測定と計測は違う意味です

皆さん、よく流量を測る際に使われる”測定””計測”は異なる意味である事をご存知でしたか?
これは案外マスフロー業界の人でも使い分けができていなかったりします。

170821_01.jpg

つまり機器に添付された校正証明書で、基準として用いる量=国家で定めた標準との不確かさが謳えるものだけが
測定(Measurement) という言葉を使えるのです。
狭義では流量計と名乗れるのは、この測定目的のものだけです。

校正証明書の付かないものは、いくらカタログで高精度を謳っても、工業用の計測を行うセンサーであり、そこに指示された流量は、いかなる公的な基準ともトレーサブルであるという証明はありません。
メーカーとしての流量基準はあるのでしょうが、そこからのトレーサビリティは一切保証されていません。

当然、測定を行う機器のメーカーは、国家標準との間のトレーサビリティを維持するために、設備投資とメンテナンス、雇用と教育を必要とされます。
こういった流量計やマスフローコントローラーが高くて納期がかかる理由・・・
安価ですぐ入手できる流量センサーで本当によいのか?
一度、じっくりお考えいただいて、使い分けて頂けたらと思います。

MFC豆知識 by Deco EZ-Japan 

テーマ : ものづくり
ジャンル : ビジネス

MFCの動作最大差圧、最低差圧を教えてください

お問い合わせを頂く中で、「マスフローコントローラー(MFC)の動作最大差圧、最低差圧を教えてください。」という内容のご質問がたまにあります。
この質問にお答えするのは、実は難しいのです。

bronkhorst_mfc.jpg
<出展:ブロンコスト・ジャパン(株)

国産MFCメーカーのカタログには、動作差圧 49~294kPa(D)とか、二次圧条件 0.3MPa(G)までという記載があります。
でも、これは日本独特の仕様から来るものだとご存知ですか?
日本のMFCは耐圧性能(圧力定格の場合もあり)1MPa未満で圧力を限定して、しかも流量は100SLM程度です。
この理由は、”高圧ガス保安法”にあります。
一般的にガスを1MPa以上の圧力で製造・消費する場合は、高圧ガス保安法の適用を受けます。
製造というと、ユーザーは関係ないように思えますが、レギュレーターでボンベ圧14.7MPaの窒素を3MPaに降圧して使えば、これは”高圧ガスを製造している”ことになるのです。

ちなみに海外には1MPaからが高圧ガスという取り決めは無い筈です。
従って海外メーカーは、圧力定格10MPaのモデルや、40MPaの高圧、大差圧用MFCが存在しています。
特に大流量になると自ずと圧力を高く設定するアプリケーションが多いためです。
逆に日本のMFCのように1MPa以下の低圧&小流量モデルのみで対応できるアプリケーションは、半導体・真空産業用装置(CVDやエッチャ装置)くらいなのです。
今と違い1990年代の日の丸半導体はイケイケドンドンで投資していましたから、それでも食べていけました。
半導体用途に特化してウルトラクリーンという発塵しない、デットボリュームを削減する方向へ進化していったので、ある意味流量測定・制御の世界ではガラパゴス島での進化に近い形になってしまったのです。

その狭い圧力・流量レンジでは上述のような括りでMFCを定義できます。
ところが、40MPaとか1000L/minの世界になると、お客様の仕様に合わせて最適なサイジング(ガスのCF計算と対応できるバルブのKv値計算による機種選定)が必要になるのです。
その為、一概にカタログの型式を言われて、冒頭の質問をされても困ってしまいます。
過去に「国内メーカーはすぐ答えたぞ!海外品はダメだな。」と言われたこともありますが、それは誤解です。
金太郎飴のように一律「動作差圧 49~294kPa(D)です」なら、すぐにお答えします。

そういう時は・・・
「必要な圧力条件(最大差圧、最低差圧)でお作りできますよ。」
逆にこうお話ししています。
それが受注生産のMFCの良いところなのですから。
圧力仕様でお悩みの方は、”マスフローマイスター” EZ-Japan Decoにご相談くださいね。

MFC豆知識 by Deco EZ-Japan

マスフロー、流量センサーの流量信号と表示器

マスフローコントローラ(MFC)、マスフローメーター(MFM)の表示(指示)器の選び方に関して、案外知られていない事をお話ししましょう。

測定・計測機器の入出力は、電圧信号(DC 0-5V / 0-10V / 1-5V)や電流信号(4-20mA /0-20mA)があります。
なず表示器の入力仕様が正確に対応していることが条件になります。

電圧信号は電流信号に比べて、電圧ノイズが載った際の影響が大きいことと、電圧自体が抵抗で減衰していくので、長距離伝送には向きません。
また、1-5VDC や 4-20mA というゼロ位置がわざと浮かせてある理由も結構知られていないようです。
これはケーブルが断線を起こした際に、流量0の信号が0Vや0mAでは、判断が付かない為です。
浮かせてあることで、シャットオフバルブで流体の流れを止め流量が0なのに、表示値がおかしいという事態で不具合に気が付くことができるのです。

また、出力信号のスケーリング(流量値との変換係数)が風変わりな流量センサーもあります。
例えば、センシリオンの液体流量センサーです。
SLI01.jpg

センシリオンのセンサーは、何度も取り上げていますが、センサー部をMEMSで作ったCMOSチップで構成されています。
その構造は以下の図のようになっています。
SLI03.jpg
このセンサーの1つの特長は、双方向の流れを計測できることです。
正流(プラス表示)、逆流(マイナス表示)で表しています。

これを表示器で流量地にスケーリングする場合、ちょっとややこしい組み合わせになります。
まずセンシリオンのSCC1アナログケーブルが必要です。
このケーブルは本体のI2Cデジタル出力をDA変換して、0-10VDCのアナログ信号にしてくれます。
*このケーブルは変換アダプタと呼んだ方がわかりやすいです。
本体センサーより、このケーブルの方が電源に対して消費電流量が多いので、適切な電源を準備してくださいね。

問題はこの0-10VDCです。
先程の双方向の流れ対応の為に、出力の5Vが流量0=ゼロ点を表し、5-10VDCが正流、0-5Vが逆流というスケーリングになるのです。
通常の表示器で0-10VDCをそのまま正流方向でスケーリングすると、出力電圧が最初から5V下駄をはいて表示されてしまいます。

ユーアイニクス(株)さんの、指示計 SP-323 を使えば、その問題は解消します。
SP-323-4は表示が-9999~9999となり、逆流の表示が可能ですし、0-10VDC信号を5V=0でスケーリングできるそうです。
また、センサー用電源の24V 150mAを内蔵していますので、先程のアナログ変換ケーブルを含めたセンシリオン液体センサーをドライブ可能です。

通常のMFCでは消費電流量が足らないのですが、同じMEMSセンサーを使用している気体流量測定用ブロンコスト・ジャパン(株)のIQ+FLOWのMFM版なら電源供給が可能です。

161205_02.jpg

SP-323シリーズは、他にもピークホールド機能があったりで、なかなか使い勝手が良いモデルになっています。

MFC豆知識 by Deco EZ-Japan

テーマ : ものづくり
ジャンル : ビジネス

2017 年度春季(第94回)低温工学・超電導学会 併設展示会出展してます

5/22(月)、23(火)と 2017 年度春季(第94回)低温工学・超電導学会 併設展示会にブロンコスト・ジャパン(株)さんブースで参加させて頂きます。
170522_03.jpg

今回初めて参加させていただいた学会なのですが、超電導の世界では既に超伝導コイル冷却用の液体ヘリウムの気化したガス排気をAPCを使った排圧制御を用いて、大気圧変動影響を抑え込む事ができるアプリケーションで実績があるので、それをメインに展示をしています。(下図参照)
170522_04.jpg

ところで上の写真の可愛く見えるバルブですが・・・・
実物は下の写真の感じです。

*正確には展示したのは圧力補償型ベローズバルブ (F-004シリーズ)
直動型調節弁です。スプリング力をベローズがプランジャーへ作用する閉止力で補填するので、非常に小さい電磁力で比較的大きなオリフィスを使用できます。
ベローズ補償型バルブは低圧大流量をスムーズに調節ができるのが特徴です。

EL-FLOW Baseタイプの通常サイズのMFCと比べてもこの大きさです!
左手のEL-FLOW Baseの二次側にあるソレノイドアクチュエーターと比べてみてください。
170522_01.jpg

人気者のコンパクトMFC IQ+FLOWと比べたら・・・
マンモスと猫くらいの大きさの差ですね。
170522_02.jpg

ブロンコストは色々な流量コントロールバルブを持っていますが、圧損を追い込める=微差圧で使用できるとなると、やはりこの直動弁が主力になります。

いやぁ、しかしこんなに大きなソレノイドバルブは初めて実物を見ましたよ。
重さは・・・ダンベルです。
足の甲に落としたら大けがは間違いありません。
なにせSUSの塊ですから・・・

5/23(火)も朝から江戸川区船堀 都営新宿線 船堀駅前のタワーホール船堀の会場におります。
是非ご来場を!

MFC豆知識 by Deco EZ-Japan







テーマ : ものづくり
ジャンル : ビジネス

【お願い】マスフローを修理で返却する際は

お使いのマスフローコントローラー(MFC)やマスフローメーター(MFM)を修理や再校正作業の依頼でメーカーに返却される場合、気を付けて頂きたい事があります。
bronkhorst_mfc.jpg
修理依頼品に付けて頂きたいメーカー指定の書式があるとお思いますが、Decoが現役のメーカー時代から、これが記載されていなかったり、不十分なものが散見されます。

こういった行為は内容確認で双方の時間を浪費するだけでなく、最悪の場合作業者の健康を損なったり、生命の危険を招くこともあります。
「Decoさん、いくらなんでも大げさでしょう。」と言われるかもしれませんが、マスフローに流される流体は決して安全な空気だけではありません。
特に半導体製造では毒性、可燃性のガス種のオンパレードであり、ppmオーダーで致死量に至るガスもあります。

もう時効だからお話ししますが、20年以上前お客様から返却された窒素のマスフローに塩素が充たされていたことがありました。添付された書類にはどこにも塩素を流したとは書いてなく、パージの項目は「済み」と記載しました。
受け入れ作業で開封したところ、わずかに塩素ガスの匂いがしたので、あわてて除害ボックスに放り込んだのですが、受け入れ担当は気が付くとうっすらと鼻血が出ていたとのことです。
この話を依頼元のお客様にしたところ、「知らない、君たちの受け入れのやり方が杜撰なんだろう。」と言われました。
安全を確保するには、すべてを疑ってかからないといけないのは確かで、受け入れ側にも改めるべき点はありましたが、自分達が使用したプロセスを把握していない杜撰な人に言われたくはありませんね。
(因みにその会社は経営のやり方も杜撰だったのか、もう存在していません。)

マスフローコントローラの修理や再校正をご依頼頂く際は、以下の事を明確にしましょう。

・依頼者の連絡先
・製造番号
・どのような流体で使用されていたか?
・送る前にどのような洗浄されたか?
・故障内容の詳細(いつから、どこで、どのように不具合が生じているかを詳細に。)
・再校正依頼ならば、出荷にどういったドキュメント(トレーサビリティ体系図等)を付ける必要があるか?


Decoからのお願いでした。

MFC豆知識 by Deco EZ-Japan

テーマ : ものづくり
ジャンル : ビジネス

プロフィール

EZ-Japan(イージージャパン)代表 黒田 誠

Author:EZ-Japan(イージージャパン)代表 黒田 誠
MFC千夜一夜物語のDeco こと 黒田 誠 です。
2014年6月より流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”EZ-Japan(イージージャパン)として開業いたしました。

流体の流量・圧力・温度に関わる計測・制御技術の伝承と、新技術のご紹介を行うエバンジェリスト(伝道師)の仕事を生業といたしております。

日本工業出版さんの「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載を続けさせて頂いています。

最新記事
リンク
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ