営業講習第3項 どんな本を読めば営業ができるようになりますか?その3

「どんな本を読めば**ができるようになりますか?」という質問には、「手っ取り早く成功する方法を教えてよ」という含みが多分に入っているように感じます。
そこでひねくれ者のDecoは「北風と太陽」などと答えるのですが、そもそもゲームの世界以外に攻略本はありません!(と、いうかゲームを攻略本通りにやることほどつまらない遊び方はない、というのがDecoの持論です。)

ただ、営業をやる上で理解しておいた方がいいような本はありますので、ご紹介しておきます。

①先人の経験から書かれた本
「営業職なら松下幸之助、技術職なら本田宗一郎」 とDecoは思っています。

「なんだ、一時代前の人達の成功談なんか、今の時代に通用しないよ!」とおっしゃる方もおいでかもしれませんが、前回の講習で書いたように、「今の時代で必ず成功する方法がAmazonで売ってるわけがありません。」です。

急がば回れ!ここは一つ、歴史を紐解くことから学びましょう。

営業職を志すなら、松下幸之助さんの有名な1964年熱海会談の下りはほんと勉強になりますよ。

パナソニック社のHP参照 


「どうやって人をたらすか?」いや、この言葉が悪ければ「どうやったらもてる営業になれるのか?」がここでの幸之助さんの立ち振る舞いから勉強できます。

②ランチェスター戦略
ノウハウ本は好きではありませんが、ランチェスター戦略の基礎に関する本は一読をお勧めします。
昔、Decoが新人の頃にビジネス界で流行っていたので、本を読むように言われたDecoは一読して一言。

「なんだ!孫子じゃないか!」

そう、ランチェスター戦略というのは、古くは中国の春秋時代の思想家 孫子の兵法という戦略書を近代的に補完したものだとDecoは解釈しています。

ここで重要なのは、弱者の戦略と強者の戦略です。
営業新規開拓というのは、当然自社が未参入か、それとも弱い分野へ斬り込むことになるので、この弱者の戦略たる「差別化、一点集中、局地戦」という要素が多分にあり、対するライバルは強者の戦略であることを知りましょう。

そして、営業とは相対評価の世界です。
貴方が注文を取れなかった裏で、必ず注文を取ったライバルがいます。
「今回はお客さんの予算が取れなかったらしいから・・・」という、一見誰勝ちでもない世界であるような話も、実は顧客というライバルに負けているのです。

ライバル(敵)と自分の状況を正確に把握して、戦略を立て、戦術を行使する

「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」 孫子
これが営業の基本です。


③推理小説
意外なものが最後に来ましたが、営業は不可解な完全犯罪に挑む探偵のようなものです。
お客さんの心にかかっている幾重もの鍵を開いて、途中の妨害を退け、注文という真犯人にたどり着く。
その為には冷静な推理力が必要です。

先日、知り合いから推理小説を一冊頂きました。日曜の午前中で一気に読了しました。
*Decoには、通常の3倍で本を読める特技があります。あまり多用すると、速度が速くなりすぎて脳がオーバーヒートしてしまうのですが・・・

中野信のデビュー作を改題・改稿して発売されている「模倣の殺意」という本でした。

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ネタバレになりますが、一言で言うと「叙述トリック」という小説という表現媒体ならではの佳作です。
この手法は、賛否両論だったアガサ・クリスティのある名作が有名ですが、日本ではこの作品が先駆的存在だったようですね。

犯人までは目星を付けたDecoでしたが、意外なトリックには降参でした。
確かにある種の違和感を感じながら読んでいたのですが・・・

こういった作品を読むことで「自分の思考癖のリセット」ができます。
人間誰でも癖があり、特に思考方法には独自の癖が付きます。
たまにそれをリセットしなくても、その事に気がつくだけでも発想が変わってきます。
そして、先ほどの「ある種の違和感」という自身の持つ潜在的なアラームに気がつく訓練にもなります。

色んな客層、日々変化する状況に対応する営業職には必要な事かとDecoは考えています。




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営業講習第2項 どんな本を読めば営業ができるようになりますか?その2

前回「北風と太陽」のお話をしましたが、この話を聞いて

「北風と太陽なんて読んだことあるし、コートを脱がすのには太陽が有利だとわかっていても、うちには北風しかない場合があるんですよ!」
と詰め寄ってこられる方がたまにおられます。

でも、本当に北風しかないのでしょうか?
もし、北風しかないのなら絶対勝利はこないのでしょうか?

ここに実は自ら先入観で戦術を固定してしまっている愚があります。

「太陽はないけど、ストーブならありませんか?」
「勝利条件を帽子を飛ばす方に変更できませんか?」


戦術というものは千変万化なのです。
最初から自分の不利な条件があることを、勝てない言い訳にしてそこで戦術を硬直さても何も得られません。
こういう人は、営業の主目的が何かを忘れています。

営業の目的は「製品を売ること」であり、そのために「顧客から注文を取る」ことです。

「顧客から注文を取る」為に戦術を立案するのが営業の仕事であって、玉砕したり、最初からうちの製品じゃ無理だと言って愚痴をこぼしていてもそれは仕事をしている事にはなりません。

例えば以下のケースです。

「製品の性能が劣るから売れない」
→その優劣差は、ほんとうにあるのですか?
→その優劣差は、お客様の選定の上でほんとうに必要条件なのですか?
→その優劣差は、自社の工夫で無くしたり、小さくすることはできないのですか?
→その優劣差は、他の仕様でリカバーできませんか?
→その優劣差は、選定に決定的な影響力があるとして、短期間で自社はそれを克服できませんか?
→その優劣差は、自社で克服するのに時間が必要ならば、お客様に待ってもらうことはできませんか?


管理職時代「製品の性能が劣るから売れない」という報告を聞いたときに、Decoの頭にはこんな疑問というかツッコミがあふれていました。

「無理だよ。待ってくれるわけ無いし!」
「無理だよ。うちの技術でできるわけ無いし!」

こういった「無理」「~わけ無い」という思考は、既に負けたときのエクスキューズを先に考えてしまうから出てくる言葉です。別に気負う必要はありませんし、あまりに事態を楽観視しろというのではありません。

営業に必要なのはニュートラルな視点なのです。

余計な思い込みや感情は、冷静な彼我の状況把握に障害にしかなりません。
すこぶるクールに現実的に事象を整理し解析する事が必要になります。

まずはその視点を養う。それには「なぜだろう?どうしてだろう?」という感覚を常に持ち続けることです。

「お客様は製品の優劣差を選定理由に挙げているけど、今回の商談はほんとうにそれが論点なのかな?もしかして断り文句にしているだけでは?」

お客様や上司の言い分を冷静に観察し、その表と裏を理解できるようになることが、営業の第一歩です。

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営業講習第1項 どんな本を読めば営業ができるようになりますか?その1

このブログの「真・MFC千夜一夜物語」では、MFC(マスフローコントローラー)の技術面を中心にお話しをさせてもらっています。しかしながら、Deco自身は一貫して営業・マーケッティング業務を20年以上やってきましたし、大学での専攻も経営学です。
(長い付き合いのお客さんに「僕、文系です」というと、結構驚かれます。)

仕事柄、社内の営業社員、特に新卒社員の教育を仰せつかったこともよくあり、その席で質問を受けたり、後輩社員やセミナー参加者との雑談でこう聞かれることがあります。

「Decoさん 営業ができるようになるには、どんな本を読めばいいですか?」

営業にマニュアルは無いという主義のDecoは、そういった質問への回答を色々工夫して説明してきましたが、最近簡単にこう答えることにしてます。

「イソップ寓話 北風と太陽 を読めばいいよ。」

「北風と太陽」を知らない方、読んだことがない方は少ないと思います。

太陽と北風がコートを着込んだ旅人に対し、どちらがコートを脱がす事ができるか?という力比べをする話で、北風が吹き飛ばそうとしても、旅人は寒さに震えてしまってコートを手放さないが、太陽が照りつけると暑さで自然とコートを脱いだ・・・というお話です。

この物語の解釈の一つとして、「急いて手荒な手段をとるより、じっくりと腰を据え優しい手段をとる方が人の心を動かすことができる」というものがありますが、営業はそういう解釈ではいけません。

Decoが興味を持ったのは、このお話には一般に知られていない部分があるということです。
前述の勝負の前に、実はもう一戦、旅人の帽子を飛ばす勝負があったとする記述です。
こっちの勝負は太陽が負けています。
照りつけた日差しがきつくて帽子を手放せなかった・・・北風は強風で帽子を吹き飛ばしてみせたという展開です。

この話がオリジナルなのか、後世の創作なのかは、どうでもいいと思ってます。
でも、勝負が1勝1敗の方がおもしろいです。
「勝利を得るための戦術はケースバイケースで多岐にわたる」ということなんですね。

じっくりと腰を据えた優しい方法=太陽の戦術が必ずしも百戦百勝ではないということです。

「勝利=受注」 「戦術=営業スキル」
 
と置き換えて考えてみれば、営業社員にとってわかりやすいと思います。

重要なのは、顧客に対して適切な戦術を組み立てられるか?ということなのですね。




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プロフィール

EZ-Japan(イージージャパン)代表 黒田 誠

Author:EZ-Japan(イージージャパン)代表 黒田 誠
MFC千夜一夜物語のDeco こと 黒田 誠 です。
2014年6月より流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”EZ-Japan(イージージャパン)として開業いたしました。

流体の流量・圧力・温度に関わる計測・制御技術の伝承と、新技術のご紹介を行うエバンジェリスト(伝道師)の仕事を生業といたしております。

日本工業出版さんの「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載を続けさせて頂いています。

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