。
今、存在するメーカーもサービス拠点や人員の整理で、どうしても顧客サポート力が低下しがちです。
サポートというものは人の手であり、知恵であり、経験で行うものです。なかなか代わりになるものが簡単に見つかるわけではありません。

こういった環境下で、皆さんのお手元にあるMFCを有効に活用して頂き、本来の生産や研究業務に専念して頂くために、少しでもこの真・MFC千夜一夜物語が手助けになればと思っております。

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真・MFC千夜一夜物語 第64夜 ゼロ点ズレの最後の容疑者達

MFC(マスフローコントローラー) ゼロ点ズレの最後の容疑者達のお話です。

「その他 MFCの外部要因」という大きな括りで挙げさせて頂きましたが、一体どこが悪いのかよくわからない書き方で申し訳ないです。これは、何度かお話ししていますが「MFCという製品が、スタンドアロンで成り立つ訳では無く、配管システムや電装システムの一部であるが故に、外部のちょっとした異常に左右される事もある」という事実の延長線上にある問題です。そこを丹念に消し込まずに、MFC本体ばかりに目が行っていると、真犯人を見過ごす事になりかねません。

 例えば、MFCに接続されている流量表示器がおかしい場合です。


 表示器には色んな種類がありますが、だいたいの構成は、MFCの流量出力信号DC 0~5Vを、3+1/2桁程度の(この場合、表示数値のMaxは「1999」)LED表示で流量値や%値に読み替えて表示しています。  

 こういった機器自体にもゼロ点調整トリマーがあることをご存知でしょうか?入力された0Vをちゃんと0000で表示させるための調整機能です。ここがずれていれば、MFCからの信号のゼロ点はずれていないのに、表示器ではゼロ点がずれて見えてしまいます。目に見える現象は同じでも、これは「MFCではなく、表示器の異常」ですね。

 例えば、MFCの流量出力の信号ラインにノイズが乗ってしまった場合。

 MFCの信号は一般的にDC 0~5Vです。計測器の世界でメジャーな4-20mAに比べると、長い距離をケーブルで引き回した際には、電圧降下が発生する可能性があります。また、ケーブルの結線に問題があった場合や、強いノイズに晒された場合、COMラインにノイズが乗る事で0の値がずれる可能性があります。

 MFC自体はちゃんと0Vを出力しているのに、その信号が伝わる過程でノイズ影響によりずれてしまう。ここでもMFCのゼロ点はずれていないのに、ゼロ点がずれて表示されてしまいます。目に見える現象は同じでも、これは「MFCではなく、ケーブルの異常、ノイズの影響」ですね。

 このような周辺機器の不具合からくる問題と、MFC本体が起因する問題を切り分ける方法は、MFC本体を一度切り離してみることです。表示器の異常ならば、配線を正常なラインのものと入れ替えてみて表示器の値がどうなるかを見てみましょう。MFC側の不具合ならば、表示器を交換してもやはり結果は同じです。でも、不具合が表示器に起因していれば、当然不具合は消失します。

 ケーブルの異常の場合も対処は同じですが、ノイズが原因の場合は設置されている部屋自体にノイズ影響が発生していて、隣接するラインも同じ現象が発生する場合が多いので、MFCを取り外して、まずは問題の発生しているのとは別の電源環境で評価してみるというのが確実な方法です。

 以上 MFCのゼロ点ズレの容疑者を確保してみました。

「おかしいな」と思ったら、まず手始めに原因を切り分けてみましょう。ただ、「おかしい!」というだけでメーカーに修理依頼しても、「不具合は再現しません。」と返却され、結果調査に出した時間だけが無駄になってしまいます。

「メーカーはちゃんと調査してないのではないか?!」

「何回やっても不具合は再現してないのに怒られる・・・」


こういった双方のストレスを軽減するためにも、互いに冷静に状況を把握することが必要です。
不具合の責任を押しつけ合うことでは、不具合は一切解決しないのですから。

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ダイエットを始めてます その1 何をしても痩せない・・・

Decoは子供の頃から、走るより転がる方が速そうな体型です。
中学生時代、あの「機動戦士ガンダム」が流行ったころに、好きな友達とガンダム話に興じていると、必ずこんな会話になりました。

「俺はザク(体系)だな」
「俺はゲルググ(体系)だし」

そこで、こそ~っと「俺・・・ドムね・・・・」っと言うと・・・

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「Decoさんはゴックだよ!」
と言う非情な回答が返ってきたものでした(--;ヤッパ ソウ?

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ま、ゴックっていうか、ジオン軍重モビルスーツ「デッブ」ですよ。

それでも人生において大きな問題はなく・・・
(基本的にきれい好きで、頭の回転も早くて、女の子にももてる?し・・・)

ところが、今回の一過性脳虚血=脳梗塞手前で三途の川を渡りかけたことから、「血圧が上がるとコワイ!」って体験をしましたし、血栓ができにくいサラサラな血液を目指してダイエットを始めました。

結果、倒れた時点より今日現在で-7kg
特にこの1ヶ月ほどで-4kgです。

あと、8kgは減らしたいな、と思ってます。
そうすればゴックからドムへ・・・いや、まだ無理かw


痩せようとして失敗し、「何をやっても痩せない・・・それどころか空気吸っても太るから、もう無理!」と思ったことが何度もありましたし、絶食で7kg痩せても、リバウンドで8kg太ってしまったこともありました!

が、今回リハビリで色々やってみてわかってきたこともあり、なるほど中年になってきたら体質も変わるからこうやったらいいんじゃないの?みたいなところが見えてきたような気がしてます。(そんな気がしているだけかもしれませんが・・・)

そんな訳で闘病リハビリ日記の延長でダイエットの日記も付けてみようかと思ってます。
よろしくお願いします。

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真・MFC千夜一夜物語 第63夜 ゼロ点ズレの五人目の容疑者はもう一人いた?

MFC(マスフローコントローラー)のゼロ点ズレ五人目の容疑者のお話の続きです。

五人目は、設置された環境温度の急激な変化なのです!というお話をしましたが、実はここにもう一人、五人目の容疑者がいます。それは「湿度」です。これには大きく分けて2つありまして、1つはMFCに流れるガスの露点と、2つはMFC周辺の湿度です。

 まず、1つ目の露点に関しては、実は殆どの場合問題になりません。
要は露点というより、もっとダイレクトに言えば水分の混入による問題とお考え下さい。そうするとMFCで使用されるガスがなんらかの露点管理がなされていれば問題はないですし、そういったレベルならばMFCのゼロ点ズレが生じるポイントであるセンサー部は熱式センサーで構成されていますので、80~100℃近辺の温度まで通過するガスを暖めて水分を飛ばしてしまうからです。
(ここで塩素系のガスが絡んだりするともっと自体は複雑になってきますが、その話はまた後日・・・)

もし、MFCにコンプレッサーエアーを流される場合は、必ずMFCに入る前段階でドライヤーやフィルターを使用されて、露点管理をされる事をお勧めします。

 それに対して問題は2つ目の方なのです。最近になって注目されているのが、MFCの周囲、というよりセンサー管周囲の湿度です。もっと絞って言うならば、センサー管を取り巻く諸々の断熱材料とその周辺の湿度です。

MFCのセンサーは巻線ヒーターで常に80~100℃近い高温になっています。ところがその周辺温度は、外気温により0℃だったり、40℃だったりする訳です。本来センサー管内部を通過するガスに奪われる熱量のみを検出したい熱式センサーにとって、変動要素のある外気に熱を奪われていては、再現性のある測定はおぼつかない事になります。そこで、殆どのメーカーではセンサー管をグラスウールのような断熱材料で覆う事で外気温影響を受けない構造にしています。
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ところがこの材料の断熱効果には、まだ捉え切れていない要素もあり、その一つが周囲湿度変化による断熱効果への影響なのです。

過去にあるMFCメーカーで、この点に関して技術から素材メーカーさんに質問してもらいましたが、なかなかはっきりとした回答は頂けず、湿度による性能変化というスペック定義自体がなかったようです。(過去の事例なので現在はあるかもしれません。ご存じの方がおられましたらご教授下さい。) 実際に「わざと断熱材料の湿度環境を変えたものを試験してみると、結果としてゼロ点の安定に影響があった」とうデータもDecoは見聞きした事があります。

メーカーサイドでの対策としては、もうこの断熱材を湿らすか?枯らすか?どちらか極端な位置で仕上げる事で定量化するしか、現状は方策がないかと思います。お客様でできる対策としては、他の原因の対策と同じなのですが、湿度の急激に異なる環境にMFCを設置した際は、十分な暖気運転後にゼロ点再調整をしていただく事です。

クリーンルームでは近年は静電気対策で、湿度を以前より高めにされているケースもあると聞いています。温湿度差が激しい環境は、人間だけでなくMFCも苦手とするところ。それによるゼロ点ズレを起こしかねません。お気をつけください。

次回は、長かったゼロ点ズレ容疑者確保の旅 最終章です。

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真・MFC千夜一夜物語 第62夜 ゼロ点ズレの五人目の容疑者は温度と?

MFC(マスフローコントローラー)のゼロ点ズレ 五人目の犯人、それは設置環境の変化なのです。

MFCのセンサーが熱式である事は、この連載で既に何度もお話ししていると思います。「熱式センサーであるということ」=「熱の移動をとらえてセンシングしている」訳ですから、決して周囲温度の変化に無関係でない事は、おわかりいただけると思います。

この事を端的に表すのは、MFCのカタログや取扱説明書にある「使用温度範囲」「精度保証温度範囲」という表記です。例えば一般的には精度保証温度範囲:25℃±10℃といった記載があります。この温度範囲って、実は結構狭いですね?夏暑ければ外気温は40℃近いですし、冬の朝には0℃を下回る事もあるのが日本列島の気象条件です。

こういった温度条件の表記がある理由は、実はこの連載の冒頭「Mass Flow Controllerなんて名称自体が間違っていると!!」(=MFCは実は完全には質量流量を測定できていない)というDecoが指摘した内容の核心部につながります。質量流量ならば温度圧力の影響を受けずに不変であり、当然質量流量計の名を持つMFCには温度制限、温度影響は無いという解釈が正しいはずですが・・・現実には温度影響はあるのです。このお話の詳細は、もう少し後でさせていただきます。

ここではゼロ点への影響に関してお話をさせて頂きます。温度条件が変わると、安定していたゼロ点のバランスが崩れる可能性が発生します。対策としては、温度条件が大きく、急激に変化した場合は、その環境条件変動が安定した段階でゼロ点の再調整をしていただくことです。

クリーンルームや恒温室でMFCを使用されている場合は簡単です。居室にMFCを含むガスシステムを搬入されて配管繋ぎ込み作業が完了したら、MFCを含む電気機器への通電をされると思います。通電開始から30~40分後に一度ゼロ点を確認頂き、ずれていればゼロ調整を行っていただければ、ほとんど温度変化の無い環境なのですから、その後は「温度影響によるMFCのゼロ点ズレ」が発生する事はありません。

問題は、そういった恵まれた環境ではない場合・・・通常の居室、実験室等で使用される場合です。夏暑く、冬寒い環境にはMFCは敏感です。特に空調の吹き出し口の直下に置かれてしまうと、空調のON/OFF時の温度差が激しく、それによりゼロ点ズレを起こしかねません。

 実際、お客様のクリーンルームで使用しているMFCのゼロ点が、ある時期から急にずれるようになったとのクレームを頂き、どれだけ調査してもわからなかったのが、実はMFC直近に空調吹き出し口を変更する工事を行われた直後から発生していた・・・という事例がありした。クリーンルームですら局所的な温度変化要素があるのですから、一般環境ではなおさらです。朝昼夜のみならず、空調の作動状態でもMFCのゼロ点が変動している可能性があると考えて運用して頂く必要があります。

またある時は、ノーマリクローズ(NC)タイプソレノイドバルブのMFCを排気系の無いボックスに入れて長時間全開待機されていた際に、ソレノイドの発熱によりボックス内の温度が上昇し、ゼロ点がずれた事例もありました。

MFCをカタログスペック通り、再現性良く使用したい場合には、環境温度は結構シビアにコントロールしていただく必要があるとお考えください。設置場所に急激な温度変化を起こす要素(空調吹き出し、ヒーターや発熱する機器等)を排除し、極力安定した温度環境で使用いただくのが望ましいです。

次回はこのお話の続きとして、湿度の影響に関してのお話です。

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真・MFC千夜一夜物語 第61夜 ゼロ点ズレの四人目の容疑者は、あなた自身です!

MFC(マスフローコントローラー)のゼロ点ズレ 四人目の容疑者は・・・そう、あなたです!等と言うと推理ドラマのクライマックスみたいで、「実に面白い」です。
でも、これは冗談ではありません。ヒューマンエラー、思いこみ、勘違い・・・案外良くある事なのです。 第57夜 ゼロ点の調整ってどうやってやるの? で、お話しましたが、ゼロ点の調整を間違った認識でやってしまえば、即、これは自爆行為ですね?

例えばアナログMFCでゼロ点調整をする場合ですと、実際にこんな事例があります。

・ ゼロ点調整ボリュームを回したつもりが、隣のスパンボリュームを回してしまった!

・ 力を入れすぎてゼロ点調整ボリュームを壊してしまい調整不能になってしまった!

・ 流量表示器と調整するMFCが違う個体を調整していたのに気がつかなかった!

・ MFCへの電源供給ラインが切れたまま、ゼロ点調整をしていた!

・ 誤って工具を落下させてしまい、MFC自体を破損させてしまった!

・ ペットボトルが倒れて、MFCの電気系に水がかかってしまった!


「工具を落とすとか、ペットボトルを倒す等というのは、作業をする心がけ上はあり得ない!」と、我々は思いがちですが、MFCは必ずしもクリーンルーム内にある訳ではありません。普段は人が出入りしないような、例え屋内でも真夏の過酷な温湿度環境下という事もあるのです。

その点、デジタルMFCは、ゼロ点をワンプッシュ/ワンコマンドで自動的に調整してくれるので作業も楽で大丈夫・・・と思いがちですが、安心してはいけません。デジタルでゼロ調整作業自体はとても楽になっていますが、その分操作者に見えていない部分があり要注意です。

例えば・・・

・ ガスが流れているのにゼロ点調整スイッチを押してしまった!

・ ゼロリセットスイッチをドライバーで強く押して壊してしまった!

・ 通信でゼロ点調整コマンドを間違えて送信した!

・ コマンドを送ったつもりが、通信ケーブルがMFCから抜けていた!

これらはいずれもDecoが現場で見た実話です。こういったミスは誰にでもあります。それに対して、デジタルMFCならばゼロリセット作動条件(ゼロ点が過大にずれている場合は、ガス制御中の可能性があるので、リセットを受け付けない・・・等)を設け、誤操作防止の仕組みが入っていたりしますが、それはあくまでフェイルセーフとして、ある程度での限界があります。

そして、一番怖いのは「その場では発覚しないミス」です。

内部リークでゼロ点がすれている(ように見える)デジタルMFCにゼロリセットを入力してしまったとしましょう。表示を確認したところでは、きれいに0が並んでいるので調整は上手くいったと思い込んで、その後、装置を稼動してガスを流し続けた。1ヵ月後に、そのラインで生産される製品の異常が発覚し、調査したところ、MFCの真のゼロ点がずれて(ずらして)しまっていた事を発見した・・・これは大変な事態ですね!

ガスの流れは目に見えないものです。それだけにMFCはその流れを可視化するデバイスとして有用なのですが、そこから得られる情報は機械としてのMFCの特性があります。デバイスを使う上では、そういった色んな前提条件を踏まえて、どれだけ正確に情報を読み取り、使いこなしていくかが重要ですね。やはり「使う側の人間の正確な状況認識」にかかっています。便利なものほど、逆にその傾向があることをご理解ください。

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真・MFC千夜一夜物語 第60夜 ゼロ点ズレの三人目の容疑者はバルブの出流れ?

MFC(マスフローコントローラー)のゼロ点ズレのお話です。
この問題はMFCにとって非常に重要な問題ですから、じっくり行きましょうね。

三人目の容疑者として、「MFCの制御バルブでの出流れ=内部リーク」があります。

これは非常にわかりやすい問題です。MFCの配管上流に圧力がかかっている状態で、制御バルブをシャットオフした状態、つまりMFCの流量制御バルブ前後に差圧が存在する状態で、流量制御バルブにゼロシャット機能や強制閉信号が入っている場合です。ガスサージを食い止める方法として、Decoもご説明し推奨させて頂いたやり方ですね?

MFCの流量制御バルブはそもそも閉止バルブではありませんので、出流れがゼロにはできません。この部分で微量の漏れがあった場合、ガスはMFC二次側に少しずつ流れ出ていきます。この時、例えMFC二次側の配管にあるバルブでガスを締め切っていても、圧力の勾配がある限り=MFCの流量制御バルブから閉止バルブまでの空間がMFC1次側圧力と同圧になるまでは、微量のガスが流れ続けることになります。

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そのガスの流れをMFCのセンサーが感知してしまい流量出力が0にならず、あたかもゼロ点がずれているように表示してしまうのが、この現象です。本当にガスが流れているのですから、感知しなくては逆におかしいですし・・・センサーは当然の事をしているだけです。

ここで恐ろしいのはむしろこの事態への対応を誤った場合です。「(センサーの)ゼロ点がすれている」と誤認して、MFCのゼロリセットをしてしまったら・・・ほんとうは正しいかもしれないゼロ点を、わざわざ調整により、ずらしてしまう事になるのですから・・・

冒頭述べましたように、この三人目の見分け方は簡単です。この現象では、ゼロ点は絶対プラスの方向にしかずれないということです。もう1つ、時間がたつにつれズレ量が小さくなっていく事です。(MFC二次側が開放されていたら、その限りではありませんが・・・)

手っ取り早く確認するには、MFCの流量制御バルブ前後を同圧にしてやれば、ガスの流れがなくなり、この現象は消えます。同圧にする一番の方法はMFCにバルブ強制開信号を入力する、もしくは2%以上の設定信号をわざと入力して、ゼロシャット機能をキャンセルし、設定信号と流量信号を不一致状態にすることで制御バルブを全開にする事です。もしくは配管にパージラインが設けてあれば、そこを使ってMFC前後の配管を真空に引いてしまう方法もあります。そうすればこの現象で生じていたゼロ点ズレは消滅するはずです。

まずは問題が発生した原因を考察し、確認実証する事。二次災害を避けるために重要な事ですね。

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真・MFC千夜一夜物語 第59夜 ゼロ点ズレの二人目の容疑者はMFCの姿勢だ!

MFC(マスフローコントローラー)のゼロ点ズレに関して、二人目の容疑者を確保しに行きましょう。

二人目は「ガスの熱対流現象」と指摘しましたが、必ずしもこの現象の単独犯というわけではありません。共犯者は「MFCの取り付け姿勢」と「ガスの特性」と「ガスの封じこめ」です。

この現象は「サーマルサイフォニング現象」と呼ばれていまして、MFCを垂直に配管、取り付けした姿勢で、SF6のような重いガスを使用した場合に発生します。(下図参照)

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縦置き(MFCを壁面に取り付け、ガスを上→下に流す場合)の場合、MFCのセンサー管も地面に対して垂直な姿勢になります。そこでガスを内部に閉じ込めたまま、MFC前後のバルブを閉止しますと、ガスの流れは遮断されMFCの出力は0になります。

この状況でセンサー管の中はガスが残留しています。閉じ込められたガスは、センサーの熱で温められます。冬場の暖房でもそうですが、温まったガスは上昇する「対流現象」が発生しますので、図の設置例ですとガスはセンサーの上流側へ移動します。

このセンサー管でのガスの微少な動きをセンサーが感知すると、実際ガスは流れていないにもかかわらず、あり得ない方向=マイナスへの流量表示がされる場合があるのです。(MFCの設置を逆=出口側が上になる場合は、現象も逆でプラスへずれて表示されます。)

この現象に対してメーカーさんでも種々の対応を取られています。例えば製造時にガスに応じて取り付け姿勢を指定いただく方法です。これは「縦置きならばその姿勢で調整をして、出荷しよう」という現実的な考えです。また、あるメーカーさんはセンサーの構造自体を縦置きに適応した形状にしたり、センサー管に絞りを設けてみたり・・・様々な試みが行われてきています。

ユーザーサイドでも取り付け後にゼロ調整と流量確認をしていただく事で解消が可能ですが、実際のガス流量確認まではユーザーサイドで難しい事もありますので、やはり予めご注文時に想定されるガスと取り付け姿勢を開示して頂いて、使用上問題が無いか?をメーカーに確認されたほうが良いかと思います。

次回はゼロ点ズレの三人目の容疑者を探しに行きましょう。

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プロフィール

EZ-Japan(イージージャパン)代表 黒田 誠

Author:EZ-Japan(イージージャパン)代表 黒田 誠
MFC千夜一夜物語のDeco こと 黒田 誠 です。
2014年6月より流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”EZ-Japan(イージージャパン)として開業いたしました。

流体の流量・圧力・温度に関わる計測・制御技術の伝承と、新技術のご紹介を行うエバンジェリスト(伝道師)の仕事を生業といたしております。

日本工業出版さんの「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載を続けさせて頂いています。

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