真・MFC千夜一夜物語 第240話 コリオリは完全無欠の質量流量計 その10

もう一つのMFC千夜一夜物語である日本工業出版さんの「計測技術」誌 2017年9月号(8/25発売)掲載「マスフロー千夜一夜物語<質量流量計の基礎>」連載第37回は、“マスフローコントローラ(MFC)のトラブルシューティングの解説<後編>”となっています。

今回は “コリオリ式マスフローは、このアプリケーションにお奨め”をご紹介するその2です。

2.ドージングシステム
“流しながら測れる秤”と解説してきましたが、ならば当然その対抗馬というか、取って代わるべき存在は”流した結果を測る秤“であるロードセルです。
ブロンコストのコリオリ式マスフローのバッチカウンター機能と、そこから直接制御されるシャットオフ弁、比例制御弁、またはポンプで構成されるドージング(分給)システム“CORI-FILL™”を提供しています。
まずは下の動画をご覧ください。


ロードセル及び他のコリオリ式流量計とも比較して、CORI-FILLの利点は何でしょうか?

1.充填速度が速い=スループット向上
結果から制御するより、流しながら測って充填する方が当然センシングは早いわけですし、閉止弁との位置を工夫することで制御不能なデットボリュームが少ない配管を構成できるので、高速重点が可能になります。このことは揮発性液体を充填する際に顕著に問題になる気化分の蒸散という問題や、大気(空気)との反応という問題を減少させることができます。

2.マルチ流体を同時にドージング可能
コリオリは流体を問わず質量流量を測定しますから、ロードセルと異なり、マルチ流体を同時にドージング可能です。
ロードセルの場合は1流体毎にゼロイングが必要ですが、CORI-FILL™は次のバッチをスタートさせるのに短いリセットコマンドを発信するだけでOKです。
もちろん被充填対象の容器の重量変化があっても、充填量だけを測っているので問題はありません。
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<ブロンコスト CORI-FILL カタログから引用>

3.システムのダウンサイジング
mini CORI-FLOW™は最小測定流量がフルスケール5g/h、最小流量が M12で0.1g/h(ターンダウン1:50)、ML120で0.05g/h(同じく1:100)です。
他社のコリオリ式流量計で仮にドージングシステム組んでもここまで微小流量に対応できない為に、わざわざ流量計の測定レンジまで液体を希釈して測定させるようなシステムもあります。
それではフットプリントは大きくなるばかりです。

4.質量及び体積ドージングが可能
コリオリ式の利点は質量流量以外に密度情報をリアルタイムで出力できることです。これを活かして、質量流量だけでなく、体積流量に換算したドージングも可能になります。

5.デジタル通信/フィールドバス対応
mini CORI-FLOW™はデジタル通信、各種フィールドバスに対応していますので、PLCやPCとの通信により、バッチカウンター量をプリセット、データーロギングや、異常時のインターロック等の機能拡張が容易に行えます。

いかがですか?
良いことづくめのコリオリ式マスフローを使ったドージングシステム。
既にEUでは大々的に採用されているようですよ。

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真・MFC千夜一夜物語 第239話 コリオリは完全無欠の質量流量計 その9

もう一つのMFC千夜一夜物語である日本工業出版さんの「計測技術」誌 2017年9月号(8/25発売)掲載「マスフロー千夜一夜物語<質量流量計の基礎>」連載第37回、“マスフローコントローラ(MFC)のトラブルシューティングの解説<後編>”となっています。
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<mini CORI-FLOW 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)>

半導体プロセスで液体用マスフローを用いた気化供給システムにコリオリ式マスフローを投入する事のメリットをご説明してきました。
では、ガスの制御はどうでしょうか?
半導体プロセス装置では圧倒的にガスの流量制御に使用されるMFCが多いことは、皆さんもご存知ですね。エッチャーやCVD装置で1チャンバーに5~10台のMFCが使用されます。
それと比べると液体材料の制御は3系統@1チャンバーあればいいところで、プロセスにより使用数0のチャンバーも当然あります。
“コリオリが完全無欠の質量流量計(マスフロー)なら、ガス用でも従来の熱式より良い性能が出せるんですよね?”というご質問を皆さんから頂きそうです。
性能を何で表すか?という際に、精度性能を持ち出すのはあまり意味が無いのですが、カタログスペックを比較すれば、圧倒的にコリオリの方に軍配が上がります。
それよりも一番優れているのはコリオリの最大の特長である“流体の物性に左右されず質量流量測定が可能”がやはり大きな持ち味になります。
熱式MFCではコンバージョンファクター(CF)の信憑性が、精度性能などは吹き飛ばしてしまうくらいの実ガスでの流量誤差につながっているのは、最終顧客である半導体メーカーから指摘されており、近年SEMI JapanのTF (タスクフォース)でもMFCの実ガスでの流量性能が議論されています。
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熱式流量センサーの流量式では比熱がその傾きを決めていますが、ただそれだけではなく補正係数が必要になるガスが存在します。校正ガスに使用する窒素よりも重いガスでそれは顕著です。また、そもそもマスフローのCFは不活性ガスであっても、温度・圧力・流量(というか流量に応じたマスフローの分流構造の差=層流素子の形状の差)で必ずしも1ガスに1CFとはなりません。そういったCFの抱える問題を解消するのは、熱式では難しいとDecoは考えています。

それではCFが存在しないコリオリ式マスフローで、測ってみてはどうだろうか?
CF4というガスを例に、ブロンコスト・ジャパン(株)のWEBで展開しているサイジングツール=FLUIDAT® on the Netで計算してみました。
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300SCCM (CF4の質量流量 0.071kg/h を 0℃ 1013hPa基準の体積流量に換算)した場合のトータルエラー(精度 + ゼロ点の安定性 で提示される)の値は、このレートで±0.5282%Rであり性能として熱式MFMをはるかに上回っています。
ところが、測定に必要な圧力条件は入口圧0.4052MPa、出口側大気開放であるから、約0.4MPa(d)もあることになります。
これは同じレンジの熱式MFMと比較すると、かなり大きな値ですね?

センサーのSN比が良い状態なら、ゼロ点の安定性は高くなり、結果トータルエラーは小さくなります。
それは非常に良い事なのですが、コリオリ式の場合、センサーのSN比が良い状態はセンサーチューブで発生するコリオリ力が大きい時、すなわち高い密度の流体が流れている時=チューブの圧力損失を大きな状態になるのです。
これは密度の高い状態である液体の場合には、さほど問題になりませんが、気体の場合は実用上、少し困ったことになるのです。
因みにこのチューブのモデルの最大流量時のデータは以下になります。

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844.7SCCMを測定した場合、トータルエラーは0.51%R しかし圧損は1.3MPa(d)という値になってしまいます。

センサーチューブを細く小さく作るという難度の高い技術である微小流量用コリオリ式マスフローのパイオニであるブロンコストだから、まだこういった値で済んでいるので、本来ガスを測定するには、大流量高圧がコリオリの担当分野でした。
(水素スタンドの充填圧は70MPaですが、コリオリ式流量計が使われています。)
逆にいえば今までなかった可能性が見えてきたのが、ブロンコストのminiCORI-FLOWで、この製品を見るまではDecoは“半導体用プロセスガスをコリオリで測れるわけがない派”でした。(勝手に作って、勝手に脱退して、すみません・・・)
まずは今の熱式マスフローの実ガス流量基準器としてコリオリ式を使うというのが、ファーストステップだと考えています。
この分野の進展は、Decoのライフワークともいえる分野ですので、都度ブログや計測技術誌の連載でお知らせしていきますね。

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真・MFC千夜一夜物語 第238話 コリオリは完全無欠の質量流量計 その8


もう一つのMFC千夜一夜物語である日本工業出版さんの「計測技術」誌での連載は誌面構成の都合で今月号は休載となってます。次回は「マスフロー千夜一夜物語<質量流量計の基礎>」2017年9月号(8/25発売予定)で連載37回として、マスフローコントローラ(MFC)のトラブルシューティングの解説<後編>となります。

液体用マスフローを用いた液体材料気化供給システムにコリオリ式マスフローを投入する事のメリットをご説明しましょう。
今までの液体用マスフローのセンサー方式の多くは熱するもの、冷やすものの差はあれ熱式です。
もう何度も見てきましたが、熱式流量計の流量式を再度見てみましょう。

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流量式に流体の物性である比熱を持つ、熱式流量計は、流体の物性が固定できて初めてマスフロー(質量流量計)となります。
それをある特定の流体との流量比で表したのが、いわゆるコンバージョンファクター(CF)というやつですね。
ガスマスフローの話でご説明しましたが、CFは1つの流体に1つではありません。
流体種により温度・圧力・流量レンジ(=マスフローの分流構造)で複数のCFがあるのが、今や常識となってきました。
「そういえば最近CFの話をメーカーから聞かなくなったなぁ・・・」
と思っておられるかもしれませんが、最新のマルチガスマルチレンジ、実ガス流量対応マスフローというのは、マルチCFを採用したマスフローの事を言い換えただけです。
最近のデジタルMFCは例えばフルスケール10SLMのマスフローの10%程度の低流量域と50%くらいの中流量、フルスケール近辺で異なるCFを持たせることが可能になってきたからです。
ただ、これはCFデータベースを整備することが前提になります。
どれだけマルチCFを入れ込めても、その値が適当では話になりませんから。

液体の場合、例えば水やエタノール等の場合はまだ良いのですが、半導体プロセスで使用されるような特殊な最新の液体材料の場合、そもそもこのデータベースが完備されているものは少ないのです。
メーカーも努力しているのですが、日進月歩の半導体プロセス材料に追いつけないのと、空気に触れると激しく燃える等、取り扱いが非常に難しい材料であり、重量法などで天秤を用いて測定するのが難しいこともあります。
また、ガロンタンクごとに器差がある場合もあり、これは保管場所の温度環境等にも左右されるナーバスな材料が多いからかもしれません。
その為、物性もよくわからないので、マスフローの特長である繰り返し性能重視で使われている事もあります。
ところが熱式の場合、前述のとおり流体の物性に左右される根本的な流量式の特性があるので、流量計としての繰り返し性能は維持できても、プロセスの再現性は維持できないという問題が生じ易いのです。

液体流量測定段階で不安要素を抱えながら、更に気化器で気化を行うことでチャンバーに導入する液体材料気化供給システムの場合、気化器の気化効率というもう一つのファクターが存在することになります。
液体マスフローと気化器、この2つのキーパーツにそれぞれ別の不安定要素を抱えていると、どちらの問題かを検証するのはなかなか難しいところがありませんか?

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ここで液体マスフローをコリオリ式に変えてもらえば、前述の熱式の不安要素は解消します。
なにせコリオリ式は流体の物性を問わず、仮に物性が変化したとしても、常に流体の質量流量を測定できる、言わば“流しながら測れる秤”なのですから。

これで気化器の気化効率の問題だけにフォーカスすることができますね?
これが液体材料気化供給システムにコリオリ式マスフローをお薦めする理由です。
しかもコリオリ式は分流構造の無い、SUSの単管を曲げただけの流路構成ですから、異物による分流比の変動が流量測定結果に影響したり、デットボリューム(液溜り)を形成する場所が無い点でも理想的だと言えます。

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真・MFC千夜一夜物語 第237話 コリオリは完全無欠の質量流量計 その7

もう一つのMFC千夜一夜物語である日本工業出版さんの「計測技術」誌での連載は誌面構成の都合で今月号は休載となってます。次回は「マスフロー千夜一夜物語<質量流量計の基礎>」2017年9月号(8/25発売予定)で連載37回として、マスフローコントローラ(MFC)のトラブルシューティングの解説<後編>となります。

さて、微小流量用コリオリ式流量センサーを搭載したマスフローメータ(MFM)やMFCの解説をさせて頂いていますが、セミコン・ジャパンや学会併設展示会に展示していますと、お客様から「この微小流量コリオリマスフローは、どういった用途で使うといいの?」という質問を頂きます。
確かに世の中には熱式微小流量液体マスフローもある訳で、どういったメリットがあるのだろうと考えられるのは、もっともなので、今回から“コリオリ式マスフローは、このアプリケーションにお奨め”をご紹介していきたいと思います。


1.液体気化システムでの流量測定
まず、一番お薦めするのが、液体材料を気化器で気化供給するプロセスです。
半導体成膜材料等には常温常圧で液体のもの(TEOS等)が多く使われています。
こういった材料をチャンバーに供給するのに、最初に用いられたのは、バブリング(下図)やベーキングのような方法で気化した気体を、チャンバーへ導入する方法でした。

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<出展:ブロンコスト・ジャパン(株)>

バブラーではマスフローは熱式気体用、ベーキングでは熱式高温気体用のものが使われていましたが、供給系の温度管理の難しさ、液体材料の高沸点化により、熱式液体MFCを用いて、常温で液体を流量測定・制御し、チャンバー近くで気化器を用いて昇温気化する方法が開発され、普及しました。
下図はALDプロセスで複数の液体材料を気化供給するシステムの例です。

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<出展:ブロンコスト・ジャパン(株)>

ここに示したブロンコスト・ジャパン(株)の提供するCEMシステムは、液体材料用MFM+キャリアガス制御用MFC+液体流量制御バルブ付気化器から構成されています。

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液体用マスフローを用いた気化供給システムの構成は、図のような液体流量を測定するMFM部と、気化器前段で流量制御する制御バルブ部、キャリアガスラインを制御するMFCそして気化器で成り立っています。(必ずしもこの組合せになる訳ではありません。)
チャンバーまでのほとんどの配管を液体材料の状態で常温搬送する事で、ヒーターやヒートエクスチェンジャーで温度管理を必要とする経路を短縮し、温度ムラや断熱膨張による再液化を防ぐことができるのが、利点です。いきなりチャンバー内のウエハーに再液化した液体材料がドバっと落ちるような事は絶対避けたいですから・・・

では、このシステムをコリオリ式マスフローに置き換えるとどうなるのでしょうか?
その解説は次回にさせてもらいます。

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真・MFC千夜一夜物語 第236話 コリオリは完全無欠の質量流量計 その6


もう一つのMFC千夜一夜物語である日本工業出版さんの「計測技術」誌「マスフロー千夜一夜物語<質量流量計の基礎>」という連載も2017年7月号(6/25発売)で連載36回を迎えさせて頂きました。
いやぁ、3年分ですね!
これも皆様のおかげです。
本号ではマスフローコントローラ(MFC)のトラブルシューティングの解説をさせてもらっています。

さて、前回ブロンコスト・ジャパン(株)のコリオリ式マスフロー mini CORI-FLOWシリーズの構造と動作原理を開設するyoutube動画を見て頂きました。



ここで「あれ?」っと思われた少しコリオリ御式流量計に詳しい方がおられるかもしれません。
それはセンサーの形状です。

「コリオリ式流量計のセンサーチューブはΩの字の形じゃなかった?」

「Decoさんの図ではセンサーチューブが並行して2本なかった?」


一般的なセンサーの図を、日本フローコントロール(株)さんのご厚意で撮影させてもらってきました。

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【出展:日本フローコントロール(株) コリオリ式流量計 RHMシリーズのセンサー構造】
*RHMシリーズは超臨界CO2の測定ができる優れものです。興味のある方はお問い合わせ下さい。


これが一般的なコリオリ式流量計のセンサーイメージです。
ブロンコストのセンサーはそれに対して小文字にmの下が繋がったというか、Ωの首から上を下に180度曲げたような不思議な形状で、単管です。

この違いはフォーカスしている流量レンジの差なのです。
ブロンコストのmini CORI-FLOWは、通常のコリオリ式流量計の流量範囲よりはるかに微小なレンジを守備範囲としていて、最小フルスケール5g/h (M12) ~ 最大フルスケール300kg/h(M15)です。
それに対して日本フローコントロール(株)さんのコリオリは、最小フルスケール0.6kg/min=36kg/h(RHM015)~最大フルスケール25,000kg/min=1,500,000kg/h!(RHM160)で、はるかに大流量レンジをカバーしています。

つまり微小流量流体を測定する為に特化した形状がブロンコストのコリオリ式流量センサーの特長なのです。
チューブ内径も非常に細く、M12,M13では1mmを下回る細径のSUSチューブが使われています。
ここまで細いチューブにしないと、微小流量流体が振動するセンサーチューブを通過する際に発生するコリオリ力を捉えきれない、(逆に言うとチューブにコリオリ力が働いてねじれない)のですね。

こういった細径センサーは当然、より振動影響に弱かったりするので、そう簡単に製品化はできなかっただろうなとDecoは考えます。
オランダ人は真面目で、これだと思った発想をとことん突き詰めて具現化していく凝り性な人達なのだろうなぁ・・・と感心させられますね。
さすがは近代史において、科学や医学分野で日本の先生だっただけのことはあります。

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プロフィール

EZ-Japan(イージージャパン)代表 黒田 誠

Author:EZ-Japan(イージージャパン)代表 黒田 誠
MFC千夜一夜物語のDeco こと 黒田 誠 です。
2014年6月より流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”EZ-Japan(イージージャパン)として開業いたしました。

流体の流量・圧力・温度に関わる計測・制御技術の伝承と、新技術のご紹介を行うエバンジェリスト(伝道師)の仕事を生業といたしております。

日本工業出版さんの「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載を続けさせて頂いています。

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